Interview

“骨太役者”渡部豪太、「“型”を語り継ぐ粋な役者になりたい」。『西郷どん』『ふるカフェ系 ハルさんの休日』への思いを語る

“骨太役者”渡部豪太、「“型”を語り継ぐ粋な役者になりたい」。『西郷どん』『ふるカフェ系 ハルさんの休日』への思いを語る

「過去の人を演じているつもりはない。今と同じ激動の時代を役で生きている」

ところでドラマは、幕末から明治にかけての激動の時代が舞台ですが、この時代を演じていて何か思ったことはありますか?

吉二郎は危機感を抱いていても、もしかしたら激動の時代だと思っていなかったかもしれません。斉彬公は将来の礎を第一次産業に置いていて、国の民がお腹いっぱい食べられることが、その国の強さだと思っていた方なんです。最近野菜が高いですが、もしかしたら明日レタスが300円になるかもしれない。野菜の高騰は家計を圧迫するので、笑いごとではないんですよね。だから僕は2018年の今も、激動のすごい時代を生きていると思っています。吉二郎を演じることで、そう思えたのかもしれません。大河ドラマは常に、過去の時代を通して現代にも通じるテーマを描いているのが面白いです。

吉二郎の生き方を通しても、今が見えてきそうです。

今に伝わる吉二郎や薩摩は、インターネットで調べた薄っぺらな情報ではなく、あの武士から聞いた、あの隣人から聞いたとか生きた言葉や情報からつくられているんだと思います。侍がふんぞり返っている時代が終わって、侍が弱き者を助ける役割へと時代は変わっていきます。僕は過去の人を演じているつもりは全くありません。役を通して、その時代を生きている感覚です。今も刀を持ってはいないですが、(腰を指差して)1本差しておくつもりで、弱き者を助ける侍でありたいと思っています。     

今後、兄が島流しになったときや、戊辰戦争など、吉二郎の見どころがたくさんありそうですが、どんなシーンを楽しみにしてもらいたいですか?

個人的には「吉二郎がなぜ戊辰戦争に参加したのか?」という疑問もあるんです。おそらく薩英戦争にも参加していると想像しました。いくら国元で家を守っている身であっても、侍としての本分、獣として牙を捨てずにいたんだと思います。そんな吉二郎の侍としての姿にも注目していただきたいですが、具体的にどこのシーンというよりも、台本があって、役者が演じ、編集や音楽や美術など、多くのスタッフが関わって、物語全体がさらに面白くなっているので、視聴者の方にも伝わると思います。

若い視聴者の方々にもぜひ観てもらいたいですね。

ぜひ、若い人にも楽しんで欲しいです。演劇や映画を観に行くときって、着飾って、観賞して、誰かと食事をして……というように一日が“エンターテインメント”ですよね。作品を観賞した後は、それについて誰かと話すことが大事だと思うので、大河ドラマは家族みんなで集まって観て欲しいですね。そして、ドラマについて少しでも話をしていただけたらと思います。演じていた俳優さんの顔が浮かぶと、歴史の勉強も楽しくなってくるかと思います。

先人たちの思いを届けたい。「ふるカフェ」新シリーズ

話は変わりますが、渡部さんがハルさんに扮して古民家カフェを訪れる『ふるカフェ系 ハルさんの休日』が好評で、4月から新シリーズも始まりますね。渡部さんとハルさん、共通点はありますか?

古くから残っているものに興味があるところが同じです。僕は神社・仏閣が好きで、その景色や空気に感動します。血の通ったものが好きなんです。

新シリーズではどんな場所に行きますか? どんなところを楽しみにして欲しいですか?

元教会や元牛舎をリノベーションしたカフェに行きました。この番組の主演は、古民家とそこで生きる方々。古民家を通して町の歴史をたどる番組です。僕はそこをフラフラするツーリスト。地元のお年寄りの方々から昔のお話を聞くことは、その人の経験を提供してもらうので、僕にとってはとても栄養を含んだ時間になります。僕はおばあちゃんっ子だったんです! お線香の匂いが好きで、14歳のとき、家でお香を焚いていました(笑)。

「日本の美しいものを常に忘れず、体現できる技術を持っている粋な役者になりたい」

これまで訪れた場所に再度足を運ぶことはあるのですか?

今まで40数件回りましたが、撮影で近くを訪れたとき、フラッと立ち寄ってコーヒーを飲んだりします。地方に会いたい人がいて寄る港がある感じで、僕にとっての宝物になりました。

町の歴史が、リノベーションされたカフェから感じられる素敵な番組ですよね。

先代の方々から受け継がれてきたことは、とても大事。たとえば洋服や机など、周りのものすべてが誰かの仕事であって、それをつくる技術自体も長年かけて伝わってきたものです。芸事も同じです。先代の中村勘三郎さんが「型無しと型破りは違う」とおっしゃっていました。先代から脈々と受け継がれてきたものの最小公倍数が「型」であって、それは失くしてはならない伝統です。芸術をメディアにのせて人に伝える仕事をする人間は、文化水準が下がらないように、それを守っていかなければならないと思っています。

それが役者としての宿命ですか?

宿命というほどの気負いはないけれど、こんなに楽しい仕事を目の前にして、さらにそれだけじゃない気がするんです。僕は役のシーンの、その瞬間を生きるしかないのですが、先輩がおっしゃったことをちゃんと聞いて、先人たちの思いを受け取って、寛容と柔軟さで、流されても戻って来られるようにしたいです。日本の美しいものを常に忘れず、体現できる技術を持っている粋な役者になりたいですね。

渡部豪太

1986年、茨城県出身。幼少時から芸能活動を始め、ドラマ『プロポーズ大作戦』(07/CX)、映画『鴨川ホルモー』(09/本木克英 監督)、舞台『愛の唄を歌おう』(14)、映画『海難 1890』(15/田中光敏 監督)など幅広く活躍中。2018年はNHK大河ドラマ『西郷どん』、NHK-Eテレ『ふるカフェ系 ハルさんの休日』のほか、『太陽からのおくりもの~輝く笑顔を求めて』(NTV)でナレーションを務めている。

 

大河ドラマ『西郷どん』

総合テレビ 毎週日曜 20:00〜20:45
BSプレミアム 毎週日曜 18:00〜18:45

オフィシャルサイト
https://www.nhk.or.jp/segodon/

『ふるカフェ系 ハルさんの休日』

4月4日(水)スタート
毎週水曜日 23:00〜オンエア

オフィシャルサイト
http://www4.nhk.or.jp/furucafe/

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