Interview

最終章は“もののふ”の新しい始まり。舞台『駆けはやぶさ ひと大和』に出演する荒木宏文・健人にインタビュー。

最終章は“もののふ”の新しい始まり。舞台『駆けはやぶさ ひと大和』に出演する荒木宏文・健人にインタビュー。

“もののふシリーズ”とは、生死の狭間を強く駆け抜けた武士たちの壮絶な生き様を描いた大ヒット舞台シリーズ。第1弾の『もののふ白き虎』(2015年)は、白虎隊の若き少年たちを。続いての『瞑るおおかみ黒き鴨』(2016年)は、西南戦争を戦う薩摩の武士たちを。そして今作『駆けはやぶさ ひと大和』は、新撰組の平隊士、中島登の目線から新撰組を描く。今作でシリーズが終わると思うとファンは名残惜しいが、その分、最終章にふさわしいエネルギーを隊士たちがどのように放つか楽しみで仕方がない。今回は、そのシリーズすべてに土方歳三役で出演するD-BOYSの荒木宏文と“もののふシリーズ”初出演となる横倉甚五郎を演じる健人にインタビュー。インタビュー中は、新撰組の隊士たちを思わず想像してしまう規律正しく仲の良い関係が垣間見えた。是非ともあの時代にも、今の時代にもある、先輩・後輩の仲の良さを感じていただきたい。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 岩田えり


最終章の座組みはこれまでになく気合が入っている

第1弾の『もののふ白き虎』は、上演されるや熱狂的なファンを生みました。続いての『瞑るおおかみ黒き鴨』が上演されると、こちらも好評を持って迎えられ大ヒット。そして今作『駆けはやぶさ ひと大和』で“もののふシリーズ”は最終章となります。まず3作品すべてに出演されている荒木さんから今作に出演される感想をお聞かせください。

荒木宏文 『もののふ白き虎』がお客様に愛されて“もののふシリーズ”に繋がったことも、最終章まで参加できることも、なかなかできることではないので、素直にありがたいですね。

健人さんは“もののふシリーズ”初出演になります。

健人 『もののふ白き虎』の大阪公演の千穐楽を拝見させていただきました。その時に、恥ずかしいけれど号泣したんです。

荒木 嬉しいね!!

健人 いずれこんな感動できる作品に出演したいなと思っていた矢先に、出演させていただくことが決まって嬉しいですね。

荒木さんは2年ぶりに“もののふ”の座組みに帰ってきました。

荒木 多くのアンサンブルやスタッフ、役者の“ツネ(青木玄徳の愛称)”は、シリーズの最初から参加しているので、それぞれ最終章でしか出せない凄まじい気合が入っています。作品が目指しているベクトルにゆっくりとではありますが進んでいるので、まずは怪我をしないように稽古をして、そして最終的にみんなで同じゴールにたどり着きたいですね。

“もののふシリーズ”は台本がすべて

健人さんはいかがですか。

健人 稽古から暖かい現場でこれからの本番を考えるとワクワクします。

稽古場でのエピソードはありますか。

荒木 作・演出の西田大輔さんの素晴らしい感性だと思うのですが、稽古スケジュールで、最初からどこを稽古するのか決めているんです。だから、そこに出番のない役者は呼ばないという効率のいい稽古をされる。待ち時間はないので、稽古場に入って、世間話や雑談をしない。稽古場はシーンを完璧に作り上げるためのお客様のいない劇場のようですね。余計な話をする時間がない緊張感がありますよ。

荒木さんは3作品とも土方歳三を、健人さんは、横倉甚五郎を演じます。

荒木 新撰組の副長で規律に厳しい性格です。

健人 花村想太くん演じる中島登の幼馴染ですが、性格は違うんですね。はっきりした性格で、お互いに影響を与えあう関係性があります。

荒木さんは、役作りはどうされるのですか。

荒木 “もののふシリーズ”の土方は、もう僕自身になっていますね。

健人 (笑)。

荒木 というのも、“もののふシリーズ”は台本がすべてなんです。土方は歴史上の人物ではあるのですが、必ずしも史実に沿っているわけではありません。歴史に詳しい方はおわかりになると思いますが、年齢設定をある程度は外しているので、年配の方を若い子が演じたりします。土方は、詩を書くのが好き、女遊びをしていたという、実は規律に厳しくなかったという史実もあるそうですが、本当かわからない。だからこそ、正解は台本の中にあるんですね。なので、史実は知識として頭に入れていますが、頭でっかちにならないようにしています。僕が西田さんの作った土方を生きることに尽きますね。

健人さんはどのように役作りをしますか。

健人 台本を読むと自分と違う性格なので、これからの稽古でどういう風に横倉のキャラクターに近づけていくかが大切です。本番ではしっかりと横倉を演じきりたいと思います。

役作りは自分だけではできない

お話に出たように、作・演出は西田大輔さんです。舞台『煉獄に笑う』や今年の夏には映画化される『ONLY SILVER FISH』を手がけたAND ENDLESS主宰の気鋭の作家です。

荒木 脚本は、劇場に足を運んでくださるお客様のことを考えた作品を書かれる方です。演出に関しては、歴史が好きな方ですが重んじすぎず、エンターテインメントを忘れない。総合的に、現代のノリを取り入れたキャッチーな作品を作られる。

健人 西田作品には、初めて出演させていただきます。観劇した作品からは、かっこいいセンスを感じて驚愕するんです。稽古をしていても、的確にアドバイスをいただけるので嬉しいですね。

荒木 顔合わせの時に、今作は役者ありきの芝居だとおっしゃられる。おそらく他の舞台でもそうおっしゃる人だと思います。役者が持っている魅力をそのまま最大限に使いたい人なので、ダメ出しが少ない。つまり、「こういう役だからこうやれよ」という役者の苦手なことを無理強いしない尊敬できる人です。

健人 おっしゃる通りです(笑)。顔合わせの時に、一人一人の魅力を出そうとしてくれると感じて、横倉として自分らしさを出しつつ演じて行こうかな。どうしたらいいですか?

荒木 そうだね、どの作品にもいえるかもしれないけど、役作りは自分でするものではないかな。さっきは、わかりやすく言ってみたけれど、実際の役作りは、自分が周りをどうみるか、あるいはどう見てくれているかを意識することで、人物像が浮かび上がってくると思うんだ。役作りは周りがやってくれるものだと思うよ。だから、僕らがやることは周りの役者の役作りのサポートをすること。相手をどう思うかが重要になってくると感じれば、自然とカンパニー内で役にあった色付けをされていく。ステージは全体の空気感で成立するからね。

健人 そのメッセージ、今年1番に響きました(笑)。

荒木 まだ年明けだよ。早っ!

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