Interview

YUKI 15周年記念のシングルコレクション。たくさんの思い出とともに編まれた作品へのこだわり、そして今後について語ってもらった。

YUKI 15周年記念のシングルコレクション。たくさんの思い出とともに編まれた作品へのこだわり、そして今後について語ってもらった。

2017年2月よりソロデビュー15周年イヤーに突入していたYUKI。8thアルバム『まばたき』やシングル「さよならバイスタンダー」「フラッグを立てろ」をリリースし、全国ツアー『YUKI concert tour“Blink Blink”2017』の開催など、充実したアニバーサリーイヤーを華やかに締めくくるのは、10周年時にリリースしたシングルコレクション『POWERS OF TEN』以降の24thシングル「プレイボール/坂道のメロディ」から最新シングル「フラッグを立てろ」までのシングル表題曲11曲の他、久しぶりにYUKI自身が作曲した「ダーリン待って」を含む新曲3曲と歌詞提供曲のデモ音源1曲の全15曲が収録されたシングルコレクション『すてきな15才』だ。

取材・文 / 松浦靖恵

自分を信じて、いつでも自分のやりたいことを誠実にやってきてよかったなと思いました。

1月31日にソロデビュー15周年を記念してシングルコレクション『すてきな15才』がリリースされます。

とてもありがたいことに、この5年でこんなにたくさんのシングルを出すことができました。『すてきな15才』に収録されている1曲1曲を聴いていると、思い出すことのできる思い出がたくさんあるんだということを感じて、本当に幸せだなと思います。そして、15周年を迎えられたことをとても嬉しく思います。

YUKIさんは2002年のソロデビュー以降、5周年時と10周年時にもシングルコレクションをリリースしていますが、アニバーサリー時にこのようなシングルコレクションを発表できるのは、ずっと歌い続けてきたからなんだな、YUKIとして歌いたい歌がこんなにあったからなんだとあらためて思いました。

私は自分が想像していた以上の歌手生活を送っています。私が歌いたいと思って歌詞を書いた曲をたくさんの方が聴いてくれて、どんな時もYUKIを応援してくれる方、YUKIの歌を好きでいてくれる方がいる。昨年15周年の記念に開催した“Blink Blink”のツアーもそうでしたけど、本当にたくさんの人が会場に足を運んでくれて、私を待っていてくれました。私は自分が大きな会場でライブができることが今でも信じられないんです。自分を信じて、いつでも自分のやりたいことを誠実にやってきてよかったなと思いました。

大人になるというのは自分のしたことに責任を持つことなのだと、「わたしの願い事」の歌詞を書いた時に思ったことは今も変わらずに私の中にあります。

さきほど思い出すことのできる思い出がたくさんあるとおっしゃっていましたが、どんなことを思い出しましたか?

歌詞を書いていた時のことやライブでその曲を初めて歌った時のこと、作曲家が作った曲のデモを聴いて「歌いたい!」と感じた時の高揚感などを思い出しました。「坂道のメロディ」では、大好きになった曲を何度も繰り返し聞いていた頃の自分や、高校1年のときに初めてバンドで歌ったときのことを思い出しました。そして、大人になるというのは自分のしたことに責任を持つことなのだと、「わたしの願い事」の歌詞を書いた時に思ったことは今も変わらずに私の中にあります。

「好きってなんだろう…涙」ではジャケットやMVでシシヤマザキさんとコラボレーションをしました。また、東京メトロのCMソング「となりのメトロ」では、YUKIさんがそのCMに出演したことも話題になりましたね。

シシヤマザキさんのアートワークがとても素晴らしくて!この曲のアートワークは絶対にシシさんにお願いしたくて、大学の卒業制作で忙しかった彼女に時間ができるのを待ってお願いしました(笑)。「好きってなんだろう…涙」はジャケットやMVなど、視覚的にもとても楽しめるシングルになりました。箭内道彦さんからお話をいただいたCMの撮影は緊張しましたけど、楽しかったです(笑)。

「tonight」はライブにおいて素晴らしいシーンを作ってくれる曲になってくれました。

私の声や歌い方、身体や心は常に変化し続けています。「tonight」は数少ない楽器の音に反応しながら、いつでも自分自身を活かすことができる曲なので、ライブで歌っていてとても楽しいです。ここでまたひとつ、新たな扉を開けることができたと思えた曲です。

以前からYUKIさんはメロディが鳴っていると、そこに言葉を乗せたくなってしまうと言っています。

曲を聴きながら何度も歌っていると、ここにはこれしかない!という言葉が出てくるんですね。「誰でもロンリー」の歌詞を書いているときも、“楽しそうに笑って 誰でもロンリー”と出てきて。“これだ!この言葉、いただきました!”って、心の中でガッツポーズしました(笑)。

ある日ふと“ダーリーン待ってーイエーイエー”と、口をついて出てきたんです。

今作に収録した新曲「ダーリン待って」は、“Dope Out”のツアー中のMCから生まれた曲だそうですね。

この曲は“Dope Out”のツアーがなかったら生まれていなかったかもしれないですね。このツアーでは私がギターを弾く曲があったんですけど、その曲に入る前にギターを適当に弾きながらMCをしていたんです。それで、そのフレーズをライブのたびに弾いていたらどんどんメロディが浮かんできてしまって。またある日に私がそれを弾き始めると、バンドメンバーも即興でどんどん演奏に入ってきてくれて、ふと“ダーリーン待ってーイエーイエー”と歌ったことがきっかけになってできた曲です。「いい曲だからいつか曲にしちゃうかもね」とMCで私が言ったら、お客さんたちから拍手が起きたことを思い出して、今回また当時のバンドメンバーに集まってもらって、せーの!でレコーディングしました。あの日のライブに来ていた方の中には、これはあの時YUKIが歌っていた曲だ!と思い出す人もいるかもしれないですね。

他の新曲「I love you」「穴」のお話も聞かせてください。

「I love you」で私は“巨大化した愛 分けてあげよう”と歌っています。これまでこんな直接的なタイトルを付けたことがなかったですし、ましてや歌にしてしまうなんて!と、今までの私だったら絶対に自分にツッコミを入れているんじゃないですかね(笑)。でも、今の私なら言えるんです。この言葉しかなかったですし、この言葉で歌いたかったんです。「穴」はアルバム『まばたき』を制作していた時にすでにあった曲です。とても気に入っていたので、いつか必ずリリースしたいと思っていました。

「手紙」はTOKIOの国分太一さん主演の映画『だいじょうぶ3組』の主題歌で、TOKIOのために書き下ろした歌詞提供曲ですが、今作にはデモが収録されました。

国分さんからご指名をいただいて、久しぶりに蔦谷好位置くんとデモを作りました。ピアノに言葉や歌を乗せていくことがとても楽しくて、最高の曲ができた!と、とても嬉しかったですね。と同時に、書いていくうちに私も歌いたくなってしまったんです(笑)。そういう思いがあって、いつかYUKIの歌としても聴いてもらいたいなと思っていたので、今回収録できてよかったです。デモのままだと音が荒いので再録音も考えたんですけど、このデモが気に入っていたこともあってそのまま収録しました。

「手紙」のYUKIさんの歌い方は、どこかTOKIOの長瀬さんみたいだなと思いました。

そうですね。このデモの歌い方は、長瀬さんならきっとこんな感じで歌ってくれるのかな?とイメージしながら歌いました。

アルバム『FLY』をリリースしたあと、2014年10月からの約1年の間に“Flyin’ High”“Dope Out”“dance in a circle”と、それぞれ内容の異なるツアーを行いました。この経験は歌手として大きな自信になったのでは?

ソロになってから、1年の間に50本ものライブをやることも、1年の間に3本のタイトルの違うツアーをやることも初めてだったので、心も身体もかなり鍛えられました。あの3本のツアーを経験したことで、どんな環境でも、何が起きても私はライブができるんだ、何をどう見せても、YUKIはYUKIなんだ、と自信を持つことができました。

出会いの中でYUKIをどう活かせるのかということに挑戦してみることが、ある時から楽しめるようになったんです

「わたしの願い事」「STARMANN」「tonight」「ポストに声を投げ入れて」は、映画やドラマの主題歌を書くという“お題”があって書き下ろした曲でした。

もともと私は“お題”があって、そこから歌詞を書くという作業があまり得意ではなかったんです。でも、この出会いの中で、一緒に作品や音楽を作っていくことに全力でぶつかっていく中で、YUKIをどう活かせるのか、ということに挑戦してみることが、ある時から楽しめるようになったんです。

自分にお話が来たということは、きっとYUKIに何かを期待してくれているのだから、そのお題にしっかり寄り添ってみようと?

この物語の中で流れてほしい音楽はどんな曲だろう、YUKIとして何ができるだろうと考えていると、自分が思いもしなかったようなところにもどんどん広がっていきました。

たとえばどのようなことですか?

たとえばいつもは、私が歌いたいと思った曲を選んで制作が進められるんですけど、「ポストに声を投げ入れて」のときは、スタッフにも選曲に参加してもらいました。自分だったら選ばないような曲があっても、それを歌ってみることで自分はこういうこともできるんだ、と新しい発見がありました。この曲は歌唱においても、自分の歌い癖を出さないように歌ってみる、ということを試すことができたので、ここでまたひとつ自分の可能性を広げることができた曲になりました。そういった新しい試みをした「ポストに声を投げ入れて」を今回のシングルコレクションの流れで聴いてみると、とてもおもしろかったです。

自分の心の中の王様は自分なんだ!と、あらためて気づいたんだと思います。

2017年に発表したアルバム『まばたき』は、自分の言いたいことを優先し、私ソングを歌うんだ!という決意が刻まれた作品でした。

「ポストに声を投げ入れて」を作り終えたときくらいから、自分の思っていることを歌いたい!という自我を止められなくなっている自分、暴れたがっている自分がいることに気づいてしまったんです(笑)。自分の心の中の王様は自分なんだ!と、あらためて気づいたんだと思います。

『まばたき』のインタビュー時に、YUKIさんは「私が本来持っている自己主張の激しさや反骨精神が蘇ってきた」「思春期がまたやってきた」と言っていました。

まさに思春期の到来です(笑)。思春期は人生の中で何度も訪れるんだなと思いました。アルバム『まばたき』は、まず自分が言いたいことを歌う、というアルバムです。「さよならバイスタンダー」も自分の言いたいことを優先していますし、「フラッグを立てろ」でも自分の気持ちをきちんと言葉にすることができました。こうして普段から自分の思っていることが歌に繋がっていくんです。

私の歌が、聴いてくれる人の人生のどこかのステージに残ってくれていると思うと、とても嬉しいです

『すてきな15才』に収録された曲を聴いた人たちは、この曲を聴いていた頃の私はこうだったなとか、YUKIさんが歌った主題歌が流れるドラマや映画を観たこととか、普段は記憶の片隅に置かれていたことがよみがえってくるんでしょうね。

歌詞の中にあるたったひとつの言葉から何か繋がりを感じてくれたり、私の歌がいつかの出来事や思い出と重なっていたりと、私の歌が、聴いてくれる人の人生のどこかのステージに残ってくれていると思うととても嬉しいです。

5周年時にリリースしたシングルコレクションは、収録曲たちに5つ星をあげたいという思いで『five-star』と名付け、10周年時に出したシングルコレクションは、YUKIを支え続けてくれた音楽の力やファンに対する感謝の気持ちを込めて『POWERS OF TEN』と名付けたと聞いていますが、今回の『すてきな15才』というタイトルにはどんな思いを込めましたか?

これまでのシングルコレクションのタイトルには記念の数字を入れていたので、15周年に出すシングルコレクションにも記念の“15”という数字をタイトルに入れようと思っていました。“すてきな”という言葉も使いたくて、チャック・ベリーの「Sweet Little Sixteen」の邦題は「素敵な16歳」ですけど、私はソロデビューから15年が経ち、15才になったので、『すてきな15才』と付けました。

私はいつでもYUKIを楽しみたい。

15周年を経て、あらためて思うことはありましたか? また2018年はどのような1年にしたいですか?

私にはまだまだやりたいことがたくさんあります。こんな曲を歌ってみたい、ライブではあんなこともやってみたい、とワクワクしています。いつか歌詞にしたい言葉もたくさんありますし、楽器も上手くなりたいです。YUKIとして何ができるだろう、と考えだすと止まりません。主題歌などのお話をいただいたときにはもちろんそこに精一杯応えていく心構えはできていますけど、やっぱり私自身が本能的に“歌いたい”と思った曲に歌詞を書き、それを歌うということがいちばん大事だと思っています。 “歌いたい”という自分の直感を信じて、私にしか歌えない歌を作り、歌い続けたいと思います。自分がどこまでできるのかという可能性を広げるような新しいことにもチャレンジして、これからもYUKIを楽しみ、突き詰めていきたいです。まだまだ見せたいYUKIがいるので、YUKIは次に何をやるんだろう、と楽しみにしていてください。

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YUKI

1993年、JUDY AND MARYのヴォーカリストとしてデビュー。2001年、JUDY AND MARYを解散後、2002年2月にシングル「the end of shite」でソロ活動を開始。先鋭的なサウンドや前衛的なビジュアルで独自の世界観を確立。2012年5月、ソロ活動10周年を記念して開催した東京ドーム公演では、バンドとソロの両方で東京ドーム公演を行った女性ヴォーカリストとして“史上初”という記録を作り、約5万人を動員。2017年までに、音楽チャートで1位を獲得したアルバム5枚を含む、8枚のオリジナルアルバムをリリース。独特の歌声、表現、存在感は、あらゆる方面から多くの注目を集め、今後も音楽活動とそれに伴うライブ、アートワークの全てから目が離せない。

オフィシャルサイトhttp://www.yukiweb.net/