Interview

【インタビュー】“アニソンシーンに居場所を作るために戦ってきた” fhána、バンド自身の挑戦を重ねた新作 「わたしのための物語」にこめる思い

【インタビュー】“アニソンシーンに居場所を作るために戦ってきた” fhána、バンド自身の挑戦を重ねた新作 「わたしのための物語」にこめる思い

2017年は「青空のラプソディ」「Hello!My World!!」といった話題曲を連発し、アニメソングのシーンを中心に大きく支持を広げたfhána。2018年の第1弾リリースとなるニューシングル「わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~」は、TVアニメ『メルヘン・メドヘン』のOP主題歌にして、歌詞や音楽面での挑戦を含めさまざまな新味を採り入れた作品になっている。待望の3rdアルバムに向けて勢いに乗る彼らに話を聞いた。

取材・文 / 北野 創


今回は「divine intervention」よりももっとキラキラしてて、今までにありそうでなかった感じに(佐藤)

今回のシングル表題曲「わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~」は『メルヘン・メドヘン』のOP主題歌になりますが、アニメの制作サイドからはどんなオーダーがあったのですか?

佐藤純一 この作品では魔法少女がバトルするということもあって、最初は「divine intervention」(魔女が活躍するTVアニメ『ウィッチクラフトワークス』のOP主題歌)みたいな雰囲気がいいというお話をいただきまして。ただ、僕らは今までも先方の指定そのままの曲を作ったことはなくて、その要素も汲み取りつつプラスアルファの部分を出せたらと思ってるので、今回の楽曲は「divine intervention」よりももっとキラキラしてて、曲調的にもいままでにありそうでなかった感じにしたいと思って作りました。

それとこれは先方からのオーダーではないんですけど、なぜか歌詞に“Wow Wow”というフレーズを入れようということになりまして(笑)。なのでちょっとかわいい感じになりつつ、勢いがありつつ、80年代のアイドル歌謡曲的な雰囲気もありつつ、みたいな。

“Wow Wow”の部分は、「青空のラプソディ」の“chu chu yeah!”と同様にライブで合唱したくなるフレーズですね。

佐藤 “Wow Wow”も普通に入れるだけじゃ、どうかなという感じなんですけど、往年の歌謡曲みたいな感じにしたら粋かもと思って入れました。お客さんとも一緒に盛り上がれますしね。

しかもこの曲の作詞は、いままでのfhánaの全楽曲の歌詞を書いてきた林英樹さんと佐藤さんのダブルネームになっています。

佐藤 これは結果的にそうなったというか。歌詞はいつも僕から林くんに「こういうテーマでお願いします」という形で頼んでるんですけど、今までも彼とやり取りするなかで僕からフレーズを提案することもちょくちょくあったんですよ。それが今回はだいぶ多くなって、結局半分ぐらい自分で書いてしまったので、林くんの方から「ぜひ共作にしたい」ということになったんです。

それで初の共作になったわけですね。歌詞の内容も、自分だけの物語を見つけようとする主人公の煌めきみたいなものが描かれていて、「原書(=メルヘン)」と呼ばれる魔法の本に選ばれた女の子たちが活躍する『メルヘン・メドヘン』の世界観にピッタリだと思います。

佐藤 僕が半分書いてるというのがなかったとしても、歌詞の方向性は今までとはちょっと違うと思うんですよね。僕が林くんにお願いする段階で、情景描写とか印象的なフレーズの強さで引っ張っていきつつ、全体としてはドラマがあるようなもの、あまりストーリーテリングのあるものにはしたくない、という話をしてたんです。

サビ終わりの“物語の扉開こう”というフレーズには開放感があって、歌詞からは前向きな印象を受けたのですが。

佐藤 「自分のための居場所を作っていく話」というイメージはありましたね。『メルヘン・メドヘン』の主人公の(鍵村)葉月は、友だちはいないし家の中でも自分の居場所がない生き辛さを抱えているけど、本を読んでるときだけは心が安らぐという女の子なんです。そんな子が魔法少女になって自分の居場所を作っていく成長物語でもあるので、fhánaがここ何年かの活動でアニソンシーンに居場所を作るために戦ってきたのと似てると思って。

ただ、そうやって自分の生きる場所を探すことは、『メルヘン・メドヘン』やfhánaに限らず、誰しもそうだと思うんですよ。誰もがそれぞれの場所で自分の生きる場所を作るために闘っている。生き辛さを抱えている人も多いかもしれない。〈自分の生きていく場所を作ってきた軌跡は自分だけの物語なんだよ〉という気持ちがあって。なのでこの曲はfhánaのための曲でもあるし、聴いてくれる人それぞれのための曲でもあるんです。

その思いが「わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~」というタイトルにも表れてるわけですね。

佐藤 そうですね。あと“My Uncompleted Story”の部分は「未完了」ということで、ゲームっぽいかなと思ってつけたんです。歌詞も鍵を探してるところから始まって、最後は鍵を見つけて扉を開けるところで終わるんですよね。

yuxukiさんが汚し担当であれば、僕はファンタジックな音担当なので(笑)(kevin)

towanaさんはそういった歌詞の内容を踏まえて、どのように歌おうと心がけましたか?

towana ちょっと女の子っぽい歌い方がいいのかなと思いましたね。fhánaの曲は一人称が「僕」のことが多いんですけど、今回は作品の内容にも合わせて「わたし」になってて、かわいらしい歌詞になってるので、いつもよりもかわいらしさを出してもいいのかなと思った記憶はあります。

サビの“Wow Wow”もいつもとは違った試みだったと思うのですが。

towana “chu chu yeah!”のときと一緒で最初は照れくさかったんですけど、やってるうちに「ここはこれしかないな」というふうに感じられるようになって。ライブでもこの部分でみんなに盛り上がって欲しいし、たぶんそうなると思いますね。

サウンド面ではどういうふうに色付けしていかれたのですか?

佐藤 この曲は僕が作ったデモの段階でほぼこの形になってて、ストリングスもメインのギターも打ち込んでたので、それらを生に差し替えつつ、さらにプラスアルファしていった感じです。

yuxuki waga なのでギターは基本佐藤さんが作ったフレーズをなぞりつつ、自分は曲にローファイ感を入れる汚し担当なので、いい意味でギターの荒々しさみたいなものを足して、かわいいだけの曲にならないような演奏を加えてます。ソロもとりあえず何も考えずに弾いてみたら、それがいちばんカッコ良かったんですよね(笑)。

ハハハ(笑)。kevinさんはどんなところを?

kevin mitsunaga yuxukiさんが汚し担当であれば、僕はファンタジックな音担当なので(笑)、この曲ではシンセをいろいろ重ねたりしました。いつもと違うやり方としては、佐藤さんの家にノートパソコンを持って行って、そこで佐藤さんの制作環境と横に並べながら一緒に音を流して作っていったんですよ。なので佐藤さんの頭の中にあるイメージをより反映できたと思いますね。

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