LIVE SHUTTLE  vol. 243

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けやき坂46 ひらがなけやきの“ハッピーオーラ”というオリジナリティをしっかり魅せたステージ。武道館単独3デイズ公演ファイナルをレポート!

けやき坂46 ひらがなけやきの“ハッピーオーラ”というオリジナリティをしっかり魅せたステージ。武道館単独3デイズ公演ファイナルをレポート!

けやき坂46「日本武道館 3Days」
2018年2月1日 日本武道館

ひらがな(けやき坂46)は漢字(欅坂46)のアンダーではない。姉妹グループではあるが、異なる個性を持った、独立した1つのガールズグループであり、ライブアーティストである。彼女たちは、単独での3デイズとなった日本武道館公演で自分たちにしかないオリジナリティを発揮し、そのことを歌とダンス、パフォーマンスで証明してみせた。

3日目を迎えた最終日の最初のMCで、佐々木美玲が「今日を伝説のライブになるくらいめっちゃ盛り上がりたいと思います。それと、ライブが終わって、寝るときにも、みなさんの夢に出るくらい、みなさんにハッピーを届けたいと思います」と意気込みを語り、MC担当の佐々木久美が「みなさんにハッピーオーラを体感していただこうと思います」と続けたように、彼女たちの根底にあるのは “幸せにしたい”という思いだ。それは、聴き手の心の奥底にある怒りや葛藤、孤独や悩みをわかり合う漢字とは全く異なるベクトルを向いているように感じる。もちろん、楽曲ごとに違う世界観を表現しているので一概に言えないが、大まかなイメージとしては、太陽と月、明と暗、喜びと怒り、楽しいことと悲しいこと、可愛い(女性)とカッコイイ(男性)といった相反する要素を“W-KEYAKIZAKA”の2つのグループで表しているように感じる。

もちろん、けやき坂46も怒りや悲しみを抱えていないわけではない。姉の存在が大きくなればなるほど、悩みや葛藤も増えるだろう。だが、それをそのままストレートに表に出すかは別の話だ。けやき坂46の日本武道館3days公演の舞台はサーカス場であった。サーカスの人気者であるピエロは、頬に描いた涙で悲しみを隠し、笑顔で観客を楽しませ、喜ばせるという存在である。それは、けやき坂46と通じる姿勢であるのではないかと思う。ポップアップでステージに飛び出してきたピエロのマジックによって、トランプのカードから抜け出てきた11人のメンバーは、シルクハットとステッキを使ったダンスでショウの幕開けを宣言。左右に用意された4台のトロッコに代わる代わる飛び乗って、満員の観客に笑顔で手を振り、「ひらがなけやき」の<これからよろしく/ひらがなのように素直な自分でありのまま…>というフレーズに合わせて丁寧なお辞儀をし、最後にはVサインを見せた。井口眞緒がソロでバレエを踊った「二人セゾン」を経て、「僕たちは付き合っている」では笑顔でスキップをしながら甘酸っぱい恋心を表現した。大量のスモークとレーザーが交差した「語るなら未来を…」ではシルエットが映し出された映像とシンクロした演出で楽しませ、拳を合わせた「東京タワーはどこから見える?」では、大地を割るような力強い歌声を響かせた。

ピエロや大道芸人によるジャグリングなどのパフォーマンスを挟み、ユニットコーナーの突入。影山、柿崎、佐々木美玲、東村がレイヴィーなダンスビートの中で孤独を表現した「AM1:27」から一点、「青空が違う」では井口、潮、影山、佐々木美玲、高瀬、東村による5人組のアイドルグループのような輝きを見せた。「猫の名前」では、ミラーボールが回る中で柿崎、加藤、佐々木久美、高瀬がソファで猫のようにじゃれあい、潮、加藤、斎藤、佐々木久美、高本のレコーディングメンバーによる「沈黙した恋人よ」は、美しく澄んだハイトーンヴォイスによるハーモニーを聞かせながら、ミラーがあるかのようなダンスも見せるなど、声と体の両方を重ねたストーリーを展開。そして、漢字とひらがなの唯一の兼任経験者で、昨年秋に漢字専任となった長濱ねるのソロ曲「100年待てば」では風船を持った11人のメンバーに加えて、着ぐるみやカフェのメイド、お医者さんやパン屋さんも登場。ステージ上に街の景色が再現された中で、天井からは<ひらがなけやき>と書かれた5色の風船が舞い降りた。満員の観客は会場をねるのカラーである紫に染め、全員で<イエーイ!>と大声を上げたが、それはなんとも言えない幸福で温かな風景だった。

渡邉美穂をセンターにしたひらがなけやきの二期生、9人による乃木坂46「制服のマネキン」のカバーから、一期生も加わった総勢20名による「NO WAR in the future」へ。オリエンタルなトラックにヒップホップダンスや時代劇の殺陣。ロシア民謡のコサックダンスをミックスしたパフォーマンスから、最後は20人で右手を高く掲げながらジャンプし、全員でハートマークを作った。

2期生によるMCを挟み、ライブは後半戦に。ひらがなけやきの初主演ドラマ「Re:Mind」の主題歌「それでも歩いてる」では小さな椅子を使いながら早口で歌い継ぎ、学校の外観をバックにした「永遠の白線」は肩を組んで歌唱。野球のユニフォームを身につけたダンサーが登場して盛り上げ、場内に向けてサインボールを打ち込んだ。たっぷりの投げキッスをお見舞いした「手を繋いで帰ろうか」、佐々木久美が「武道館、ここまで跳べー!」と叫びながら3階まで一気にフライングで飛び上がった「誰よりも高く跳べ!」、そして、佐々木久美の「私たちはみなさんの太陽のようになりたい」と語ったアンセム的ハウスナンバー「太陽は見上げる人を選ばない」で本編は終了。オールキャストが登壇する中、「私たちはもっともっと、みなさんにたくさんのハッピーオーラを届けられるように成長して行きます」という宣言とともにサーカスの幕は降りた。

アンコールでは、<漢字のアンダーなんて言わせない>という決意が込められたヒストリー映像を経て、未音源化の新曲「イマニミテイロ」で改めて、どんな困難にも逃げずに立ち向かっていく姿勢を表明し、佐々木久美はグループを代表して、その思いを正直に吐露した。

「今、歌ったのは、武道館3デイズをやっている今の私たちの心境にとてもリンクしている曲です。最初は私たち、1日目だけだったんですね。漢字さんが2日間やるという予定で。それが、私たちが3デイズをやることになりました。最初に武道館3デイズをやってもらえますか? と聞かれたときに、正直、そんな大役は私たちには務められない、と。武道館という誰もが一度は夢に見るであろう舞台に3日間も人が来てくれるのかな? とか、私たちは本当に漢字さんのパフォーマンスが大好きで、私たちも漢字さんのパフォーマンスが見たかったし、とか。ネガティヴな方に最初は考えていってしまったんですけど、こんなに素敵な演出やセットを使ってくださり、私たちに期待をかけてくださるスタッフさんたちがたくさんいて。何よりも、私たちのライブを見たいと言ってくださる皆さんがたくさんいるということを聞いて、自信を持って3日間、頑張ろう、と。20人でこの日のために準備してきました。私たちは本当にライブが大好きで、ライブこそが私たちの本当の“イロ”を出せる場所だなと感じています。それは、みなさんがいつも笑顔で私たちのライブを見てくれているし、一緒にライブを作ってくれているからだなって思います。私たちは根が暗いメンバーの集まりなので(笑)、ネガティヴに考えちゃうこともたくさんあるんですけども、いつでもみなさんが待ってくれていると信じて、これからもどんどん成長して、坂を登って行きたいと思います。これからも応援よろしくお願いします」

最後は声を合わせて挨拶したが、画面に映し出された加藤の目には涙が浮かんでいた。ここまでくるには相当のプレッシャーがかかっていたのだろう。しかし、「世界には愛しかない」は客席に大きな虹をかけるかのように明るくて強いアクトで観客の笑顔を誘い、アンコールのラストナンバー「W-KEYAKIZAKAの詩」では彼女たちの背中を押すかのように場内がグリーンのペンライトで一体となり、天井からは真っ白が紙飛行機が舞う中で、3日間に及んだ単独武道館公演は締めくくられた……かと思いきや、突如、スクリーンに<3日間お疲れ様でした>の文字が浮かび上がり、初日、2日目、そして、3日目のオープニングまでのドキュメント映像が流された。そして、<武道館公演を終えたひらがなけやきのさらなる成長に次なる試練!!>という文字の後に、<単独アルバム発売決定!!>というサプライズ発表がなされた。何も聞かされてなかったメンバーが号泣する中、佐々木久美は「こんなに早く夢が叶うとは思ってなかったので嬉しいです。ありがとうございます」と喜びの声をあげた。そして、ライブが終わっても興奮が覚めやらないオーディエンスからの声援に答え、ダブルアンコールが実現。「誰よりも高く跳べ!」をみんなで歌い踊り、柵を超えて自由を手にした喜びを全力で表現した。「イマニミテイロ」の歌詞にあるように、無謀と言われながらも、見事に大成功を収めた武道館単独3デイズ公演を成功させ、オリジナルアルバムのリリースが決定した彼女たちがどこまで高く跳んでいくのかは、まだ誰も予想できない。今はただ、こんなにも多幸感に満ち溢れたライブ空間を作れるのは彼女たちの様々な「イロ」が詰まったアルバムの完成を心待ちにしたいと思う。

フォトギャラリー

文 / 永堀アツオ *写真は3日間のオフィシャル

けやき坂46「日本武道館 3Days」
2018年2月1日 日本武道館

セットリスト
0. OVERTURE
1. ひらがなけやき
2. 二人セゾン
3. 僕たちは付き合っている
4. 語るなら未来を…
5. 東京タワーはどこから見える?
6. AM1:27
7. 青空が違う
8. 猫の名前
9. 沈黙した恋人よ
10. 100年待てば
11. 制服のマネキン
12. NO WAR in the future
13. それでも歩いてる
14. 永遠の白線
15. 手を繋いで帰ろうか
16. 誰よりも高く跳べ!
17. 太陽は見上げる人を選ばない
<ENCORE>
EN1. イマニミテイロ 新曲
EN2. 世界には愛しかない
EN3. W-KEYAKIZAKAの詩

オフィシャルサイトhttp://www.keyakizaka46.com/

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