Interview

あの「水の星へ愛をこめて」から32年 森口博子、『Zガンダム』と奇跡の再会! 万感こめたニューシングルと、今だから話せるデビュー当時の想い

あの「水の星へ愛をこめて」から32年 森口博子、『Zガンダム』と奇跡の再会! 万感こめたニューシングルと、今だから話せるデビュー当時の想い

『機動戦士Zガンダム』のテーマソングでありデビュー曲でもある「水の星へ愛をこめて」から32年。森口博子が、Zガンダムに還って来た!「CRフィーバー機動戦士Zガンダム」の搭載曲「鳥籠の少年」を完成させた彼女。アニメミュージックのシーンに身を置いてきた32年を振り返りつつ「鳥籠の少年」について直撃した。

取材・文 / えびさわなち 撮影 / 山本哲也


歴史ある『機動戦士ガンダム』に今でも携わらせていただけているのは、ボーカリストとして誇らしいですね

『Zガンダム』と森口博子さんというと、一心同体というか、常に一緒にお名前が出て来るくらい、アニメファンのあいだではリンクされたイメージがあると思うのですが、32年歌い続けていらして、昨今のアニメ・シーンに対してはどのような想いがおありでしょうか。

森口博子 デビューした頃はアニメはカルチャーの中でもまだまだ低い評価しかなくて、レコード屋さんに行ってもアニメの楽曲はレコードを置いてもらえないし、あったとしても端の方に置かれているような、そんな扱いだったんですね。「こんなところにあったの!?」って思わず言ってしまうような感じで。同期のアイドルの子たちは、自分たちの名前での、個人のラックがあったりもしていて、「(自分の歌っている曲は)こんなにいい曲なのに!」と悔しい想いもしていました。なので、同じ「ま行」の松田聖子さんのラックのある、見えるところに目立つように自分のレコードを置いたりもしましたね(笑)。

アニメが誕生して去年で100年。100年経った今、ようやく海外に向けて発信できる日本の文化となりましたよね。そうして時代を牽引しているアニメーションに、今でも携わらせていただけている。それも歴史ある『機動戦士ガンダム』に。それはボーカリストとして、誇らしいですよね。

シークレット・アーティストとして「アニサマ」(Animelo Summer Live 2012 -INFINITY∞-)にもご出演されていましたが、目の前に広がるサイリウムの光の景色など、当時からシーンを知っていらっしゃると感慨も深いのではないでしょうか。

森口 もう感動しました!あの一体感と歓声。さいたまスーパーアリーナのファンのみなさんのあの熱量だけで、「一生頑張れる」と思えるだけのエネルギーが溢れていました。何年経っても、楽曲を大切にしてくれている事を改めて、肌で感じました。それを毎回、毎回、感じさせてくれます。本当にブレることのない熱量というのがあって、それもランキングとかチャートインに関係なく、子供の頃から聴いている曲がその人の人格形成に影響していくというか。

わたし自身もそうなんですけど、たとえば『キャンディキャンディ』の「あしたがすき」とか。どんなときに聴いても裏切らないですし、色褪せないですし。そういうふうに人格形成の中で聴いてくれている「ガンダムソング」が、年齢を重ねると共にその人の人生の中で一緒に息づいているんだなと思うとまた感慨深いですし、「アニメの力って本当にすごいな」というのをライブでは毎回、実感しています。泣けちゃいますね。ライブで、平常心でいるのが大変。感動と、気分も高揚するので「ちゃんと横隔膜を下げて歌わなきゃ」って自分に言い聞かせて、凛と歌うことを強く意識して歌っています。

森口 「アニサマ」に出演したときも、イントロから地球に愛を込めて、という深い感情で登場しなきゃいけないのに、あまりにも感動してしまって思わずニコニコの表情で出て来てしまいましたし、途中でも満面の笑みがこぼれてしまって。手まで振っていました。抑えきれない感情というか。「いいよね、ここでは」と思ってしまうほどの感動がありました。今、思い出しても涙が出て来てしまいそうで。言葉では表現しきれない感動と魂の震えがありました。

生涯揺るぎない作品にまた出逢えて、歌い続ける大きなエネルギーをいただけました

そのアニメとの出会いとなった『Zガンダム』ですが「水の星へ愛をこめて」を歌い続けてこられた今、「鳥籠の少年」で32年ぶりにタッグを組まれることに対してどのような想いがありますか?

森口 まさか32年を経た今、デビューの作品の『Zガンダム』に帰って来られるなんて!夢みたい!という驚きと、これだけたくさんのアーティストが活動している中、また私にチャンスをいただけたことは感謝に尽きますよね。ネットでも皆さんから「おかえり」という声をいただいて。「待ってました!」とか「『ガンダム』と言えば森口博子」という言葉もうれしかったですね。

10代、20代、30代と「ガンダム」のテーマソングを歌わせていただき、「40代でも歌いたい!」と願っていましたが、前作「ガンダムTHE ORIGIN IV 運命の前夜」のテーマソング「宇宙の彼方で」でその夢をみんなが叶えてくれたんです! その40代で2回も『ガンダム』に携わらせていただくなんて。ファンの皆さんとも作品とも、運命共同体だなと思えて。生涯揺るぎない作品にまた出逢えたことは、今後の歌手人生で、歌い続ける大きなエネルギーを確実にいただけました。

時を経ても色褪せない、時を経て見るとまた新たな発見や感情が生まれるガンダム作品だからこそ、『Z』も色褪せないですよね。

森口 カミーユが、すごく繊細な心を持っていて、それでも前へ踏み出さなければいけないその心の葛藤も、大人になって改めて見たときに現代社会と照らし合わせられるところもあったりしますよね。現代の、様々ことを抱える人たちにとっても、少年時代に見ていたカミーユから感じたこと、大人になって見た今だからこその発見もあるはずなんですよね。40代でその世界観を表現できることで、みんなの成長をお互いに感じることが出来るな、とも感じますよね。こんな感慨深くてうれしいことはないですね。

その「鳥籠の少年」。この曲に出会ったときにはどのようなことを感じられたのでしょうか。

森口 イントロから「キター!」ってテンションが上がりました。何百曲とある候補の中から選ばれた楽曲なので、力があることは間違いがないです。パチンコをしているときに流れる楽曲という事で、イントロからアドレナリンが出るようなゾクゾク感はマストの要素だったんですけど、そういう曲がすごくたくさん集まってきたんですね。「作家の方たちも『ガンダム』を愛しているんだな」と感じるくらい、想いが溢れる楽曲ばかりで「どれもいい曲!」と幸せな悶えがあったんです。その中でこの「鳥籠の少年」はイントロから皮膚感覚でゾワゾワと気持ちがあがっていくような感覚があったことと、昭和の懐かしいテイストも残しつつ、日本人の琴線に触れるような歌謡曲テイストの中の躍動感がたまりませんでした。それはZ世代の人たちには刺さるな、と思ったことが決め手でした。

それから歌詞は、カミーユの繊細な想いを感じたんです。「心の殻を破って飛び出そう」と口で言うのは簡単だけど、最終的にはどんなに周りがサポートしてくれても「やるんだ」って踏み出さないと始まらない。殻に閉じこもっていたけど怖がらずに外へ翔び立とうというメッセージが、『Z』の世界観と自分の置かれているこれからの人生とを照らし合わせて見たときにとてもリンクして、歯車が合ったと感じた、そんな曲ですね。

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