Interview

新山詩織 デビュー5周年。初のベストアルバムは、少しずつ成長していく自分の姿を収めたメモリアルな作品。曲とともに重なる思い出、そしてこれからのことを語ってもらった。

新山詩織 デビュー5周年。初のベストアルバムは、少しずつ成長していく自分の姿を収めたメモリアルな作品。曲とともに重なる思い出、そしてこれからのことを語ってもらった。

昨年12月にアーティストデビュー5周年を迎えた新山詩織が自身初となるベストアルバム『しおりごと-BEST-』をリリースした。メジャーデビューシングル「ゆれるユレル」から福山雅治が手がけた月9ドラマ『ラヴソング』の劇中歌「恋の中」、Charaとのコラボレーションが話題を集めた最新シングル「さよなら私の恋心」までの全シングルに加え、中学卒業間近に作った初のオリジナル曲で、メジャーデビュー前の0thシングルとして発表した「だからさ~acoustic version~」もBONUS TRACKで収録。デビュー以来、新山詩織が積み重ねてきた“こと”——5年分の「しおりごと」を振り返る。

取材・文 / 永堀アツオ

根本は変わってないと思うんですけど、変わった部分もたくさんあると思います。

昨年の12月でアーティストデビュー5周年を迎えました。

長かったなと思いながら、あっという間だったなっていう気持ちもあります。毎年言ってたかもしれないんですけど(笑)、1日1日がすごい濃い1年を過ごしてきて。その1日の中でもいろんなことが起こったり、感じたりという日々だったので、やっぱり濃い5年だったなと思います。

デビュー記念日はどう過ごしました?

前日に久々に実家に帰って、母の手料理を食べたのが幸せでした。親とも「明日で5年か。あっという間だったね」っていう話をしてて。「変わってない部分もあるけど、詩織も変わったのかね」っていう話もしました。

ご自身ではどう思います? 変わりましたか。

根本は変わってないと思うんですけど、変わった部分もたくさんあると思います。

その変わってない部分と、変わった部分というのは?

自分の気持ちを出すっていうのはずっと変わらない部分ですね。友達には、「昔から中身は老けてたから根っこは変わらないね」とも言われました(笑)。変わった部分は……5年前、16歳の時は、ここまでたくさんの人と関われるようになるっていうことは考えられなかったと思います。こうして、目を見て話すこともできなかったので(笑)。そこは変わりましたね。

あははは。そうですよね。最初はインタビューでも目を見てくれませんでしたから。でも、人見知りじゃなかったら歌もはじめてないかもしれないですよね。

ほんとにそうだと思います。あと、「自分はこんなことを思うな」とか、「こんなことをやってみたいな」とか。そういう自我というか、自分で自分を見つめられるようになったのは、結構、変わったのかなと思います。

二十歳を迎えたあとですね。身近な友人も社会に出て働き始めたりとか、周りの環境も変わったのも大きいと思うんですけど

それはどのタイミングからですか?

時間はかかったと思うけど、たぶん、二十歳を迎えたあとですね。身近な友人も社会に出て働き始めたりとか、周りの環境も変わったのも大きいと思うんですけど、そこから周りをみる見方も広がったなと思います。

今回、ベスト盤をリリースしようと思ったのはどうしてですか?

ちょうど5年というひと区切りで、「だからさ」を出した頃から今の私まで……。その中でも変化もあったからこそ、一度、区切りをつけることも大事なのかなっていうことで、今回、ベストという形になりました。

ご自身でも振り返りました?

振り返りましたね(笑)。それこそ、「だからさ~acoustic version~」は、当時、メルマガ登録してくれた方の名前とサインを書いて、送って。そこから始まって、いろんな人に自分の存在が知られていって。1曲1曲の制作時にも、いろんな葛藤だったりとか、人と人との向き合う時間もたくさんあったりして。曲が生まれてくごとに、私も一歩一歩進んできたんだなって、改めて思いましたね。

あのときにはあのときにしか歌えない歌い方だったなって思いました。

「だからさ」を歌ってる当時の自分を今の自分が聴いて、どう感じました?

アコースティックバージョンがアルバムに入るのは今回が初めてなんですけど、すごい荒々しさが出てるなと思って(笑)。あの時は、自分を奮い立たせるために歌ってたんだなっていうのをすごく感じましたね。

続く、デビューシングル「ゆれるユレル」は?

プロデューサーの笹路正徳さんと、豪華なメンバーの方達とレコーディングした時のことをすごく思い出しましたね。笹路さんからお借りしたエレキギターを弾いたんですけど、笹路さんのエレキを持っただけで興奮したのを覚えてて。緊張感もありつつ、ワクワク感もあった。みんなでいっせいにわって音を鳴らして、形にできた感じがあるなって思いました。

歌声もすごく力強いですよね。こんなにパワフルに歌ってたかと驚きました。

自分でも、グッてくる感じがありましたね。あのときにはあのときにしか歌えない歌い方だったなって思いました。

曲順をリリース順にしたのは?

単純にリリース毎に、最初から最後まで聴いてもらった方が、自分の変化もわかりやすく聴いてもらえるのかなと思って。この順番にしました。自分で通して聴くと、もちろん自分のことだから制作時のこともよく覚えていますし、ここが区切りでちょっと歌い方かわったなとか、出てくる言葉も違うな、とか感じる部分があって。

この5年のなかでいくつくらいの区切りがありました?

自分の中では、4曲目の「今 ここにいる」までが学生時代で。6曲目の「ありがとう」は学生の時に書いていた曲なので少しずれてしまうんですけど、そこから「絶対」ができるまでの間に転機があって。あとは、10曲目の「恋の中」の前にもありましたね。

「今 ここにいる」「ありがとう」と「絶対」の間には何がありました?

高校を卒業したのが大きかったですね。それまでは学生生活の中で、日々の中で自分に対して、相手に対して思うことが歌詞として出てきたんですけど、卒業して、それがなくなってしまった。新しい生活の中で、私は今、何を言いたいんだろうなって思ったときに、言葉がなかなか出てこなかったりして。結構、自分で自分と戦いながらやってたなっていうことを思い出しましたね。

本当に1曲1曲を通して、私っていう人物ができていったんだなっていうことを感じて。

7枚目のシングル「隣の行方」(’16年2月発売)で二十歳を迎え、その2ヶ月後には劇中歌として「恋の中」を歌ってます。

初めてドラマに出て。福山さんが作詞作曲してくださった曲を通して、普段は特別に音楽が好きじゃないという方にも知ってもらえる機会が増えたと思うんですね。ここは本当に1つの転機だったなと思います。ベストアルバムを通して聴いてみて、本当に1曲1曲を通して、私っていう人物ができていったんだなっていうことを感じて。曲ごとに聴くと、その時々の私がいるけど、通して聴いたときに、私は私だけど、それでも成長していたなっていうことを実感できた。それも一人じゃなくて、支えてくれる、応援してくれる方がいたから、身長が伸びていくように成長できたなって思います。

「そのままでいいんじゃない」っていう言葉は響いて。自分でも大事にしてました。

人との出会いで何か覚えていることはありますか? 誰かに言われた言葉がずっと胸に残ってるとか。

これは一人に限らないことなんですけど、ファンの方にも、スタッフ、友人、家族。歌を通して自分を知ってもらった上で、自分のここが嫌なんだよなっていう部分も、「いや、それがあなたのいいところじゃない」って言ってもらえてきて。「そのままでいいんじゃない」っていう言葉は響いて。自分でも大事にしてました。

自分で嫌だった部分というのは?

喋るのが下手だったりとか。本当はこの人と仲良くなりたいのに、なんで自分から話しかけられないんだろう、とか。人間関係の部分が大きいですね。でも、だから詞ができたんだとも思うし。その時は嫌だったかもしれないけど、今はあの時があったからこそだなっていうのはすごい思います。

また、今までのMVも全て収録されますが、特にお気に入りはありますか?

1stシングル「ゆれるユレル」の映像はいろいろと思い出しましたね。バンドメンバーと一緒に撮影して。終始、本気で歌いっぱなしで撮ってたので(笑)。カメラさんに向けてライブをしてるように歌ってて。

リップシンクじゃなく?

普通に歌ってましたね。あえてマイクも通して歌ってたので、本当にライブでしたね。あとは、岩井俊二さんに撮ってもらった「さよなら私の恋心」。初めて1カットで、流れで撮るっていうのは、独特の緊張感があったんですけど、Charaさんと岩井俊二さんの世界観の中で、今のわたしのままででやればいいよって言ってもらいながらやっていたので、改めて、貴重な時間だったなって思います。

タイトルにはどんな思いを込めましたか? 14年4月に開催された1stライブツアーのタイトルでもあります。

そうですね。今まで、1つ1つ出してきた私が丸ごと入ってるっていう意味も込めて、『しおりごと』にしました。今までの全部っていう意味も入ってます。1つ1つを、いろんな人と一緒に形にして届けてきて、いろんなことを受け取って、また出してっていう繰り返しだけど、決して一定ではなくて。ひと山ひと山をみんなで一緒に、ファンの方やスタッフさんと一緒に登って、登ってっていうものが現れたアルバムになったと思いますし、この先も、またその先も、自分の気持ちに正直に、いろんなことに挑戦して、前を向いていけたらいいなっていう気持ちでいますね。

改めて、自分の原点に返りつつも、そこに戻るわけではなくて。あの時の自分を見返しながら、今の自分で歌おうっていう気持ちでやってましたね

楽曲制作以外での5年間も少し振り返ってもらえますか? この5年間で一番印象深い出来事をあげるとすると。

アーティストの面だと、去年の9月にやった初めての弾き語りワンマンが自分にとって大きかったなと思います。振り返ればもっといろんなことがあったと思うんですけど、私にとっては弾き語りが一番最初の原点で。そこから始まって、この5年間ができたので、改めて、自分の原点に返りつつも、そこに戻るわけではなくて。あの時の自分を見返しながら、今の自分で歌おうっていう気持ちでやってましたね」

プライベートでは?

最近のことですけど、海外へのひとり旅ですかね。自分も行くつもりはなかったんですけど、たまたまいつか行こうと思ってとっていたパスポートがあったのと、たまたま数ヶ月後にポール・ウェラーとルーシー・ローズ——特別好きな二人が対バンするっていう情報を見ちゃって。このためにパスポートをとっていたのかなと思って、行ってしまいましたね。

一人旅の時は、自分でも想像以上に変なパワーが発揮されて、すごく楽しめたんですよ。

意外ですよね。基本的には引きこもりがちで、実家から事務所まで来るのもちょっとした旅のように感じてるイメージだったから。

初めは電車に乗るのも嫌だったから(笑)。そこは私も成長したなって思います。一人旅の時は、自分でも想像以上に変なパワーが発揮されて、すごく楽しめたんですよ。危ないこともなくて。4日間、全日思い描いていた通りにいったので、逆に怖かったです。急に何か起こるんじゃないかって思ったりとかしましたね。

海外でのライブはどうでした?

人のライブをみるとまた、自分のことも違う風に見れたりして。ただ、あまりにも自由すぎてびっくりした面もあって。ライブが始まった瞬間に目の前の人が携帯を出して撮影を始めて。一方では、お酒を飲みながらじっくり聴いている夫婦の方もいて。自由な空間が楽しかったですし、ファンの方達もこんな風に見て、聴いて、楽しんでくれてるのかなとか、いろんなことを思いました。

新しい経験や言葉を受け取って、曲にして投げて、お客さんからの声や気持ちをまた受け止めて……。

2月からツアーも決定してます。

ベストを伴ってのツアーなので、今までの曲を忠実に、しっかりと届けるライブにできたらいいなと思います。これまでの流れも見えるようなライブにしたいですし、その時その時の出来事を一緒に思い出しながら、今に繋げられたないいなと思ってます。

5周年の区切りを経て、ここから先はどう考えてますか?

今はツアーに集中して行こうと思ってるんですけど、そのあとは、これまでも自分の正直な部分を大事にしてきたので、そこをいろんな形でぐっと前に出して、とにかく成長していくっていうことを心がけながらやっていけたらいいなと思います。新しい経験や言葉を受け取って、曲にして投げて、お客さんからの声や気持ちをまた受け止めて……。そうして、繰り返しながらやっていってた先に見える景色に向かっていけたらいいなと思ってます。

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ライブ情報

新山詩織 ライブツアー2018

2月3日(土) [愛知]名古屋ボトムライン
2月9日(金) [大阪]umeda TRAD
2月12日(月・祝) [東京]マイナビBLITZ赤坂

新山詩織

1996年2月10日生まれ。埼玉県出身。A型。
小学生の頃から、父親の影響で、70年~80年代のブルース・パンク・ロックを中心とした洋楽・邦楽を聴いて育つ。ピアノを習っていたのだが、中学入学と同時に軽音楽部に所属。
ガールズバンドを組み活動する。まずは自宅にあった父親のエレキギターを借り、リードギターを担当。曲により、リードVocalも担当。中学卒業直前のある日、手に入れたばかりのアコースティックギターを手に、“もやもやした気持ちのやり場がなくて、衝動的に作った”という初オリジナル曲(作詞、作曲)『だからさ』が完成。進学した高校には軽音楽部がなかった為、1年生(15歳)の夏頃から、「もっと音楽を真剣に演りたい!」という想いは強くなり、ギターと歌のレッスンを始める。創作活動も本格的に始めるなか、中学生の時のガールズバンドの経験しかない自分に危機感を感じ、「もっとたくさんの人に私の歌を聴いてもらうための修業が必要だ」と、新宿、大宮、池袋、渋谷などで、ストリートライブを行う。高校2年生(16歳)の春、 “もがくだけの毎日を送っている自分を変えたかった”という想いで、「Treasure Hunt~ビーイングオーディション2012~」に、“ 詩織 ”の名前で応募。6月24日の最終審査で、オリジナル曲 『だからさ』、椎名林檎『丸の内サディスティック』を弾き語りで演奏し、グランプリ獲得。
「歌声に心を鷲掴みにされた」と審査員から絶賛を浴びた。

オフィシャルサイトhttp://niiyama-shiori.com/