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『Skyrim』誰にもなれて何でもできる、自由なゲームの真相

『Skyrim』誰にもなれて何でもできる、自由なゲームの真相

2011年に発売され、世界で200以上のアワードを獲得した『The Elder Scrolls V: Skyrim®』(以下、『Skyrim』)。いまなお根強い人気を誇る本作のNintendo Switch™版が2018年2月1日に発売され、ファンのあいだでは再び熱が高まっている。

本稿では、オープンワールドRPGの代名詞的存在とも言える『Skyrim』が作り出す、開かれた世界で楽しむロールプレイの面白さを追及していく。本作をプレイしたことがない人は、ぜひとも広大な世界の中で無限のプレイスタイルを体験できる自由度の高さに触れてほしい。

文 / 村田征二朗(SPB15)


竜と戦う英雄になる……かはプレイヤー次第 

2011年の発売当時は世界中のゲームメディアで絶賛され、“最高峰のRPG作品”として揺るぎない評価を獲得したオープンワールドRPG『Skyrim』。タイトルが『The Elder Scrolls V: Skyrim®』となっているように、本作は人間、エルフ、亜人種、巨人などが暮らす“ザ・西洋ファンタジー”な世界を舞台にした『The Elder Scrolls』シリーズの第5作です。なお、ストーリーは直接的につながっているわけではなく、シリーズ作品をプレイせずにいきなり『Skyrim』を遊んでも十分に楽しめるので、その点については心配無用です。

▲ロード中に表示される各種説明テキストやキャラクターなどのビジュアルからも王道なファンタジーであることがバシバシ伝わってきます

▲操作性で言えばアクションRPGにあたりますが、難解な操作は必要ありません。また、視点はRスティックボタンで即座に一人称視点と三人称視点を切り替えられます

前作にあたる『The Elder Scrolls IV: Oblivion』でもそうでしたが、本作はオープンワールドRPGというジャンル名にふさわしく、開けた世界のなかでプレイヤーが好きに役割を演じることができ、その自由度の高さが非常に高く評価されています。

もちろん、メインストーリーは用意されており、とある事情で捕えられ、処刑されそうになっていた主人公(=プレイヤー)がじつは竜の血脈を受け継ぐ特別な存在であることが判明し、世界を滅ぼそうとする強大な敵に立ち向かっていく、といった内容になっています。

▲処刑場へと連行されるオープニングシーン

▲処刑される直前に、突如ドラゴンが現れて周囲がパニックになったことで主人公は命拾いをし、そこから広大な世界での冒険が始まります

特別な力を持つ者として世界の危機に立ち向かうという壮大なストーリーですが、『Skyrim』のすごいところはプレイヤーがこのストーリーを無視することもできてしまうところです。人々を脅かす竜と戦う英雄になるか、それとも竜の存在を無視して自由気ままに旅をするか、そんな選択もできてしまうのが本作のすごいところなのです。その自由さを生み出しているのが、本作で大量に用意されているクエストの数々です。

クエストの量と幅が生み出す自由な冒険

RPG、とくに和製RPGのイメージであれば、ゲームクリアへとつながるメインストーリーがあり、その寄り道として各種クエストが用意されている、というのが定番でしょう。ですが本作ではメインストーリーに関わらないクエストでもボリューミーなものがかなりの数あり、しかもそれが広い世界の各地で発生するので、いわゆるメインクエストとサブクエストという区分がほとんどないのです。

各地で発生するクエストでは、ドワーフが遺した太古の遺跡を探索したり、宿屋で飲み比べをしていたはずがいつの間にか身に覚えのない事件に巻き込まれていたり、はたまた唐突に聞こえてきた謎の声に応えて宝を運んでいったりと、バリエーション豊かな冒険を楽しむことができます。

▲ドワーフの遺跡には歯車や蒸気機関めいたものなど、かなり高度な文明の痕跡が残っており、ドワーフたちがどんな存在だったのかと好奇心を刺激してくれます

単純にクエストが豊富なだけではなく、どのクエストをどんな順番で進めるか、決断を迫られたときに何をするか、誰に味方するか、そのすべてがプレイヤーに委ねられているのが『Skyrim』の特徴であり、すごいところです。

▲「自分の命を狙う暗殺者を撃退してほしい」という依頼を受けたあとに暗殺者から話を聞くと、むしろ依頼人に非がありそうだったり……。誰に味方するか悩むのも本作の醍醐味です

膨大なクエストのひとつひとつに複数の選択肢を用意し、その選択に応じて異なる展開を見せる。プレイヤーとしては当たり前に喜ばしいことですが、それを実現するために必要なキャラクターやイベント、膨大な量のセリフを用意する開発現場の大変さを考えると、ゾッとしてしまいます。その労力を惜しまなかった結果、100時間プレイしてもまだまだ遊び尽くせないボリュームを持つことになったのが『Skyrim』という作品なのです。それだけのボリュームを備えているうえに発生するクエストが面白いものばかりなのですから、世界中で高い評価を受けるのも頷けるというものです。

▲広大なマップには、宝が眠っていたりする洞窟なども多数点在しており、こちらも探索するかしないかはプレイヤー次第。あらゆる遊びがオープンになった世界で自由に冒険できるのです

オープンワールドのゲームに対して食わず嫌いになっている人には、「自由すぎると逆に何をしたらいいのかわからないのではないか」という懸念を持っている人も多いことでしょう。しかし、発生したクエストに関しては、どこへ向かえばいいか、目的は何なのか、などは確認できるようになっており、完全に投げ出された状態には意外とならないのです。

▲オープニングシーンで巻き起こる事件で行動をともにしたキャラクターについていけば、ひとまずルートにも進めるべきクエストにも迷うことはありません

むしろ本作をプレイしていて悩むとすれば、ひとつのクエストを進めるうちにも道中で多くのクエストが発生するため、常に寄り道したくなってしまうという点です。とはいえ、当然ながらプレイヤーはすべてのクエストをクリアする義務がありません。なにしろ本作にはエンディングというものがなく、メインストーリーと呼べる一連のクエストも数あるクエストのひとつでしかなく、プレイヤーに用意されたプレイスタイルのひとつなのです。ですから、プレイヤーはただただ好きなクエストを好きなように遊べばいいのです。和製RPGに慣れた身からすると、自由すぎると思えてしまうほどの自由さが本作最大の魅力であり、つぎに触れるロールプレイの面白さを支えている要素でもあります。

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