Interview

浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS 第2章の幕開けを告げる『Sugar』。『METEO』を超える作品づくりを目指して

浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS 第2章の幕開けを告げる『Sugar』。『METEO』を超える作品づくりを目指して

浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSが2月14日にリリースした2ndアルバム『Sugar』。浅井健一が中尾憲太郎(bass)、小林瞳(drums)と共に始動したこのバンドは、2016年にパンキッシュなパワーに溢れた1stアルバム『METEO』をドロップ、2度の全国ツアーも成功させ、浅井のヒストリーに新しいページを加えた。より強靭になったバンドサウンドと唯一無二の楽曲が詰め込まれた『Sugar』は、その第2章の幕開けを告げる快作だ。浅井がこのバンドで表したいもの、伝えたいことは何か、彼ならではのブレない言葉で語ってくれた。

取材・文 / 今井智子 撮影 / 冨田望

KILLSは激しいリズムでいくべきだと思うんだよね。2人のリズムがそうだから

浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS、2作目『Sugar』が完成ですね。

うん。1作目に『METEO』を出したでしょう。素晴らしいメンバーだし、もう一枚、絶対出したかったんだよね。ライヴもすげえ楽しくて達成感があるんで、生きてる感大。

中尾憲太郎(bass)さん、小林瞳(drums)さんとのトリオという緊張感もあったりしますか?

リズムが楽しいんだよね。憲太郎のベースの弾きっぷりもソリッドな感じで。若いから一回記憶したら忘れない(笑)。2人の演奏力というか、運動神経が自分と近いところがある。狂えるんだわ、KILLSは。そういうバンド。

今作のレコーディングは、いつ頃始まったんですか。

一昨年の12月に短期間スタジオに一回入って何曲か録って。そのあと、ちょっとつまずきかけたりもしたんだけど、去年の8月に2回目のレコーディングに入って、それで完成させた。

ちょっとつまずきかけたというのは?

なんか、最初にレコーディングに入ったときの楽曲群が、自分が思ってるところまで到達してなくて。歌詞とかも考えたんだけど、なかなかいいのができなくて。そのときにちょっとへこたれそうになったけどね。それで、もしかしたらソロでやったほうがいいのかなとか思ったりもしたんだけど。

それは曲の方向性が違ったということでしょうか。

KILLSは激しい曲というイメージが自分の中にあったから。そのときに自分の中で激しい曲をやりたいモードがそろそろ切れかけてたんだよね。もっと大きな、ダークな世界に行きたくなっちゃってた。その面がちょうど出てきてて。だけど「Beautiful Death」と「Vinegar」が出来たあたりから、またスイッチが入って、一気に作り上げた感じ。

「Beautiful Death」は11月のツアー初日に配信が始まっていますが、この曲がアルバムを示唆している気がしますね。

KILLSは激しいリズムでいくべきだと思うんだよね。2人のリズムがそうだから。今回のだと「水滴」とか「Ginger Shaker」みたいな曲はメロウでKILLSっぽくないかもしれないんだけど、アルバム中に2曲ぐらいはそういうのがあってもいいということに気がついたんだよね。だから「Ginger Shaker」「Beautiful Death」「Vinegar」が核になって、このアルバムが見え始めたかな。この感じでいける、と。

一昨年12月に録った曲も入っていますか?

うん。「水滴」と「どっかいっちゃった」。「Vinegar」も録ったんだけど、それがなんか違ってて「Vinegar」は録り直して。もっと長かったけど、構成を変えてより研ぎ澄まされた。1作目『METEO』もすごい「やった!」と思ってて、2作目はそれを超えるというか、または違った素晴らしさを持ってないとダメだから、それで悩んでたんだよね、去年の春。このままじゃ超えられないなと。

『METEO』は初期衝動の塊のようでしたが、『Sugar』はKILLSのイメージが固まって濃いものになっている感じがします。その作品のタイトルが『Sugar』というのは?

中毒性があるよ。麻薬みたいに(笑)。俺がもちろんクリーンだから付けれるんだよ、やっとったらシャレにならん(笑)。

なるほど。でも歌詞はそういうんじゃないですね。

いきなり説教だからね。

(笑)たしかに。1曲目「Vinegar」は、生き方を教えてくれる作品かと。

生き方? 皿の洗い方とかだよ。あれが大事なんだよ、浸けて置いてから洗うと早い。だからお湯も洗剤も無駄にならなくて地球に優しい。

浅井さん、自分で洗うんですか!?

洗うよ。浸けてからね。

「Beautiful Death」は、「真っすぐ生きてきれいに死ぬ」というところが、浅井さんの哲学なのかなと思いますが。

長い間生きてきて、いろんな場面を目にするじゃん、テレビとかでも。老人が長生きするようになって、それって人間として正しい姿なのかなとか思うじゃん。昔は寿命が50年ぐらいだったんでしょ? 俺ももう53だもん。昔はそれぐらいの歳で人生まっとうしてたのが100歳とかの話になってさ。みんなハッピーならいいけど、いろんな苦しみや、ボケちゃう人もおって。きれいな死に方ってどういうものかはわからないけど、そういう言葉が出てきた。

「染まらないで」と若い人に歌いかけている感じですね。

いいものに染まるならいいけど、気持ち悪い世界観に染まっちゃってる人もいると思うから。変なものに染まったらいかんよ、と。単純にそういうこと。歌詞に出てくる“沈みゆく船”が、どれのことかと言われたら、これだって言えないんだけど。愛するものを愛して、たくさん笑って何回も感動したいし、そうやって生きようよ、と。そんな感じ。

浅井さん自身はそういう生き方ができてきました?

うん、できてると思う。

この曲のMVはパリで撮影されてますね。BLANKEY JET CITYのときにファッションショーで行ってますよね。

うん、パリコレでね。これで3回目。22年ぶり。

22年ぶりのパリはどうでしたか。

ほとんど変わってなかった。東京は20年前と様変わりしてるじゃん。六本木ヒルズとかミッドタウンとかもできてさ。ヨーロッパは変わらんわ。

シブいヒゲ、伸ばしてましたね。

4日前まで伸ばしてたんだけど、剃った。ヒゲが似合ってるんだか似合ってないんだかわからない。

スケボーのシーンもいいですね。

中学生の頃すげえやってたから。偶然スケボーの話が監督から出てきたんで、やってて良かったよ。

曲に話を戻しますが、「水滴」はKILLSっぽくないと思ったと先ほどおっしゃってましたが、やはりKILLSで録ろうと?

最初、瞳ちゃんのコーラスが入ってなかったんだけど、コーラスが入ったらすげえ締まったんだよね。そこで、瞳ちゃんのコーラスがすげえいいってことが発見されて。なので、瞳ちゃんのコーラスがいっぱい入ってるんだけど。

浅井さん、女性コーラス好きですよね。SHERBETSでも福士久美子さんのコーラスが入ってる曲が多いですし。それで女性メンバーを入れたくなるのかなと思ったり。

それはたまたまだけど、コーラスは好きかな。多用してるね。

瞳さんのドラムのポイントは?

パワーでは男に勝てないけど、パワーなくてもいいドラムだから。それよりもグルーヴが、ちょっとこれは気持ちよすぎるわって。「グルーヴって何ですかね?」って、昔、土屋昌巳さんに聞いたことがあるんだけど、「時間の過ごし方だ」って言ってて。同じ3分間をどんなグルーヴで過ごすのか、そのドラマーによって違うんだなというのを、再確認したというか。本当にそう思えたドラマーかな。

今までもいろんなドラマーとやってきましたけど?

みんな大好きで、毎回盛り上がってきたけど、瞳ちゃんは何か違うなと心底思った。やっぱり血じゃない? ラテンの血が入ってるんだと思う。

彼女は帰国子女なんですよね。

うん、お母さんがコロンビアの方で。5〜6年前に日本に帰ってきたって。

それで英語のコーラスがきれいなのかなと思いました。

だって英語の人だもん、日本語より英語のほうが喋れる。

KILLSは浅井さんにとって新鮮な風が吹いてるみたいですね。

そうだね。激しい音楽をね、またこの歳でやると思わなかったな。

むしろこの歳だからやりたかったのでは? 変に落ち着きたくないとか。

そういうのもあるかもね。ライヴは本当に面白いんだわ。やってる時間があっという間に過ぎて、やってる自分もスリリングで。バンドが一体になってる。

ツアーも発表されていますが、KILLSではBLANKEY JET CITYの曲も演奏していますね。SHERBETSでは演奏しないけど。

ブランキーの曲をこのバンドでやると、また新鮮なんだよね。このメンバーでやるブランキーも最高に楽しいから。お客さんも喜ぶし、俺も楽しいんで、毎回チョイスしてやっていくよ。

それも楽しみです。SHERBETSはとうぶんお休みですか。

SHERBETSが今年20周年なんで、何かやると思う。SHERBETSはアルバムすぐに出来ちゃうと思う。曲もあるし、アイデアがもうあるんで。

浅井さんのその枯れない曲づくりとバンドへのエネルギーはすごいですよね。

まあ、どこまで続くかわからないけど、自分がこれはいいってアルバムが今回も出来たので。この状況が続くかぎりやるつもりでおるけどね。

浅井健一さん画像ギャラリー

浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS『Sugar Days Tour 2018』

3月16日(金)千葉LOOK
3月21日(水・祝)松阪M’AXA
3月23日(金)岡山IMAGE
3月24日(土)京都磔磔
3月30日(金)金沢vanvanV4
3月31日(土)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
4月06日(金)仙台MA.CA.NA
4月07日(土)盛岡the five morioka
4月14日(土)宮崎SR BOX
4月15日(日)福岡DRUM Be-1
4月22日(日)札幌cube garden
5月04日(金・祝)大阪Shangri-La
5月05日(土・祝)名古屋CLUB QUATTRO
5月12日(土)新木場STUDIO COAST

浅井健一(アサイ・ケンイチ)

1964年生まれ、愛知県出身。1991年にBLANKEY JET CITYのボーカル&ギターとして、シングル「不良少年のうた」とアルバム『Red Guitar and the Truth』でメジャーデビュー。数々の名作を残し、2000年7月に解散。その後、SHERBETSやJUDE、ソロ名義でも活動。
2016年8月に新たなソロプロジェクトとして“浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS”を始動。メンバーは、浅井健一、中尾憲太郎(ex. NUMBER GIRL、Crypt City / bass)、カナダやアメリカなどで活動してきた小林瞳(drums)。2016年10月にシングル「Messenger Boy」、2017年1月にアルバム『METEO』を発表。11月には全国ツアー〈どこにもない景色TOUR 2017〉を開催し、新曲「Beautiful Death」を配信リリースした。

浅井健一オフィシャルサイト