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『ワンダと巨像』リメイク版でよみがえる!せつなくも美しい世界とは

『ワンダと巨像』リメイク版でよみがえる!せつなくも美しい世界とは

2005年にPlayStation®2で発売、2011年にはPlayStation®3用のHDリマスター版が、そして2018年2月8日にはPlayStation®4用のリメイク版が発売された『ワンダと巨像』。“最後の一撃は、せつない”というキャッチフレーズが象徴するような、どこか物悲しい、儚い印象が美しく刻まれる本作は、ゲームとしても独特なシステムを持っており、唯一無二の作品として非常に高い人気を誇っている。

本稿では、タイトルにも登場する“巨像”たちとの戦いが生み出す重厚感あふれるアクション性、そしてリメイクによってより美しく、より情緒を感じさせるものとなった風景が生み出す『ワンダと巨像』独自の世界などから見える本作の魅力を追及していく。過去に本作をプレイしたファンはもちろん、名前は知っていてもプレイをしたことがないという人も、ぜひその幻想的な世界に触れてみてほしい。

文 / 村田征二朗(SPB15)


少女の魂を救うために巨像と戦う青年・ワンダ

オリジナル版の発売から13年近くが経過してなお高い人気を誇る『ワンダと巨像』。その儚げな美しさが本作の魅力であることは改めて言うまでもありませんが、本作はアクションゲームとしても独特の面白さを持っています。

まず、本作の大まかなあらすじを紹介すると、主人公の青年・ワンダは魂を失ってしまった少女を生き返らせるために“古えの地”を訪れ、そこで死者の魂すら操ることができる存在・ドルミンの助力を乞います。そして、ドルミンの言葉に従い、ワンダは少女を救うべく古えの地に棲む16体の巨像たちと戦うことになるのです。

▲ワンダと、彼が救おうとしている少女。どことなく異国情緒を感じさせる雰囲気がたまりません

ゲームとしての流れは非常にシンプルで、広大なマップを旅してドルミンが示す巨像を探し出し、その巨像の身体にある弱点を探し出して倒していく。ざっくりと言えば、このくり返しとなります。巨像を探しに出かけるマップの美しさも必見ですが、そちらについてはのちほど触れるとして、まずは巨像との戦いを見ていきましょう。

▲日の光がある場所で剣をかざすと光の筋が現れ、巨像のいる方角を教えてくれます

静けさと緊張感を併せ持った巨像との戦い 

本作のメインパートとなるのは巨像たちとの戦いですが、この巨像がとんでもなくデカいのです。登場時の演出はもちろん、実際に戦う際もスケール感がすさまじく、新しい巨像と出会うたび圧倒的な巨大さに驚かされてしまいます。

▲絶望的な大きさで目の前に立ちはだかる巨像はまさに脅威そのもの。近づくほど、ワンダとのサイズ差を感じさせられます

普通に考えたら、これだけのサイズ差がある相手とまともに戦えるはずもありませんが、巨像たちは身体に青白く光る弱点を持っており、そこに攻撃を加えていくことで倒すことができます。巨像の弱点に剣を突き立てるため、ワンダはその巨大すぎる身体に立ち向かい、よじ登ることになるのです。

▲巨像に生えている体毛や鎧の飾りを利用して弱点を目指します。ワンダからするとそれどころじゃありませんが、リメイクによって手触りがものすごくよさそうになった毛の質感がたまりません

▲弱点に剣を突き立てるとすさまじい勢いで黒い血のようなものが噴出! 巨像は複数の弱点を持っており、基本的にそのすべてに攻撃を加えていく必要があります

巨像の弱点を見つけ、そこに至るまでのルートを探しながら巨体をよじ登り、弱点に剣を突き立てていく。巨像との戦闘における流れもわかりやすく、攻撃手段は基本的に弓と剣の2種類でシンプルです。しかし、ルートを見極めて腕力の限りを尽くし弱点までたどり着くのが至難の業であり、また剣を構えてから突き刺すまでの溜め時間が長いほど一撃のダメージは大きくなるものの、巨像が暴れると構えがキャンセルされてしまうといった駆け引きの要素もあり、重量感たっぷりに動く巨像との戦いは十分に緊張感が味わえます。すばやく何度も刺すか、たっぷり力を溜めてザクリと突き刺すか、巨像の様子を見ながら正確な判断を下すことがスピーディーな勝利への鍵となります。

▲巨像が暴れてもしっかりと巨像の身体を掴んでいれば吹き飛ばされませんが、画面右下の腕力ゲージが尽きると強制的に手を放してしまうので、ゲージの管理も重要です

巨像は人型から四足歩行のもの、はたまた鳥や蛇のようなものなど、さまざまな形態のものがおり、序盤は踏みつけてくる程度の攻撃も、後半の巨像になれば電撃を放ったり火球を撃ち出してきたりと、かなりアグレッシブになっていきます。攻撃を受けたり高い場所から落下したりするとダメージを受け、ワンダの体力がなくなってしまうとセーブした場所からリスタートになるので、巨像の動きをよく見ることが重要になってきます。また、対象の巨像によっては弓を使ったり、周りの地形を利用したりする必要があるなど、だんだんと弱点に攻撃を加えるのも難しくなってきます。

▲水中に潜っている巨像や空を飛ぶ巨像など、それぞれに異なる攻略方法を探し出すのが醍醐味であり、プレイヤーの知恵と判断力が求められます

▲どこから巨像に登ったらいいかわからずに苦戦していると、ドルミンがヒントをくれます

巨像の攻略方法がわからないときの焦り、そして勝ち筋が見えたときの高揚感にプレイヤーは手に汗を握りますが、“最後の一撃は、せつない”というキャッチフレーズの通り、とどめの一撃を加えて巨像が倒れていくシーンはモノトーン気味の画面も相まってどこか悲しいものがあります。戦闘に勝利した喜びはありつつも、先ほどまで脅威の対象だった巨像が力なく倒れていく姿にせつなさを覚えるというのは、何とも言えない本作ならではの体験となるでしょう。

▲巨像のスケール感がすごいだけに、戦いを終えたあとの静けさは印象に残ります

巨像を倒すと、初見ではびっくりする演出も発生するのですが、そちらに関してはぜひ自分の手でプレイし、確認してみてください。戦いを終えてホッとひと息、というところで不意打ち気味に演出が入るので、思わず声が出てしまう……かもしれません。

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