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辻 凌志朗・内藤大希らが誘う極上にオシャレなホテルへようこそ。舞台『Like A(ライカ)』公開ゲネプロレポート

辻 凌志朗・内藤大希らが誘う極上にオシャレなホテルへようこそ。舞台『Like A(ライカ)』公開ゲネプロレポート

2018年も多くの傑作舞台が生み出される予感がして舞台好きにはワクワクする毎日。そして、その一つに完全オリジナル新作舞台『Like A(ライカ)』が挙がることになると心の底で思わずガッツポーズをしてしまった。そんな舞台が2月3日から新宿FACEにて上演中だ。大ヒットを記録したオリジナル作品『Club SLAZY』シリーズで演出・脚本を務めた三浦 香、脚本の伊勢直弘、振付の當間里美、楽曲のAsu(BMIInc.)が再び贈る、とあるホテルを巡るオシャレでスタイリッシュな舞台。その公開ゲネプロと囲み取材に立ち会うことができた。さあ、ホテル『PERMANENT(ペルマネント)』の世界へ。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 竹下力、鏡田伸幸

言葉にできないオシャレな舞台とは?

オープニングを飾る音は、潮騒。海辺の街・High-Tide(ハイタイド)を連想させる。徐々に明転し舞台が明らかになるが、広がるのは美しいブルーではなく悲しいダークな深いブルーの世界。そこに流れる音楽のAsu(BMIInc.)による荘厳なオーケストレーションな曲がなにやら悲しみを一層引き立てる。

舞台上には無残に散らばったモノ。そして懐中電灯を持ってゆっくりと現れるキャプテンRの内藤大希が登場し、彼の影が舞台装置の壁に映し出され、内藤の背中から醸しだす苦みばしったオーラを感じさせるシーンから舞台が始まっていく。

そして再び瞬きをすれば、広がるのはいつもと変わらないハイタイドにある高級ホテル『PERMANENT(ペルマネント)』。舞台は、2枚の回転型の板が音楽やダンスに合わせ回転したり、場面転換に使われたりと効果的な印象をもたらしてくれる。時には様々な色合いの照明によって影絵が写しだされ、異国情緒が漂う世界に連れて来られた感覚を覚える。

そこに、BB(バスボーイの略、レストランの片付け係)役の辻 凌志朗、バトラー(執事)役の石賀和輝、インスペクター(点検係)役のSHUN、アッシャー(ドアマン)役の髙﨑俊吾、メートル・ドテール(レストランマネージャー)役の岩 義人、キーパー(清掃係)役の中谷優心、FC(フィナンシャルコントローラーの略、財務・経理の見地から経営をサポートする)役の平牧 仁、ベル(宿泊客を客室まで案内する)役の橋本有一郎、ポーター(顧客の荷物を運ぶ)役の今井 稜が、愚痴をこぼしながらもホテルの仕事をこなすいつもの光景。

彼らに名前はなく役割が彼らの名前だ。エンタメステーションのインタビューで三浦 香は「ミステリー仕立ての作品を作りたかった」と語っている通り、お話はすんなり理解できるのに、100%理解できないもどかしさも感じさせ、ミステリアスな世界を見事に紡いでいく。

さらに役者たちへの当て書き。「出演者10人全員に指令を出して宝探しをしてもらいたいんです。エチュード(即興劇)のように演技を試してもらいたい。私が嘘を付いて役所を教えている人もいるし、本当のことを教えている役者もいるんです。彼ら自身がどう主体的に動いていくのかを見たい」と、三浦が語っているように、役者にあったキャラクターが与えられており、役者はまさに等身大の自分を生きて舞台で躍動し、リアルに演技をしているので実際にもある何処かの国だと勘違いをしてしまう。

ストーリーはそこからライバルでもある豪華客船型ホテル『ROXANE(ロクザン)』のホテルマンだと思しきキャプテンRが『ペルマネント』にやってきて一波乱が起きていくのだが……。

音楽のAsu(BMIInc.)は、オーケストレーションから、ジャジーなアップテンポな曲、タンゴ、ダンサンブルな曲まで縦横無尽に奏でながら舞台に華を添える。それに合わせた振付の當間里美によるダンスは見応え十分だ。コミカルでいてクール。役者たちの歌、ダンス、先に当て書きと書いたように、ラップはSHUNが、歌は内藤大希が、ピアノの演奏は平牧仁が、ささくれ立った演技を辻 凌志朗たちがそれぞれの見せ場を作りグイグイと魅せる。

そして三浦 香と伊勢直弘の脚本も見所だ。同サイトで三浦 香が「共同作業は、野球のように伊勢さんのとんでもない球を、どうやって綺麗に打ち返すことを考えるのかが重要になります。それが結末の読めないミステリー要素がふんだんに盛り込まれた舞台に変わるんですね」と語っていたが、ひとつひとつのセリフから先が読めない。サスペンス的な展開が続き、スピーディーかつスリリングで観客を飽きさせない。思わずワクワクさせられてしまう。2人のストーリーテラーとしての稀有な才能が垣間見えた。

演出でも、三浦は「もともと子供の頃から芝居をやっていて北海道から東京に出てきました。例えば、若者は渋谷に行って欲しいものを手に入れようと躍起になっているのに、どうして舞台はトレンドにならないのかと20代のときに考えたんです。そんな若い子達が観に行きたくなるような舞台を作りたいと思った」と語ったが、スリリング、ユニーク、リアル、スタイリッシュ、クール、そんな言葉が連なる。正確な言葉にはできなくてやきもきするが、かっこいい、オシャレ、そんな見たこともない世界が新宿の歌舞伎町に広がっている驚き。そしてカンパニーの力量と役者の絡み合いが絶妙な味わいを醸し出していることに2重で驚いてしまう。

もちろん、彼らの役どころを詳しく知らなくてもいい。ただ席に座って、歌やダンス、セリフに身を任せよう。その世界を味わうだけで十分に楽しむことができる。 公演は、2018年2月3日(土)~12日(月・祝)の新宿 FACEまで。

演劇史に名を残すかもしれない、こんな舞台に立ち会えるのはそうそうない機会。ぜひ足を運んで欲しいとオススメしたいこの冬の傑作ミステリー舞台であった。

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