Interview

the peggies 新作はバンドらしさとさまざまな引き出しを魅せた1枚。もっとライブを見てほしい、葛藤と期待のなか一歩踏み出した2018年を訊く。

the peggies 新作はバンドらしさとさまざまな引き出しを魅せた1枚。もっとライブを見てほしい、葛藤と期待のなか一歩踏み出した2018年を訊く。

3ピースのガールズロックバンド、the pegiesがメジャーデビュー後は初となるミニアルバム『super boy! super girl!』を完成させた。昨年の5月に“僕ら”の夢を追いかけて疾走するストレートなポップロック「ドリーミージャーニー」でメジャデビューを果たし、同年8月には「ポップさと女子らしさをやりきった」という“私”視点の胸キュンラブソング「BABY!」をリリースした。中学校の軽音楽部でのバンド結成から8年。念願のメジャーデビューを果たしながらも、「バンドであることがあまり伝わってない」と感じているという彼女たちに新作に込めた思いを聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 荻原大志

もっとライブに行きたくなるような1枚を作ろうっていうところからスタートしましたね(北澤)

メジャーデビューした昨年が終わり、バンドとしてはいま、どういう状況ですか?

大貫 私、年末最の大阪のライブの後に、酔っ払って、二人を怒ったらしくて。「このままじゃダメだ!」って説教してしまったみたいなんですよね(笑)

石渡 そう。「今年、ダメだったら、ペギーズはもう終わりだから」って。

北澤 泣きから始まってね。心配だったからホテルの部屋まで連れてったら、「ちょっと、そこに座って」って言われて。「私たち、頑張らないともう終わりだと思う」って号泣し出して。ごめんね、頑張るからって言って。

石渡 私生活も怒られた(笑)。「だらしない」って。言われて。

北澤 まーちゃんは「もっとツイッターで告知しろ!」って怒られてたね。

大貫 ……全然覚えてない(笑)。人のことを言える身じゃないんですけどね。きっと、もっともっと頑張らないといけないっていう気持ちが奥底にあったんだと思うんですよ。だから、今年は波風立てて(笑)、より一層頑張りたいと思います!

(笑)でも、まだメジャーデビューしたばかりだし、泣くほど危機感を感じる状況じゃないじゃないですか。

石渡 でも、下積みというか、インディーズ時代が長かったから。

大貫 メジャー行けば、目に見えて良くなるのかなって思ってたんですけど、思ってたよりも、目に見えて変わったことがなくて。

北澤 同世代のバンドが陽の目を浴びていくのを間近で見ていたりして。悔しくないわけがないですからね。それなりに自分たちも頑張ってるっていう自信もあるからこそ、今年はそこのズレに結構、悩んだりするんだろうなって思います。去年は目まぐるしくて、悩んだりする時間もなかったけど、今年はいっぱい悩んで、いっぱい考えて頑張っていきたいなって思ってますね。

新作を制作するにあたっては、どんなことを考えてました?

北澤 去年はまず、邦楽ロック好きの向こう側にいる人たちにまず伝えたいなっていうのがあって。あんまりバンド然とするよりは、とにかくいい歌をいいサウンドでっていうところに注視して作ってたんですね。でも、いや、だからこそというか、キッズのリアクションがあんまりなくて。ライブを見てくれたらわかると思うんだけど、ポップアイコンになりたいんだろうなって見られがちだったというか。バンドっていう見られ方をあんまりされてないんだろうなって感じたので、もっとライブに行きたくなるような1枚を作ろうっていうところからスタートしましたね。

石渡 今、いろんなバンドがいることはいいことだと思うんですけど、なぜか私たちはアイドル性をフィーチャーして見られることが多かったんですよね。自分たちはロックバンドだと思ってるのに、周りはアイドルバンドだと思ってるというか。

北澤 自分たちと周りのイメージが一致してないから、そこをどうにかして近づけたいなっていう気持ちがあって。例えば、「嫌い」って言われる分には……それはそれで傷つきますけど(笑)、まだいいんですよ。そこまでも行き着いてないというか。すごく嫌われてるんだったら、悲しいなりに頑張れるんだけど(笑)、まだ聴いてもらえてないんじゃないかなっていうのがあって。好き嫌いの判断は任せるけど、まず、聴いてもらいたいっていうのがありますね。

パブリックイメージとのギャップがありますか?

石渡 可愛くてちゃんとしてる子って思われがちなんですよね。そんなにいい子じゃないのに。酔っ払って記憶なくすことも多いし。

北澤 クズなのにね、みんな。

3人で飲むことが多いから、素の自分たちを見せる人がいない(大貫)

あはははは。クズなの?

石渡 (笑)自分たちのいい面だけを見せたいわけじゃないんですよね。もっと自然体の人柄を知ってほしいなって思し。

北澤 こっちが取り繕って見せてるものに対していい子って思われるなら一致してるんですけど、アーティスト写真とか、PVをパッと見たイメージとかで、いい子たちなんだろうな、型にはまってる子なんだろうなって思われがちなのが不思議だなって。

大貫 あんまりバンドマンの友達もそんなにいないからなのかな。3人で飲むことが多いから、素の自分たちを見せる人がいない。

石渡 バンドマン飲むと、「意外とバンドマンなんだね」って言われるんですよ。

北澤 「安心した」とか言われるよね。なんだと思ってたんだって感じで。

(笑)ポップでガーリィーな面が先行してるんでしょうね。

北澤 もちろん、ポップだし、女子だし、可愛らしい曲を作ってるので、そういうイメージを持たれるのは全然構わないんですよ。でも、それだけだと思われてるんじゃないかなって。邦楽ロックに閉じこもっていたくはないけども、私たちはバンドであることに対しては執着があるし、ライブハウスに入り浸ってた中高時代がベースになってる。そういうのがあんまり伝わらないものなんだなと思って。でも、そこをごり押しして、「私たち、そんなにいい子じゃないんですっ!」って言うのもカッコ悪いじゃないですか。じゃあ、どうすればいいのかが悩ましくて。普通におしゃれをしたいし、メイクもしたいし、女の子であることは自分たちの武器として使っていきたいけど、バランスが難しいなって感じてて。でも、そこを少しクリアするきっかけになる1枚ができたんじゃないかなって思うので、今はリリースするのが楽しみな状態ですね。

ミニアルバムに収録された全6局の中でペギーズのバンドらしさを象徴してる曲をあげるとすると?

北澤 一番聴いて欲しいのはライブでもやってる、2曲目の「ネバーランド」ですね。ミックス作業まで全部終えて、みんなで聴いた時に、「カッコいいよ、これ」ってなって。

大貫 最初は「グローリー」を推そうかっていう話だったんですけど、いまの自分たちの心情が一番出てるのが「ネバーランド」なので、これがいいですって言って。

メジャーデビューしてちょっと浮かれた部分があったけど、すぐにそんな急には変わらないんだっていうことがわかって(大貫)

現在の心境というのは?

大貫 もがいてる感じですね。さっきも言ったように、メジャーデビューしてちょっと浮かれた部分があったけど、すぐにそんな急には変わらないんだっていうことがわかって。もちろん、いろんな経験をさせてもらったり、たくさんの人と関われて嬉しいっていうことがあったけど、まだまだ頑張りたいっていう気持ちが入ってるのかなって思います。

石渡 2番のAメロの刺さった棘を抜いて残ったのが本当の自分なんだっていうのもブーメランみたいに戻ってきて、自分にぐざっと刺さってますね。

僕らのネバーランドってどこですか?

北澤 若者特有の焦燥感を抱えながら、それでも走り続ける感じの曲なんですけど、私たちは具体的に、メジャーデビューするぞって組んだバンドじゃなくて。誕生の時に明確な目標がなかったので、その時その時で自分たちの反省点をクリアしていくっていう作業を繰り返してるバンドかなって思ってるんですね。例えば、いつか横アリでワンマンやりたいっていう具体的な目標はもちろんあるけど、それは、私たちのゴールではなくて。

大貫 一生たどり着けないからネバーランドな気がする。

北澤 うん、ずっと続いていくので、あんま具体的にこれをゴールにしようとか思ったことないですね。明確な目標が1個あれば、いまの自分と結びつけて、そこを歩いて行けばいい話なんだけど、そういうのがないからこそ、何が正解かわからないなりに悩んだりする。その時その時の自分にぼんやりある理想を追いかけ続けるしかないのかなって思います。

大貫 ゴールに行きたいっていう気持ちもあるけど、それと同じくらいにもがいてる自分たちを肯定してあげたいのもあるなって思います。

「ネバーランド」「GLORY」をはじめ、本作はちょっとインディーズの頃の感覚に戻ったような自由さを感じました。メジャーのポップスに捕らわれてない感じがあるというか。

大貫 そうですね。「GLORY」のサビも不思議ですよね。歌が入らなくて、オケだけになったりとか。ドラムも「BABY」の時はいい曲を作るっていうことにフォーカスを当ててたからあんまり難しいことはしてなくて。でも、今回はいい曲を作るのはもちろんだけど、やりたいことをチャレンジしてみようっていうことで、今までにやったことのないようなことも挑戦したりしてて。

北澤 私もそう感じてて。でも、無意識なんですよね。インディーズの時は自分の直感で作るっていう方法しか知らなかったんですよ。あえて、それを選んでたわけじゃなくて。自分で自分の作ったものを磨く作業を何も知らなかったから。とにかく思いついたものを全部詰め込んでたのがインディーズ時代。で、メジャーにきたら、いろいろと教えてくれる人が増えて。「この曲はシンプルにした方が伝わりやすい」とか、楽曲に合った構成とか。とにかく、人に伝えるための作業を覚えたのが。デビューしてからの半年だったんですね。その両方ができるようになった結果、いまがあって。感覚的に思いついたアイデアを磨く作業が自然とできてるなって、結果として、全部並べて聞いたときに、これ、自分の感覚が現れてるなと思ったし、よかったなって思ってるところですね。

少年漫画っぽい部分と女の子っぽい部分、ペギーズの中にある二面性のどっちも見てもらえる1枚に(北澤)

また、夢や栄光に向かって走り抜ける2曲は“僕”視点で、続く3曲のラブストーリーは“私”視点で歌ってますよね。

北澤 私の中に少年らしい北澤ゆうほと、女の子らしい北澤ゆうほの二人がいるなって思ってて。バンドをやりつつ、夢を追いかけてるのはすごく男の子っぽいなって思うんですよ。人生の歩み方としては堅実ではない、危ない道じゃないですか(笑)。そういう男性っぽい野心を書く時は自然と“僕”になるし。逆に、「会いたいな」とか、「好きだな」って思う気持ちを書く時は“私”になる。ただ、恋愛の曲も全部、“私”になるわけじゃなくて、例えば、「会えなくても平気」とか、「好きなことしていいよ」っていう、女々しくなれない部分を書く時は“僕”になったりする。“僕”と“私”の使い分けは、意識してるっていうよりは、言いたいことによって、自然と変わってくるんですよね。

ミニアルバムのタイトルにも反映されてますね。

北澤 そうですね。私が書く曲の第一人称には“僕”と“私”の2つがあって。少年漫画っぽい部分と女の子っぽい部分、ペギーズの中にある二面性のどっちも見てもらえる1枚になったんじゃないかなと思って、ボーイとガールをつけました。

ただ、じゃあラブソングが全て胸キュンポップかというとそうでもなくて。例えば、「ハートビート」はも一聴してインディーロック感のあるサウンドになってます。

北澤 このアルバムの中で一番洋楽っぽいなって思ってて。サウンドに意志がある曲にたまたま“私”の恋愛ソングが乗ったっていうだけなんですね。この曲は恋愛で伝えたいメッセージがあるというよりは、サウンドに気持ちを乗せた曲になってますね。他の「恋の呪い」と「遠距離恋愛」は私にしかかけないラブソングを書こうっていう気持ちで書いた曲です。

聴く人が想像できるドラマみたいな曲だなというか、想像力を掻き立てられるところがゆうほっぽいなって思います(石渡)

メンバーはゆうほにしか書けないラブソングってどんなものだと思います?

大貫 「恋の魔法」じゃなく、「恋の呪い」っていうところですかね(笑)。ゆうほの毒っけ、ちょっとひねくれたところが出てるのかな。

石渡 「絵曲恋愛」はリアルなことを書きつつ、全体を通すと、めちゃめちゃリアルな情景が浮かぶっていうわけでもないっていう。聴く人が想像できるドラマみたいな曲だなというか、想像力を掻き立てられるところがゆうほっぽいなって思います。

北澤 Aメロでちょっとリアルな情景を多い浮かばせてから、そのあとは歌詞として成り立つような抽象的な言葉をチョイスしてるのが私らしいのかなと思う。ただ、曲に4畳半感がないんですよね。「生活感がない」って言われたりするのは、私の悩みの1つでもあるんだけど、それも私らしさなのかなって。

宇宙船とかに住んでそうなんですよね。

北澤 よく言われるんですよね(笑)。いっても、部屋もすごい整理整頓された、すごい可愛らしい部屋に住んでるんですよ(笑)。友達には「そういうのが生活感の薄れに繋がってるんだよ」って言われたりするんですけど、無理して出すもんじゃないなと思って。最近はいいやって思ってるんですけど。「恋の呪い」も、ただ思いついただけで。ひねって呪いにしたわけでもなく。二人も普通に「恋の呪いね」って受け入れてくれて。そしたらスタッフさんに、「呪いでいいの? 魔法じゃない?」って言われて。人に言われてから気づいくらいで。だから、自分の言葉選びには、男の子が書く偶像としての可愛さじゃなくて、女の子の毒や意地悪な感じを踏まえた可愛さが、女の子らしさとして表現できてるのかなって思いますね。

ペギーズにはいろんな引き出しがあるのをみんなにわかってもらえるミニアルバムだなって思ってます(石渡)

全曲揃って、バンドとしてはどんな1枚になりました。

石渡 ペギーズにはいろんな引き出しがあるのをみんなにわかってもらえるミニアルバムだなって思ってます。女の子は<すっぴんの日>と<頑張ってお化粧した日>と、<頑張ってはないけどお化粧した日>で全部違う。そういう感覚で聞いてもらえたらいいなと思います。

1曲1曲の個性が際立った、振り幅の広い本作をとても分かりやすく言い表してると思います(笑)。ちなみに<頑張ってお化粧した日>の曲は?

石渡 「恋の呪い」かな。淡々としたテンポで、クリックにひたすら合わせて弾くみたいな感じだったから。<すっぴんの日>は疾走感を出して、一発録りでバン!っていう感じだった「GLORY」。すっぴんというか寝起きかな(笑)。やばい、遅刻する〜みたいな。でも、「遅刻する〜」って走ってる女子高生は絶対に可愛い、みたいな。

大貫 あはははは。私は最初、「ハートビート」が一番飾ってないペギーズな気がした。でも、言われてみれば、いろいろと重ねた音もあるから、ちょっとメイクしたペギーズ。

北澤 スタジオ行くくらいだね。

石渡 ちょうどいいね。「今日はロックするか!」みたいな(笑)。

期待のちょっと上をいけるような演奏を見せれるようにしたいなって思ってます(北澤)

(笑)2月からは2nd全国ツアーがスタートします。

大貫 最初にゆうほが言ってたように、ミニアルバムを聴いて、ライブに来てくれる人が増えたらいいなと思います。

北澤 とにかく全部、プレイで新しい挑戦をしてる1枚なになってて。こんだけ演奏に意志がある作品になったので、聞き込んで来てくれた人ががっかりしないように、期待のちょっと上をいけるような演奏を見せれるようにしたいなって思ってます。10箇所回るので、スキル的にもきっと成長できると思ってるし、すごく楽しみですね。

石渡 私たちを見にきてくれるお客さんと私たちとで、全員で一緒になっていい空間を作れるように頑張りたいです。今年はとにかくライブをたくさんして、己を高める1年にしたい。みんなの期待を上回れるように、常に頑張って行きたいです。

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ライブ情報

the peggies super boy ! super girl !! tour 2018 ~SUPERMARKET TRIP !!!~

2月21日 (水) 香川・高松DIME よりスタート
詳しいスケジュールはオフォシャルサイトで

the peggies

北澤ゆうほ(Vo&Gt) 石渡マキコ(Ba) 大貫みく(Dr)からなる3人組ガールズバンド。中学校の同級生で結成し高校時代から都内ライブハウスを中心に本格的に活動を開始。2014年11月に初の全国流通音源「goodmorning in TOKYO」をタワーレコード限定でリリース。2015年11月にリリースされたNEW KINGDOMのリード曲「グライダー」がYouTubeの再生回数100万回を超えるなど大きな話題となり2016年7月に行われた渋谷club asiaでのワンマンライブはソールドアウト。2016年10月には初のインディーズシングル「スプートニク / LOVE TRIP」をリリース。そして、2016年12月8日に行った渋谷クラブクアトロでのワンマンライブでメジャーデビューを発表。2017年5月10日に「ドリーミージャーニー」でメジャーデビューし、全国各地のラジオ局、TV局、音楽専門チャンネルでのパワープレイを獲得!6月から全国ツアー「the peggies ドリーミージャーニーツアー 2017~野生のペギーズが現れた!!!~」を開催。

オフィシャルサイトhttp://thepeggies.jp/