LIVE SHUTTLE  vol. 248

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マオ from SIDがバレンタインシーズンで魅せた”極上の一夜”

マオ from SIDがバレンタインシーズンで魅せた”極上の一夜”

Maison de M vol.2 <2nd SHOW>
2018年2月10日 Billboard Live TOKYO

マオ from SIDが、本人自ら「ソロライブの理想の場所」と語っているBlue Note Nagoya、Billboard Live TOKYOとOSAKAにて、ソロライブ[Maison de M vol.2]を開催。全日二部構成での開催となったこのライブのなかから、2月10日、東京での最終公演となった第二部の模様をお届けしよう。

ここは食事やお酒を飲みながら音楽が楽しめる、ラグジュアリーな大人のライブレストラン。バレンタインシーズンに合わせて、通常メニューに加えて、グラスのなかにチョコレートとクリーム、ミントがトッピングされたマオオリジナルの甘いカクテルが用意されていたこの日。会場内だけ、しっとりと優雅な時間が流れていくなか、開演時間になると客席が暗転。サックスとヴァイオリンを加えた6人編成のバンドメンバーが静かに定位置につく。

ライブはvol.1同様ソロのファースト・ミニアルバム『Maison de M』の1曲目を飾った「chandelier」で幕を開けた。下手から颯爽とステージにやってきたマオは、ストライプスーツに羽のついたボルサリーノという装い。いつもとは違う、この空間にぴったりな大人のダンディズムを匂わせたマオが、目の前で“極上の夜にしよう”と歌う。それだけで観客はふわふわ、そわそわ、どきどき。なんともいえない濃厚な空気が客席に広がっていくのが分かる。それを次の「マニキュア」が解いていく。曲のなかの男女のように、佐藤公彦のサックスと門脇大輔が奏でるヴァイオリンがどんどんエロティックにからみあっていくなか、マオが“一週しても”で右手の人差し指をくるっと回したあと、“ハァア〜”という甘い吐息を漏らし、最後はエレガントな微笑みを浮かべながらやわらかなロングトーンで観客たちをおとす。

アプローチは完璧だ。客席から贈られた拍手に「ありがとう」と丁寧にお礼を言ったあと、まずは「こんばんは、マオです。最後まで楽しんで帰ってください。よろしく」と挨拶。そのあと「一部と二部のファンの違いを俺なりに研究してる」と言い、一部では観客は緊張していて、二部では心の距離が近づくのか「一部よりも二部のほうが“マオ?(語尾をあげて呼ぶ)”“マオ?”言ってくるんだよ」と持論を発表。「二部のお客さんは俺が近づいたらすぐ“マオ?”って言うから」と言って実際に下手や上手サイドにいくと、移動した先で「マオ」コールが起こることを証明してみせた。

「もうすぐ2月14日。そのシーズンにぴったりの恋の歌をメインに歌うので、この時間ぐらい俺としませんか?」。そんなスイートなセリフから「星」というのは、まさにとろけるような美しい展開。“手を伸ばせば届くかも”“もう苦しくて〜胸のあたりから全部を持ってかれちゃう” “このままどこか遠くへ君の手繋いでさらおう”。マオの甘い歌声が、神様にお祈りをするように手の指を組んでこの歌に自分を重ねる観客たちを、とことんロマンチックなムードに浸らせていった。「次はね。なんと!」(観客「なんと?」)と、ここで「新曲持ってきましたー」とマオが言うと、客席からは驚きの歓声が上がる。「少なくとも一部に来たヤツ、分かってるだろ?」と観客を軽くいじったあと、新曲「rule」をアクト。この曲は木島靖夫のグルーヴィーなギターのカッティングで畳み掛けていくオシャレなアップチューン。作曲はここでバンマスをつとめるnishi-ken(Key)が担当。この曲で『Maison de M』にオシャレな躍動感が加わった。

このあとは、ジャケットを脱いで装いも新たに「頬づえ」へ。3連のイントロが始まると、マオが歌いながらステージから客席へ降りてきた。観客一人ひとりと意識的に目線をからめ、ゆっくりと歩きながら階段を登り、上の階を巡って、再び階段を降りてステージへと戻っていった。マオの用意したサプライズに、観客たちの緊張は息が止まるほどマックスに高まっていった。

みんなの間近で歌うことについて「気持ちも入るし、何よりも新鮮。こんな距離で歌うことないからね」と感想を伝えたマオ。こうして観客との距離がググッと近づいたところで「今夜寝る前、目を閉じたら俺が目の前に現れるかもしれないから、気をつけて!」と茶目っ気たっぷりに言いつつも、ここぞとばかり「よく見るんだけど、俺のMVの白目の顔をプロフィール画像に使うのとかやめて!」と注意。「“こんなマオも好きでーす”って。無理でしょ、それ」と苦笑しながら「まあでも、なんでも嬉しいです」と言って最後にはそんな人たちも好きだよとフォローするあたり、マオのやさしさが表れていた。

ライブは「違う果実」から後半戦へ。nishi-kenがタンバリンを叩き、マオがハンドクラップを求める「不埒な体温」は「違う果実」に続くロックなアップチューンで、客席はハンドクラップでどんどん一体感が高まっていった。また、この日の一部にはシドのShinjiとゆうやが駆けつけたことを伝えると、ファンは大絶叫。明希は展示会のため残念ながら欠席、2人だけが来ることを「グループラインで伝えてきた」と明かすと、その“グループライン”に反応してファンはさらに絶叫!! 「俺らどんだけ仲良しなんだよ」と言いながら、ライブを観た2人が「すごくいい!」とライブを褒めてくれたことで「“よっしゃ!”と気合いを入れて二部に入れた」というエピソードを披露し、曲は次の「朝帰り」へ。胸キュンな歌詞、開放感たっぷりのコード展開にのせられてテンションが高まったところで「サヨナララスト」へと流れるようにバトンタッチ。ハンドクラップから手を左右に振る仕草はすでにおなじみ。一体感ある盛り上がりで客席が多幸感に包まれていく。

フロアに広がる楽しそうな笑顔を見て、「いままでで1番のみんなの笑顔を見て思った。これが俺の理想の“サヨナララスト”です」と感慨深そうにマオがファンに伝えた。このあと「人間はゴールがあるから頑張れる」とマオが話し出した。「音楽はゴールがないから、小さくてもいいから“ここがゴール”って決めながら俺は歌ってきてる」とまず自分のことを語ったあと「だから、みんなもゴールが見えなくてやってもやっても暗闇ばかりで辛くなったり、この先にゴールなんてあるのかなと思ったときは、自分のいまのキャパにあったゴールを決めてやってみて」とアドバイスをおくった。「俺はいつもキャパからちょっとだけはみ出したところにゴールを一つ設定して、挑戦していくんだけど。それがシドや俺の音楽のあり方」と話を結んだ。

最後に「最愛のみんなに。この曲を受け取って」と言って歌い出したのは「月」。ステージ後方の幕がゆっくりと開き、ラグジュアリーな夜景をバックに広がった。しっとりしていて、品のあるバンドアンサンブルに包まれたなかで聴くマオの、エモーショナルな歌声は格別。その歌を聴いて、観客のなかには静かに涙を流すファンもいた。そして、歌い終えた後「満足です」とマオがつぶやいた。

ライブが終わってみると、今回はカヴァー曲はなし。新曲を入れ、オリジナル曲だけで1本のライブが成立していた。こうして、毎回見るたびに新しい楽曲、新しいライブの可能性を見せてくれるマオのソロ活動。シドと並行して「ソロ活動もすごい楽しめてやれてるんで、こちらも応援してもらえると嬉しいです」と伝え、彼はステージを後にした。

文 / 東條祥恵

Maison de M vol.2 <2nd SHOW>
2018年2月10日 Billboard Live TOKYO

セットリスト
1.chandelier
2.マニキュア
3.星
4.rule
5.頰づえ
6.違う果実
7.不埒な体温
8.朝帰り
9.サヨナララスト
10.月

マオ

福岡県出身。10月23日生まれ。
2003年に結成されたロックバンド「シド」のヴォーカリスト。
2008年メジャーデビュー。バンドとしてこれまで「モノクロのキス」、「嘘」、「ANNIVERSARY」などで映画・テレビアニメテーマ曲を担当。
数多くのヒット曲を世に放ち、2010年には東京ドーム公演を行うなど常に音楽シーンを牽引する存在に。
活動13年を迎える中、新たな挑戦としてキャリア初のソロプロジェクト「マオ from SID」をスタートさせる。

オフィシャルサイトhttp://www.maofromsid.com/

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