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“想い、一つに”子供たちの勇気を描く「ミュージカル『忍たま乱太郎』第9弾~忍術学園陥落!夢のまた夢!?~」ゲネプロレポート

“想い、一つに”子供たちの勇気を描く「ミュージカル『忍たま乱太郎』第9弾~忍術学園陥落!夢のまた夢!?~」ゲネプロレポート

2010年1月に初演が上演され、すでに“忍ミュ”の名前を知らない人はいないはず。今作で第9弾。ミュージカル『忍たま乱太郎』の快進撃はまだまだ続きそうだ。原作は、同作の漫画およびアニメ。漫画は30年、アニメは25年の歴史を誇り、老若男女どの世代にも切ってもきれない国民的作品になっている。今作ではそんな“忍ミュ”史上、いや漫画、アニメも含め、最大の事件が起きるかもしれないのだ。忍術学園の生徒たちの運命やいかに!?
※ゲネプロの1年生役はA班(西口青翔、下松谷嘉音、木村皐誠)の出演。

取材・文・撮影 / 竹下力

100%の勇気をあなたに

今作での注目点は3つほどある。1つ、個性的な舞台版・新キャラクターの登場。2つ、忍術学園6年生の復活。そして大人気キャラクター、部下との間に悩み多きドクササコ忍者の凄腕忍者の登場だ。

物語は、第8弾では、名前だけの登場だった兵庫水軍の総大将・兵庫第三協栄丸の特命を受け、水夫(かこ)の間切(まぎり)役の渡辺貴裕と網問(あとい)役の小田川颯依が忍術学園にやってきたところから始まる。彼らは前作での5年生の活躍に感謝の念を込めてお土産を持参したのだ。

ところが、その2人の目の前で忍術学園は、ドクタケ忍者隊の壱(小笠原竜哉)、弐(寺本翔悟)、参(北村海)、肆(青島誠哉)、伍(中村利裕)、陸(開沼豊)、そしてキャプテン達魔鬼(高橋光)と稗田八方斎(幹山恭市)というお馴染みの悪役の手によって陥落してしまう。
しかも、コミック36巻初登場のドクタケとは違う国の忍者、ドクササコ忍者の凄腕忍者(藤田遼平)とドクササコ忍者の凄腕忍者の部下(通称:ドす部下/東将司)が、ドクタケに手を貸していたのだ。一体なぜ?

最後に、天下を手中に収めんとする冷酷非道なドクタケ城城主・木野小次郎竹高(進藤学)が颯爽と登場し、忍術学園はドクタケ学園となってしまう。

一方、おなじみの1年生コンビ、猪名寺乱太郎(西口青翔)、摂津のきり丸(下松谷嘉音)、福富しんべヱ(木村皐誠)の姿はどこにも見えない。

誘拐か? はたまたドクタケの手に落ちたのか? 忍術学園の心配をよそに、学園長の大川平次渦正(迫英雄)と先生の山田伝蔵(今井靖彦)と土井半助(土井一海)は、忍術学園奪還を5年生の不破雷蔵(吉田翔吾)、鉢屋三郎(久下恭平)、尾浜勘右衛門(佐藤智広)、久々知兵助(山木透)、竹谷八左ヱ門(栗原大河)と6年生の善法寺伊作(反橋宗一郎)、食満留三郎(秋沢健太朗)に命じる。
忍術学園最大のミッションをどう乗り越えるのか。彼らはどんな方法で解決に導くのか。もちろん、身構える必要はないだろう。「忍たま」には欠かせない、時には切ない涙あり、腹を抱えて笑えるエピソード満載のストーリーになっているから。

初登場の渡辺貴裕と小田川颯依は、歴史ある作品に名を刻むべくしっかりした演技と歌と踊りと殺陣をみせてくれる。復活組の6年生、反橋宗一郎と秋沢健太朗は、5年生の活躍のサポート役に徹し、だからといっても時には表に立って5年生を引っ張る気概を見せる。カンパニーの優しさや、役者同士の友情と先輩・後輩の実際の関係は、キャラクターの性格にみずみずしく反映され、緻密な心理描写として舞台の上で生きていた。

どんな立場にも物怖じせずグイグイ行って挙句に失敗するドす部下と、それに困り果てる上司のドクササコ忍者の凄腕忍者は、現代社会の会社の上司・部活あるあるの風刺も込められたコミカルな役所だ。
藤田遼平と東将司のコンビは、それを巧みなボケとツッコミで饒舌に表現する。

さらに、1年生の猪名寺乱太郎(西口青翔)、摂津のきり丸(下松谷嘉音)、福富しんべヱ(木村皐誠)は可愛い!! 思わず抱きしめたくなる、演技、歌、踊り、ちゃんと原作の役を生きていて頼もしい。とても子役というくくりには思えない。一生懸命稽古をしたのだろう。その証が、大先輩たちに混じって、精一杯の表情や仕草や声に垣間見える。

そして5年生の不破雷蔵(吉田翔吾)、鉢屋三郎(久下恭平)、尾浜勘右衛門(佐藤智広)、久々知兵助(山木透)、竹谷八左ヱ門(栗原大河)は、互いの武器を駆使し体術や踊りや歌を堂々と披露する。吉田翔吾の歌は圧巻で座長としてもリーダーシップを見せ皆をまとめる。久下恭平の体術はアクロバティックな動きで、佐藤智広はダンスにキレを見せつける。山木透は狂言回し的な役割もしっかりこなし、栗原大河はみんなのまとめ役を務めながら笑いをさらっていく。甲乙つけがたいキャラクター同士の化学反応が舞台にみなぎっている。

忘れてはならないのは、脇役の先生や、学園長もクスッと笑わせる仕草に、漫画やアニメを見慣れている人でも感動するはずの“忍ミュ”の真骨頂が理解できる。それは、原作を損なわず、なおかつその日たった一回きりのライブだと認識させてくれるとてつもない舞台だということ。

そしてメインは歌になるだろう。オープニングの「遥かな夢」では5年生・6年生・兵庫水軍・ドクタケ忍者隊の美しいコーラスワークを響かせグランドミュージカル的な幕開けを飾る。

「やってやるぜ」では5年生がロック調の曲にのせて堂々たる決意表明をする。木野小次郎竹高の「木野小次郎竹高タンゴ」は、まるで為政者のカリカチュアのような歌。「部下と一緒にご飯を食べようの歌」では、スポットライトの下で、ドクササコの凄腕忍者は部下へ想いの丈を爆発させる。

そして、終盤の5年生・6年生・兵庫水軍の「想い、一つに」。これはまさに、役者だけではなく、作者の尼子騒兵衛の想い、脚本の阪口和久の想い、演出の菅野臣太朗の想い、カンパニーの想いさえ一つにまとめた「忍たま乱太郎」の代表曲になる壮大なゴスペルソングだった。約15曲にそれぞれリズムやメロディーがあり、飽きさせることは全くない。

そしておそらく“忍ミュ”の色あせないテーマであろう、どんな人も、どんな人種も一つになる勇気をもつことを訴えかけてくれる舞台。お話は難しくないので、子供も大人も大いに笑うことができる。今年初笑いの舞台としてオススメだ。

公演は、1月6日(土)から21日(日)まで東京ドームシティ シアターGロッソにて。2月3日(土)と4日(日)は愛知県の春日井市民会館への公演と続いていく。

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