LIVE SHUTTLE  vol. 236

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米米CLUB 4年半ぶりの全国ツアー。「謎のパフォーマンス集団」と呼ばれた米米が帰って来た!? 唯一無二の米米エンターテインメントが炸裂!

米米CLUB 4年半ぶりの全国ツアー。「謎のパフォーマンス集団」と呼ばれた米米が帰って来た!? 唯一無二の米米エンターテインメントが炸裂!

米米CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2017 ~おせきはん~」
2018年1月9日 NHKホール

2017年の9月9日からスタートした米米CLUBの全国ツアー「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2017 ~おせきはん~」が千秋楽を迎えた。

全国ツアーは2013年の「大天然祭 SUPER NATURAL CARNIVAL ~大漁歌い込み~」以来4年半ぶりとなる。2006年の再結成以降も、多くの観客を動員し、昨年8月には最後の(?)ベストアルバム『LAST BEST ~豊作参舞~』をリリース。9月には「氣志團万博2017」にユニコーン、岡村靖幸、山下達郎という豪華ラインナップのステージにも登場し、新旧のリスナーにインパクトを与えた彼らだが、今回のステージのテーマは、「あの頃の米米CLUBをもう一度」だという。

1985年にデビューし、90年代には「浪漫飛行」「君がいるだけで」の特大ヒットを生み、アリーナを満員にするビッグバンドに上り詰めた米米ではあるが、かつては「謎のパフォーマンス集団」と呼ばれ、数々の挑戦的なステージを披露。ツアーでは内容の異なる2種類(時には3種類)のセットリストが用意され、曲目や合間に入る小芝居や出し物やセットも違うという実に手の込んだステージを繰り広げていたのだ。今回、発表されたツアー会場に東京・江戸川区総合文化センターを発見したとき、「幻のロコ公演再びか?」と、興奮したのは相当年期の入ったファンに違いない。

1月9日に行われた東京・NHKホールの公演から、今の彼らを紐解いていきたい。

紅白の緞帳に「おせきはん」の文字が、新春の幕開けにふさわしいお目出度い雰囲気を醸す開演前。ツアーグッズの法被を身に纏った観客が待ち構える中、幕が開くと、そこにはドックに足をかけるマドロス姿のカールスモーキー石井が。ここで「待ってました!」と声のひとつも出したくなるのは、80年代からのオールドファンで、マドロスさんはCS石井の十八番とも言えるキャラ。お決まりのボーダーにキャプテンハットのいでたちで、インチキ臭い懐メロを歌う歌手・腹綿腸次郎だ。「いとしのドミンゴ」「ブルース錨の波止場」を歌い上げ、女の声色を駆使しながらの一人小芝居も披露。初期から90年初頭くらいまでのステージでは、この石井の一人芝居も米米の名物のひとつだった。「浪漫飛行」のヒットの反動で(?)リリースされた米米の傑作・珍作をまとめたアルバム『米米CLUB』(1991)に収録された「オイオイオイ マドロスさん」を2018年に聴けるとは! しかも、ライヴのオープニングにマドロス歌謡を持ってくるとは!? 大胆にもここで一旦幕が閉まり、場内アナウンスで「最後の昭和を追い求める腹綿腸次郎先生の15年ぶりの新春特別公演でした」。挙句、「ここまででモトが取れてございます」だもの。こんな客をナメきったようなパフォーマンスをデビュー33年目の今もやってのける、それが今の米米CLUBなのだ。

再び、幕が開くと、SUE CREAM SUEのMINAKO&MARIに、ダンサーのテキーラまさはる、パーカッションのMATARO、コーラスのMACHIKO、BIG HORNS BEEもオン・ステージ。アルバム『GO FUNK』(1988)収録の「僕らのスーパーヒーロー」から始まるというのも新鮮で、一段とファンキー度が増したデビュー・シングル「I・CAN・BE」へと続く。「NHKホールは聖地のようなもの」というMCを挟み、セット指して「今日はこのように自分たちで紅白歌合戦のようにしてみました」。その昨年末の「NHK紅白歌合戦」でオーケストラの指揮を務めたのが、最近では映画やドラマの音楽でも活躍しているフラッシュ金子だ。90年代の半ばに『ポンキッキーズ』で流れた「Child’s days memory」は、米米流のスタンダードなポップス。「この曲を聴きながら子育てをした方も多かったのでは」と言うように、時を重ね、今では親子二代でライブを楽しむ観客も少なくない。

会場が温かいムードに包まれたのも束の間、再びCS石井の「都会に馴染めないお国訛りの抜けないドラ息子」の一人芝居。「ジャズ」の「ズ」にアクセントを効かせ、歌うは新曲「大都会人」。ネタのたびに新曲を作り、ステージで披露するもアルバムには収録しない。米米にはそんなライヴ限定の曲が数多あり、『米米CLUB』と『SORRY MUSIC ENTERTAINMENT』(1995)にその一部が収録されているが、自らそれらを「先に誤ってしまえば何をやってもいい」ソーリー・ミュージックと名付けた。そんな曲にこそ米米の本質がある、と見る向きもあるほどだ。シュークもそれに負けじとショートパンツで新曲「PEACH HIP II」を歌い踊り、法被姿にメガホンのBIG HORNS BEEが親衛隊の体で「マリちゃーん!」「ミナちゃーん!」と掛け声を入れる古のアイドル歌謡風の「東京イェイイェイ娘」へ。チープで、ポップで、どこか間が抜けたこの感じ。ダンサー多しと言え、シュークの二人にしか体現できない芸当である。バンドにダンサーがいる形態が珍しかった80年代から独自のエンターテインメントを目指してきた米米にとって彼女たちの存在は専属ダンサーという以上に大きい存在だ。

「ブーン。ハトコちゃん」。出た! またもやCS石井の十八番、青空鳩子と恋人ヒロシの一人芝居。ぶりっ子が流行った時代にタイムスリップするようなうれし恥ずかしのネタを2018年に演じきる。それを勇姿と私は呼びたい。「ホテルくちびる」に続いて歌われた「パリジェンヌ ホレジェンヌ」のインチキ・シャンソンにも痺れた。おフランス、パリへの憧憬を徹底的にクリシェまみれで描いたこの曲、アーティストと呼ばれることに一貫して拒否反応を示していた石井らしい反逆精神が息づいている。

「ハワイのホテルを買い取れ」という歌詞がバブル期のニッポンを思い出させる「Peeping Tom」は、MVが話題を呼んだ1991年の曲。「浪漫飛行」と「君がいるだけで」の間、米米が世間で広く認知され、バンドが変革の時期を迎えつつあった頃の曲だが、ジョプリン得能が豆の被りもので登場する意味不明の演出や、彼らの攻めの姿勢が音楽的にも表れている。第1部の最後は「浪漫飛行’07」。米米にとっては初のミリオンを記録した代表曲を、再結成後初のアルバム『komedia.jp』ヴァージョンで華やかに締めくくった。

15分の休憩を挟んで始まった第2部は、重厚なJO登場のテーマが流れ、いよいよジェームス小野田が登場すると、客席は米型のペンライトの赤い光で埋め尽くされる。お約束とはいえ、ジェームス小野田の登場シーンは毎度、独特の緊張感が充満し、これから始まる怒涛のファンク・タイムに胸が高まる。

今回は、初期のJOナンバーの傑作「晴晴新人類」(『E・B・I・S』1986)から、「OH!米GOD」〜「美熱少年」と攻めのファンク・ナンバーで一気に会場を興奮の坩堝に。石井はMCに徹し、「ジェームス小野田!」「拍手ピーポー」を連呼。こんな古典的なソウルショーのマナーに則ったスタイルで、米米は日本にソウル/ファンクを根付かせていったのだ。途中で小野田と石井の掛け合いでソーリー・ナンバー「オン・ザ・ロックをちょうだい。」を入れるあたりも彼らの一筋縄では行かないところ。しかし、BIG HORNS BEEを含む分厚いバンドのアンサンブルによって、まさに「かっちょいい!」グルーヴを生み出す。ゴスペル〜サザン・ソウル系の新曲「THAT’S THE NAMIDA!!」の小
野田とMACHIKOのソウルフルなヴォーカルも素晴らしかった。

対して、石井は80’sのUKソウルを彷彿させるファンに人気のナンバー「SO COOL」をスタイリッシュに小粋を聴かせる。初期の米米を代表する「sure dance」のキラキラ眩しい80’sのテイストを満喫していると、「みんな、爽やかかい?」と水を差すのがCS石井の困った性分。「それでは、あの曲を聴いてください」と、お馴染みのイントロが流れる。ところが、歌われたのは、「君いる!」のみ! あの「君がいるだけで」をたった二言で歌い切り、さっさとステージを去って行った。かつて「君いる」が大ヒットを更新していた最中のツアー「SHARISHARISM DECADENCE」(1992)では、夜空コウモリなる芸名でカラオケで「君いる」を歌い、初心者の度肝を抜いた前歴がある石井だ。期待を裏切ることにかけては、いまだに油断も隙もあったもんじゃない。という意味で、「あの頃」しかけた仕業は健在と言わざるを得ない。兄に代わって「『君いる!』にしちゃってごめんね」と謝ったMINAKOは、ソロで「逢いたくて」を高らかに歌い軌道修正。MARIとテキーラまさはるはデュエットの新曲「開いてもいいかい?」は、濃厚なラテン歌謡に仕上げてきたが、ジャンルとしては間違いなくソーリー系楽曲だろう。

ソーリーな流れから、小野田、石井が再び登場し、「インサートデザート」に突入。何を歌っているのか聞き取りにくい意味不明な二人のヴォーカルとヘビィなファンクサウンド、怪しげなおじさんの会話が不穏な空気を醸す問題作に続いて、「FUNK FUJIYAMA」へなだれ込む。SAMURAI SUSHI GEISHA を歌詞に配し、和洋折衷ファンクに果敢に取り組んだ頃のシングル曲では、バブルさながらに扇子で舞い踊る観客が続出。『GO FUNK』(1988)、『5 1/2』(1989)からのナンバーが多かったのは、米米がバンドとしての本気と実力を発揮するようになった「あの頃」をここで今一度確かめる意味もあったのかもしれない。

本編の最後はカヴァーの定番曲「狂わせたいの」、初期から現在までライヴでは欠かせない「Shake Hip!」で異様なまでに盛り上げる。そのハイテンションと集中力、息の合った気迫のプレイには凄みすら感じさせたほどだ。

アンコールではなく「ボーナス」と呼ばせて30年余。米米お約束の「BONUS SHOW TIME」は、石井ヴォーカルの「君の瞳に恋してる」のカヴァーに意表を突かれた。フォー・シーズンズのフランキー・ヴァリが歌い、80年代にはボーイズ・タウン・ギャングのディスコ・アレンジで日本でも大ヒットしたこの曲を歌い上げる歌唱力はさすが。「今のは新曲で」とうそぶいてみせるが、本編であれだけエネルギッシュに歌い、踊り、煽り、芝居までしておいて、なおかつ歌で魅了するのだからあらゆる意味で別格だ。2006年の再始動でも大切に歌われた「Just U」の流れも良かった。新年早々に充実したライヴをやり通したからか、「カウントダウンライブをやってみようかな」という発言まで飛び出し、今後の活動にも期待を持たせた。最後は、「コンサートではやってこなかった30年前の曲」「MY SWEET SWEET SHOW TIME」(『GO FUNK』収録)をメンバー全員でアカペラで初披露。「あの頃はうまく歌えなかった」と言うが、ステージの最後にこの歌を持ってきたところに今の彼らの誠実な姿勢が伝わってくる。「君のために歌おう 愛を込めて I love you from stage」という歌がホールに響き、会場は大きな拍手に包まれた。 
全32曲、約3時間に及ぶ堂々たるエンタテインメント・ショーだった。2006年に活動を再開してから12年。ヒットナンバーや人気曲だけで華やかに盛り上げることも出来るが、それだけが米米ではないことを彼ら自身がいちばん知っている。「あの頃」を懐かしむのではなく、新曲、迷曲、一人芝居でも魅せる、攻める2018年最新型の米米CLUBがそこにいた。

文 / 佐野郷子 撮影 / 荒川 潤

米米CLUB 「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2017 ~おせきはん~」

SET LIST
<マドロス・ショータイム>
1. 極太御赤飯御開帳~有りがたや「あかまんま」~
2. いとしのドミンゴ
3. ブルース錨の波止場
4. オイオイオイ マドロスさん

<第1部>
5. 僕らのスーパーヒーロー
6. I・CAN・BE
7. Child’s days memory
8. 大都会人
9. シューキー・アイズ(登場のテーマ)
10. PEACH HIP II
11. 東京イェイイェイ娘
12. ホテルくちびる
13. パリジェンヌ ホレジェンヌ
14. Peeping Tom
15. 浪漫飛行 ’07

<第2部>
16. GET’S THE OSEKIHAN(JO登場のテーマ)
17. 晴晴新人類
18. OH! 米 GOD! / 美熱少年~オン・ザ・ロックをちょうだい。
19. かっちょいい!
20. THAT’S THE NAMIDA!!~OH! 米 GOD!
21. SO COOL
22. sure dance~君いる!
23. 逢いたくて
24. 開いてもいいかい?
25. インサートデザート
26. FUNK FUJIYAMA
27. 狂わせたいの
28.Shake Hip!

<アンコール>
29. BONUS SHOW TIME
30. 君の瞳に恋してる
31. Just U
32. MY SWEET SWEET SHOW TIME

米米CLUB

1982年に結成。1985年にシングル「I・CAN・BE」とアルバム『シャリ・シャリズム』でデビュー。「二度と同じステージはやらない」をモットーに、ダンサーチームSUE CREAMSUEやホーン・セクションのBIG HORNS BEE と共に大所帯のエンターテインメント・バンドとして人気を博す。80年代後半からはソウル/ファンク色を打ち出したアルバム『GO FUNK』、『5 1/2』で音楽的にも高評価を獲得。1990年には「浪漫飛行」がミリオンセラーとなり、1992年には「君がいるだけで」がダブルミリオンの大ヒットを記録。その一方で、寸劇や一人芝居を取り入れたステージやソーリー曲と呼ばれる迷曲のみで構成されたアルバムも発表するなど唯一無二の活動を展開。1997年の東京ドーム公演をもって解散するが、2006年に期間限定で活動を再開。予想を上回る好評から期間限定による活動を撤廃し、アルバム・リリースやツアーを継続。2017年はオールタイムベストアルバム『LAST BEST ~豊作参舞~』をリリース。

オフィシャルサイトhttp://www.komekomeclub.net/

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