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お前を本気(マジ)で愛してる。17人のホストが“愛”を叫ぶ舞台『私のホストちゃん REBORN ~絶唱!大阪ミナミ編~』観劇レポート

お前を本気(マジ)で愛してる。17人のホストが“愛”を叫ぶ舞台『私のホストちゃん REBORN ~絶唱!大阪ミナミ編~』観劇レポート

2011年に放送されたドラマ『私のホストちゃん~しちにんのホスト~』は、新宿を舞台に「クラブバニラ」でのホスト同士の抗争がノンフィクション風に描かれ、登場するホストの魅力的なキャラクターは幅広い層から支持を得た。そして2013年、ドラマの設定から『私のホストちゃん』の舞台が誕生。好評につき、第2弾(2014年)、第3弾(2016年)と上演された。そして前作、2017年の『私のホストちゃんREBORN』は、染谷俊之や久保田秀敏の歴代ホスト2名を筆頭に、ホストちゃんが一新された新シリーズが描かれ、こちらも熱烈なファンを獲得。さらなるファンの熱い要望で帰ってきたのが『私のホストちゃん REBORN ~絶唱!大阪ミナミ編~』だ。芝居はもちろん、歌、ダンス、客席を巻き込む口説きタイムあり、新企画も目白押しの究極のエンターテイメントが繰り広げられる舞台。さらに、大阪ミナミを舞台にどんな感動的な人間ドラマが展開されるか注目して欲しい。

取材・文 / 竹下力

「愛」以外に何が必要だというのだ!

ストーリーはとてもシンプル。新たなホストのメッカとなった大阪ミナミに乱立するホストクラブのなかで、クラブ「ワールド」は、圧倒的な人気でミナミを牛耳っていた。

しかし、突如としてライバル店のホストクラブ「TOPSTAR」が前作でも縦横無尽に活躍したオーナー甘王(緒方雅史)によってオープンされる。ふたつのホストクラブが大阪を、いや日本全国を巻き込み、売り上げナンバーワンをかけて激しく争う。

ホスト同士の客引きの争い、店同士のホストの引き抜きや移籍、女と金、憎悪と嫉妬が垣間見えるノンフィクションテイスト渦巻くドロドロな世界が繰り広げられると思いきや、さすが、脚本・演出の村上大樹は妙技を見せてくれる。彼はそんな現実のやさぐれた世界を、手品のように一瞬で爆笑と感動が生まれる世界に変えてしまう。

総合プロデュースの鈴木おさむと村上のタッグは、ギャグ、漫才、ダンス、歌、SFと、現実と近未来の世界を巧みに織り込みながら、観客を飽きさせることなく、約3時間のノンストップ・エンターテインメントに仕立てあげた。

その中心になるのは、ささやかなヤクザな世界に生きる男たちの相克、そして彼らとかたぎに生きる男女が紡ぐ人間の普遍的な愛だ。

元・突風STARというアイドルグループだった紫音(古屋敬多)、茶々彦(米原幸佑)、愛夜香(寺田拓哉)、哀(吉田広大)は「TOPSTAR」でバリバリの歌とダンスを披露して人気をものにする。そこに「ワールド」から移籍してきた響介(佐々木和也)、最年少ホストのうさぎ(小林亮太)、瑞月(釣本南)、恋太郎(TAKA)、氷河(糸川耀士郎)は、突風STARの歌とダンスの実力には勝てず引き立て役に回ってしまいやきもきする毎日。

もちろん、ミナミのトップだった「ワールド」も黙ってはいない。「ワールド」のNO.1ホストの珠輝(小坂涼太郎)と彼と元漫才コンビの相方だったという湊人(三浦海里)をツートップに、前作に登場した歌舞伎町のホストクラブ「ROSE」から檸檬(松井勇歩)、豪太(森田桐矢)、一真(蔵田尚樹)、蜜柑(藤戸佑飛)が引き抜かれ、東西のホストクラブが一致団結し真っ向から争う。

激戦に次ぐ激戦。果たして彼らの運命は……。それを左右するのは太客(たくさんのお金を使ってくれる客)の存在だ。まず、太客の阿倍野ハルカ(野口かおる)がひょんなことで「ワールド」を手に入れ、元オーナーの蛭田次郎(鬼頭真也)が連れてきた松風ちひろ(悠未ひろ)を招き入れたことで、次第に「ワールド」のちぐはぐな雰囲気が変わってくる。

一方、そこには大阪で絶大な人気を誇るラジオDJの夢・ジャネット(LiLiCo、大林素子のWキャスト)が、「TOPSTAR」の活躍を知り通い始めると、彼女のマネージャーのような情事(杉江優篤)がホスト通いに嫌気を覚えはじめる。ここでの彼は、彼女への献身さから嫌悪への演技に豹変し、それには思わず男性って怖いと思ってしまった。さらに、もう一人の太客の城万次郎(三ツ矢雄二)と彼に仕える騎士(橋本全一)まで入り乱れ、ミナミの歌姫こと心斎橋リリー(小柳ゆき)が登場すれば、舞台はドタバタの様相を呈してくる。

そこには優しく、時には悲しい人間関係が、鳴門の渦潮のように渦巻いているが、深く考える必要はないだろう。ただ、席に座り、個性的な演者の演技とあなたの耳元でささやくホストの甘い言葉に身を任せていれば、胸キュンでオール・オッケーになってしまう説得力のある演出なので舞台の進展に身を委ねよう。

口説きタイムはもちろんのこと、当然、ダンスや歌あり、新企画もあるので、前作を楽しんだ人も新鮮な驚きがあることは間違いない。

個性的なホストも魅力だけれど、まず、元・宝塚歌劇団宙組の男役の悠未ひろと小柳ゆきの歌から耳が離れない。悠未ひろは甘いバリトンを、小柳ゆきは高いキーのシャンソン風の歌を魅せる。ダンスは17人のホストが魅せつつ、口説きタイムは絶妙なタイミングで甘王がツッコミを入れて爆笑をさらっていく。カンパニーの掛け合いが見事だ。

当然、男性が観劇しても、そこに描かれるホストたちの男の友情、時には男同士の嫉妬や衝突、男の性(さが)、そして男の夢を17人のホストが十二分に見せてくれるのでご安心を。

なかでもダンスユニットLeadの古屋敬多のダンスと歌から滲み出る愛は、身悶えするほどで落涙は確実だ。小坂涼太郎と三浦海里の凸凹コンビも腹を抱えて笑わせてくれる。小坂は身長の高い体躯を活かした演技、三浦はまことに可愛らしい演技の掛け合いで舞台にしか起こらないケミストリーを生んでいた。コメディリリーフの藤戸佑飛は、ちょっと小太りの体型を活かして客席を大いに盛り上げた。17人すべての魅力がたった一つの舞台に詰まっていてどこから語っていいのかわからない。

新人ホストの寺田拓哉、小林亮太、釣本南、杉江優篤、TAKAは、それぞれのクラブの特色を掴み自分のキャラクターをしっかりと生きていた。

先輩ホストの米原幸佑、松井勇歩、吉田広大、森田桐矢、佐々木和也、蔵田尚樹、糸川耀士郎、藤戸佑飛、橋本全一は後輩を引っ張って演じていく。

この日のゲストだった流星役の久保田秀敏は、口説きタイムであっといわせる口説きで先輩の貫禄も忘れない。

とはいえ、たとえゲストがいなくても、彼らの激しい稽古の末の結束力のあるカンパニーは、観客を飽きさせない仕掛けの連続で劇場を本物のホストクラブに作り変えていた。

公演は、2018年1月19日(金)~28日(日)までサンシャイン劇場にて。1月31日(水)・2月1日(木)が名古屋の東海市芸術劇場、2月6日(火)が広島の上野学園ホール、2月10日(土)・11日(日・祝)には、舞台の設定にもなっている大阪のサンケイホールブリーゼへと上演が続く。

普遍的な「愛」をもがきながら手にしようとした17人の名だたるホストたちはどんな結末にたどり着くのか。その一番正しい答えを見つけだし、見事に愛を勝ち取ったNO.1ホストに万雷の拍手を送ってほしい。NO.1を選んだあなたの一票がこの舞台のすべてだから。

『私のホストちゃん REBORN ~絶唱!大阪ミナミ編~』

東京公演:2018年1月19日(金)~28日(日) サンシャイン劇場
愛知公演:2018年1月31日(水)・2月1日(木) 東海市芸術劇場
広島公演:2018年2月6日(火) 上野学園ホール
大阪公演:2018年2月10日(土)・11日(日・祝) サンケイブリーゼ

総合プロデュース:鈴木おさむ
脚本・演出:村上大樹

出演
紫音 役:古屋敬多(Lead)、愛夜香 役:寺田拓哉、珠輝 役:小坂涼太郎、湊人 役:三浦海里、
うさぎ 役:小林亮太、瑞月 役:釣本南(Candy Boy)、情事 役:杉江優篤、恋太郎 役:TAKA(CUBERS)/
茶々彦 役:米原幸佑、檸檬 役:松井勇歩、哀 役:吉田広大、豪太 役:森田桐矢、
響介 役:佐々木和也(SOLIDEMO)、一真 役:蔵田尚樹、氷河 役:糸川耀士郎、
蜜柑 役:藤戸佑飛、騎士 役:橋本全一/夢・ジャネット 役:LiLiCo(Wキャスト)・大林素子(Wキャスト)/
松風ちひろ 役:悠未ひろ/甘王 役:緒方雅史/阿倍野ハルカ 役:野口かおる、
蛭田次郎 役:鬼頭真也/心斎橋リリー 役:小柳ゆき/城万次郎 役:三ツ矢雄二

ゲスト
1月21日(日)17:30開演回:荒木宏文
1月23日(火)13:30 / 18:30開演回:久保田秀敏
1月24日(水)18:30開演回:染谷俊之
1月25日(木)13:30 / 18:30開演回:井澤勇貴、杉江大志
1月27日(土)12:30 / 17:30開演回:五十嵐麻朝、塩川渉
1月31日(木)13:30 / 18:30開演回:黒羽麻璃央

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