LIVE SHUTTLE  vol. 234

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シド バンド初の元日ライブ。異様なほどテンションが上がり続けたステージ。15周年アニバーサリーイヤーのスタートで魅せたもの

シド バンド初の元日ライブ。異様なほどテンションが上がり続けたステージ。15周年アニバーサリーイヤーのスタートで魅せたもの

シド 結成十五周年記念公演「シド初め」
2018年1月1日 Zepp Tokyo

元日から異様なほどテンションが上がり続けた、最高のライブだった。と同時に、今年15周年を迎える彼らがこのアニバーサリーイヤーをどう攻めていくのか。そこに込めた4人のパッション、勢いが凄まじいほど伝わってきた夜でもあった。

1月1日、シドがバンド初の元日ライブ<結成十五周年記念公演 「シド初め」>を開催した。彼らは昨年末に全国のホールを回るツアー<SID TOUR 2017 「NOMAD」>を終えたばかり。しかも当日は元日だというのに、会場となったZepp Tokyoは、2階席の後ろに立ち見が出るほど超満員のファンで膨れ上がっていた。

開演時刻が迫ると、ステージの紗幕に時計が映し出される。オーディエンスのカウントダウンとともに開演時間ジャストにその幕が落ちると、定位置に構えたメンバーが目に飛び込んできた。そんな新年らしい演出から、2018年、彼らが新年始動一発目に選んだ曲は「chapter 1」だった。もうそれだけでZepp Tokyoのフロアが感極まる。そこに、さらに「ANNIVERSARY」を投下。シドとファンでこれまでたくさんの思い出を作ってきた、大事な曲2連発。それを祝福するかのようにフロアには銀色のテープがキラキラ舞い降りる。オープニングだけで、胸がいっぱいになる。

「今日から俺たち15周年です」とマオが告げ、最新アルバムのロックチューン「XYZ」がきたと思ったら、次はいきなりインディーズ曲「アリバイ」で不意打ち。ファンは嬉しさのあまり絶叫。マオがそんなファンの大歓声に撃ち抜かれるポーズをとる「V.I.P」、続く「MUSIC」では“俺たちそんなに浅い仲じゃなかろうが”と歌いながらマオがひざまずいて、最前のファンに急接近。メンバー同士も、明希がスラップ奏法でファンキーなフレーズを叩き出せば、そこにマオがファルセットをつかった中性的な声でフェイクを入れて、Shinjiの華麗なギターソロへとつなぐ。それをゆうやのドラムでブレイクさせるという美しい音の連係プレイを見せ、フロアの温度は急上昇。シドの曲はポップだしメロディアスな曲も多々ある。だが、それを支える4人のテクニックは、15年目にしてさらに磨きがかかって深みを増している。

「手拍子ちょうだーい!」というマオのいつもの掛け声から、メンバー紹介が始まり「えっ! このタイミングで?」とファンの度肝を抜いたのが、続いて披露された「循環」。いつもライブのハイライトで演奏されるキラーチューンを、この日は前半戦で早くも切り出してきた。

「せっかく元旦からみんな集まったんだし、グラグラになっちゃうぐらい回れる?」とマオがいうと、観客全員がその場でぐるぐると回転。ぎゅうぎゅうに詰め込まれた観客たちが一斉に同じ方向に回る光景は、圧巻の一言。明希がすぐさま「元気だねー、Zepp Tokyo」とオーディエンスを讃えたところから4人のMCコーナーへ。「このタイミングで回るとか思わなかったでしょ? 今日のセットリスト、凄いから」と嬉しそうに話す明希に続いて、「イェーーーー!」とのっけから異様なほど陽気なテンションで叫びまくるShinji。ゆうやは2018年の出来が今日で決まると自分にいい聞かせてここに立っていると自身のことを告げたあと「15周年は今日がスタート。盛り上がっていこう」と伝えた。「みんなお酒入ってんじゃないの? 入ってなくても今日は4人がお前らを酔わすからな」と粋なセリフでお正月からファンを舞い上がせたマオは、その勢いのまま今年の干支にちなんで「女子はみんな犬みたいにキャンキャンいわせてやる、男たちはワンワンいっとけ!」とフロアを煽るも「次はバラードだった」といって苦笑い。

じつは、大晦日から当日にかけ『CDTVスペシャル!年越しプレミアムライブ 2017→2018』にも出演していたシド。「寝ないで元旦ライブとか、いかれてていいよな? 次、バラードいくぞ!」とマオが開き直ったように荒々しい声で叫んだあと、始まったのはしっとり系のバラード「ハナビラ」。Shinjiが刻むアコギのストロークに明希がカウンターメロディを重ね、描いていった春のせつない物語。エンディングでは、マオが繊細なビブラートをきかせたロングトーンを響かせ、せつなさを倍増させていった。続けて「影絵」のプレイには、ファンも驚愕。重く、ダークな世界観がじんわりと場内に広がったかと思ったら場面が一転。明るくなるのかと思いきや、再び元いた世界観へと引き戻す。そんな先の読めない曲展開で、観客たちを翻弄したあと、すぐに「モノクロのキス」をプレゼントするあたりは、さすが。

このあとのMCでは、マオが「影絵」の選曲について触れ「メンバーも気に入ってるんで、今後ファンにも浸透すれば」という思いで演奏したことを打ち明けた。またこの日は、シドにとって久々のスタンディング会場ということもあって、序盤からオーディエンスとの接近戦へと挑み続けてきたことについては「最終的にはここ(舞台)から最後列まで転がって、2階席までよじ登って、みんなを“よしよし”したい」と興奮気味に話した。そのあと、「今年もみんなシドに妄想しとけ!」と勢いよくいい放ち「妄想日記」から後半戦へ突入。一体感ある振りで一つになったフロアにダメ押しで「dummy」が投入されると、あちこちから悲鳴が上がる。マオはフロアに足を踏み入れて前傾姿勢で歌い、その横でShinjiが体を大きく後ろに反らしギターソロを奏でる。スタンドマイクを自ら押し下げ、目をギラつかせた明希が「フォッ! フォッ!」と迫力ある声で観客を煽り立てると、ものすごいボリュームのコール&レスポンスが巻き起こる。ステージとフロア、お互いの熱気が激しくせめぎあう。そのど真ん中めがけて、マオが勢いよくダイブ。そうして、興奮のるつぼと化した場内に「結婚しよう!」とマオがつぶやき「プロポーズ」でファンは絶頂。そして「一人ひとりが全力でかかってきなさい!」と何度も何度もフロアを煽ったあと「眩暈」を披露して、バンドとオーディエンスは我を忘れて狂喜乱舞。

本編を終えた後も「TOKYO! TOKYO!」と大声で叫びまくって「どうもありがとう」といって満面の笑顔を浮かべるマオの姿が、この日の異様な興奮ぶりをダイレクトに伝えていた。

インディーズ初期の「必要悪」というマニアックなナンバーでアンコールが始まってからも、本編の異様なテンションの高さは持続。マオは、歌の途中でペットボトルの水を口いっぱいにふくんだ後、観客めがけて吹き出し、最後はそのペットボトルをフロアに投げ込んだ。そうして歌い終えたあとは、この日の元日ライブについて「みんなのイメージでは事務所に決められてって思ってるのかもしれないけど、“これやりたい、やりたい!”ってやってるの、俺らだから」と、自分たちの意思でこの元日ライブを決めたことを告白。急な発表にも関わらず、チケットがSOLDしたことについては「本当に凄いことだと思う。ありがとう」とこの日集まったオーディエンスに、素直に感謝の気持ちを述べた。

そして「ここからは男も女も大人も子供も誰でも盛り上がれるやつ、持ってきたから!」といって「Dear Tokyo」をプレイすると、これまでのテンションをさらに凌駕するような満場のシンガロングが巻き起こる。「お前たちの歌い初めだな」とマオが誇らしげにいい、ライブは「one way」でさらなるクライマックスへ。エモーショナルなプレイに合わせて大群移動を繰り返す観客たち。その波打つフロアの熱気と迫力に押されて「もう一発いきたいよな? ちょっと待って」とマオがいい、ステージ上で4人は緊急会議。そして「一発でしとめるぞ!」とマオが叫び、予定になかった「吉開学17歳 (無職)」をパフォーマンスすると、フロアは発狂。バンドとオーディエンス一丸となって、さらなるスケールの熱狂を場内に描き出していった。

そのあと、マオが改めて15周年について静かに語り始めた。最初に、これまで5周年でメジャーデビュー、10周年で10周年ツアーと「シドは5年ごとに節目となる大きな出来事があった」とを振り返り、「10周年以降は活動が緩やかになったけれど」と前置きしながらも「ここからの15周年は、みんな勉強とか仕事とか恋人のこととか他のバンドのこととか、まったく考えられないぐらいシド色に染めることにしたんで」と力強く宣言した。そうして、最後に「大切なみんなに」といってバラード「光」で、この日集まったオーディエンスを温かく包んでみせたシド。

演奏を終えたあとは、マオの提案でお正月っぽく1本締めでステージを締めくくると、ゆうやが「こんないい年のスタートの仕方はないと思うよ」と感動しながら告げ「よし! この熱量のまま、ツアー先でまってるぜ」とファンと熱い再会の約束を交わした。そして、最後にマオが生声で「愛してます!」と叫んで、この日のライブは終了。

シドはこのあと、5月5日の東京・Zepp DiverCity TOKYOを皮切りに<SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018>を開催。このツアーは、ファンクラブ限定LIVE、ファン投票LIVE、暴れ曲限定LIVE、インディーズ曲限定LIVE、昭和歌謡曲限定LIVEと行く日によって、内容が異なったライブが楽しめるのが特徴だ。このツアー以外にも、ワクワクするような企画で音楽ファンをどんどんシド色に染めながら、彼らは15周年のアニバーサリーイヤーをハイテンションのまま駆け抜けていく。

文 / 東條祥恵 撮影 / 今元秀明

シド 結成十五周年記念公演「シド初め」
2018年1月1日 Zepp Tokyo

SET LIST
1.chapter 1
2.ANNIVERSARY
3.XYZ
4.アリバイ
5.V.I.P
6.MUSIC
7.循環
8.ハナビラ
9.影絵
10.モノクロのキス
11.妄想日記
12.dummy
13.プロポーズ
14.眩暈
-アンコール-
EN1.必要悪
EN2.Dear Tokyo
EN3.one way
EN4.吉開学17歳(無職)

ライブ情報

SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018
5月5日(土・祝) Zepp DiverCity TOKYOよりスタート
*詳しくはオフィシャルサイトで

SID(シド)

2003年結成。マオ(vo)、Shinji(g)、明希(b)、ゆうや(ds)からなる4人組ロックバンド。
2008年、TVアニメ『黒執事』オープニングテーマ「モノクロのキス」でメジャーデビュー。
2010年の東京ドーム公演では4万人を動員。結成10周年となった2013年には、初のベストアルバムをリリースし、オリコンウィークリー1位を獲得。同年、横浜スタジアムで10周年記念ライブを開催、夏には初の野外ツアーで4都市5公演で5万人を動員し大成功を収める。2014年には香港・台湾を含む全国ツアーも開催。2016年1月にはベストアルバム『SID ALL SINGLES BEST』をリリース。
2017年1月には約1年ぶりのシングルとなる映画『黒執事』主題歌「硝子の瞳」をリリース。5月にはシングル「バタフライエフェクト」をリリースし、両日ソールドアウトの中、日本武道館2days公演を実施。成功を収める。9月には、3年6ヵ月ぶりのオリジナルアルバム『NOMAD』をリリース。15周年イヤーの2018年5月より全国ライブハウスツアーを開催する。

オフィシャルサイトhttp://sid-web.info/pc_index.html

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