佐藤剛の「会った、聴いた、読んだ」  vol. 31

Column

まだ無名のスパイシーコウヤドウフだが、「何もナッシング」には何かがある。

まだ無名のスパイシーコウヤドウフだが、「何もナッシング」には何かがある。

スパイシーコウヤドウフは5人組エンターテイメント・ロックバンドで東京を中心に活動中だが、まだほとんど無名の存在だ。
目指すところは「ストレートな正統派ロックサウンドをベースとした、ユニークでハッピーなポップソング」を主軸にした盛大なるショーだというが、まだまだ成長途上にある。

そもそもバンド名が今ひとつに思える。
アマチュアならそれもいいが、プロになって世界を目指すのであれば、早急に変えてほしいものだと思う。

だが彼らは結成7年目を迎える今年、大きく躍進するかもしれないという気がしている。

初めてライブを観たのは昨年の7月だったが、楽曲に密度が足りないせいか、ひとことでいえば「意あって力足らず」であった。
それでも、「寒々とした時代に、愛に満ちたオモシロカッコイイ音楽を、老若男女の皆様へお届けすべく奮闘中」という、音楽に対する純粋な気持ちだけは伝わってきて好感を持った。

その後、10月にワンマンライブを観に行ってみて、演奏力はプロとして通用するとわかったが、楽曲そのものはまだまだという印象が変わらなかった。
しかし、キーボードとパーカッション、ギターを演奏できる新メンバーが加入したことで、音楽性に幅と奥行が増したことから、サウンドが多彩になってライブならではの魅力が倍増した。

未完成の曲が多いのに2時間以上も観客の目をステージに向けさせて、飽きさせないメンバーたちの確かな力量に、将来への期待が少しふくらんだ。

メンバー
スパイシーナカーノ(ボーカル, ギター)、
スパイシータケウチ(ギター, コーラス)、
スパイシーマツモト(ベース, コーラス)、
スパイシーゴンゾ(ドラム, コーラス)、
スパイシーコウバヤシ(キーボード,ギター、パーカッション, コーラス)

ライブの後でソングライティングから歌唱や演奏にいたるまで、いくつか感じたことを具体的にアドバイスしてみた。
すると、楽曲が見違えるように良くなったので、即座に対応できる能力に驚いた。
わずか1時間あまりのミーティングで、何か大切なものをつかんでくれたのだろう。楽曲が見違えるように良くなったので、即座に対応できる能力に驚いた。

彼らに「なぜこのようなバンドをやろうと思ったのか?」と、グループ結成の経緯について聞いたことがある。

バンド結成が2011年4月だったので、「3.11」と関係しているのかを知りたかったのだ。
すると思った通りに、「暗い時代がやってくるだろうから、歌や音楽でまわりの人の心を明るくしたい」という答えが返って来た。

そして年が明けて2月2日に行われたライブでは、それまでとは表情からしてガラッと変わっていた。

昨日の夜には新しいPVが送られてきたが、楽曲にはまだまだ物足りなさが残るが、これまで以上に個性が感じられる。

「何もナッシング」

4月14日には東京の渋谷・クアトロで開催されるライブには、「身近に触れあえて、とにかく楽しい!スーパー銭湯アイドル」と評判の歌謡コーラスグループ、「純烈」をゲストに迎えて異色のコラボレーションが行う。

そこでどんな化学反応が起きるのかが、今から楽しみである。

純烈

スパイシーコウヤドウフの楽曲はこちら
純烈の楽曲はこちら

著者プロフィール:佐藤剛

1952年岩手県盛岡市生まれ、宮城県仙台市育ち。明治大学卒業後、音楽業界誌『ミュージック・ラボ』の編集と営業に携わる。
シンコー・ミュージックを経て、プロデューサーとして独立。数多くのアーティストの作品やコンサートをてがける。
「マイ・ラスト・ソング」では構成と演出を担当。
2015年、NPO法人ミュージックソムリエ協会会長に就任。
著書にはノンフィクション『上を向いて歩こう』(岩波書店、小学館文庫)、『黄昏のビギンの物語』(小学館新書)。

美輪明宏と「ヨイトマケの唄」 天才たちはいかにして出会ったのか

著者:佐藤剛
出版社:文芸春秋

三島由紀夫、中村八大、寺山修司・・・・・・

時代を彩った多くの才能との邂逅、稀代の表現者となった美輪明宏の歌と音楽に迫る、傑作ノンフィクション!

「自分以外の人によって、己れの人生を克明に調べ上げ語られると、そこには又、異なる人物像が現出する。歴史に残る天才達によって彩色された果報な私の人生絵巻が、愛満載に描かれていて、今更ながら有難さが身に沁みる」――美輪明宏

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