Interview

新人声優が成功するためのブレイクスルーになるか? クラウドファンディング生まれのドラマCD『アイの箱庭』仕掛け人に思いを訊く

新人声優が成功するためのブレイクスルーになるか? クラウドファンディング生まれのドラマCD『アイの箱庭』仕掛け人に思いを訊く

『アイの箱庭』という、クラウドファンディングによって進められているドラマCD制作プロジェクトがある。支援者の力によってプロジェクトを成功に導くクラウドファンディングは、大きな後ろ盾を持たないクリエイターたちにとってどんな存在なのか? また、『アイの箱庭』は、厳しい環境にある新人声優に活躍の場を与えるというテーマも掲げている。今回は企画者である藤山倖とヒロインを演じる新人声優・太田彩華のふたりに話を聞き、クラウドファンディングの可能性、新人声優の実態に迫ってみたいと思う。

取材・文 / 加藤和弘(クリエンタ)


“ココロの箱庭”をテーマとした、人のココロを癒やすドラマCD

『アイの箱庭』は、すべての人が持っている“ココロの箱庭”をテーマとした物語だ。箱庭は人の想いによって形を成し、人の“愛”によって光に包まれ、その光を浴びた色とりどりの“花”が咲いているという。だがその光は、人のココロに反応するため、楽しい時や幸せな時はとても綺麗な花を咲かせる光となるが、辛く嫌なことがあると光は届かなくなり、同時にココロの扉が固く閉ざされてしまう。

そんなココロを閉ざした人の元へ現れる少女がいる。ハートロックと呼ばれるその少女は、箱庭に咲く花の声を聞くことができる存在で、固く閉ざしたココロを開放する可能性を持った少女なのだ。ハートロックが訪れるのは、ドラマCDを聞いている人自身。聞き手が“主役”となるドラマCDに仕上がるという。藤山曰く、「何か色々なことに疲れちゃったり、ツラい気持ちになったときに聞いてもらえたら嬉しい」とのことなので、ストレスが多い現代社会に生きる我々にとって必須のアイテムになるのかもしれない。

藤山倖 プロフィール
創作レーベルSOZO STEPSの代表。ゲーム・アニメーション関連のライターやアプリのディレクター経験など、これまでの活動で得た知識・人脈を活かし、“想像”する楽しみがあるモノを自由に“創造”していくことをテーマにした同レーベルを立ち上げた。今後の活動が期待されるクリエイターである。同レーベルの処女作である『アイの箱庭』では企画・原作・脚本を手がけた。

太田彩華 プロフィール
マッシュアップエンターテイメント所属の新人声優。アプリゲーム『NOeSIS 歌う影の戯曲』の古宮鏡花役にて2017年の11月に声優デビュー。同作の第3章エンディング楽曲を担当している。また、他楽曲の作詞やアニソンDJとしてイベントに参加するなど多岐にわたる活動を行っている今後注目の新人声優である。”ヌパーンの人”というオリジナルキャラクターも展開中。

自身の経験や関係性から生まれたドラマCD企画

支援者から資金を募り、企画を実現するというクラウドファンディング。まずはそんなクラウドファンディングを使い、『アイの箱庭』というプロジェクトを立ち上げた経緯を聞いた。そこには藤山自身のこれまでの活動が大きく活かされていた。自身の企画力ももちろん大切だが、ベースとなる様々な人との関係性があって実現したプロジェクトとも言えるだろう。

藤山倖 「自分自身、声優さんのファンでして、ドラマCDの脚本をやってみたいという夢を持っていました。そのチャレンジのためにクラウドファンディングを活用したいという感じです。ドラマCDを選んだのには、自分の技量やこれまでの活動で得た人脈を考えるとそれが適当だなと感じたからという理由もあります。実際、これまでにお世話になった収録スタジオさんにもご協力いただく手はずになっています。

新人声優さんを応援するという目標は、クラウドファンディングである以上、チャレンジ的な要素を入れる必要がありまして、その要素として取り入れました。目標金額達成まで悠木碧さんの名前を伏せていたのは、皆様に誰だろう?と想像してもらう楽しみを作る目的でもありましたが、あくまでもプロジェクトの目的は太田さんの活動支援であることを主張したかったからなんです。結果、達成して悠木さんの名前が公開されたことによって、新人声優とプロとして活躍する鬼頭明里さん、石見舞菜香さんに加え、最前線で活躍中の悠木さんたちによる共演であることが証明できましたので、今回の形で進めたこと、成功できたことはとてもよかったなと思います」

念願のドラマCDへの参加

『アイの箱庭』で物語の鍵となるハートロックという少女を演じるのは、2017年11月にデビューした新人声優の太田彩華だ。まずは自身が演じられるハートロックの印象について聞いた。

太田彩華 「今回『アイの箱庭』というクラウドファンディングの企画のお話をいただいた時、ハートロックという物語のキーになる女の子の役ということで、とてもビックリしました。これまでに『NOeSIS』というアプリゲームで古宮鏡花ちゃんという役をいただいているのですが、その時とは大きく違うキャラクターの役をいただけたのは嬉しかったです。

ドラマCDも前から興味があって、自分で演じてみたいと思っていたんです。実際、学生のころに自分でドラマCDを作ろうとするほど好きだったので(笑)。今回はお仕事として参加できてとても嬉しいです。クラウドファンディングということで、皆さんに応援していただけるのか不安な部分もあったのですが、一気にではなく、徐々に支援が増えていったので、ドキドキしながら支援の行方を見守っていました」

新人声優へのエールとして盛り込まれたキャラクターの二面性

『アイの箱庭』とはどんな作品なのか? 藤山自身、声優のファンとのことで、そのことが本作の脚本や収録に大きく影響を与えたようだ。また、本作ではキャラクターの二面性や意外性がポイントになっている。演じる太田はその部分をどのように捉えているのだろうか?

藤山 「脚本は私が担当したのですが、“自分と向き合う”といった内容になっています。何人かの女の子が登場するのですが、それがすべて自分のココロを表していると言いますか、その子たちへと導くのがハートロックという新人声優の太田さんに担当していただくキャラクターです。重厚なストーリーというよりは、聞き手が主人公となる癒し系の内容になっているかと思います。僕としては疲れた時に聞いてほしいなと思っています」

太田 「ハートロックというキャラクターの印象は、イラストからもわかるように明るいキャラクターで、でも明るい部分だけではなく、物語の鍵になるようなしっかりした部分も持ち合わせたキャラクターだなと思いました。見た目も魔法少女みたいな感じでかわいらしいなと思います」

藤山 「ハートロックには明るい部分と真面目な部分の二面性があって、それを太田さんに演じ分けをしてほしかったからという理由もあります。ハートロックの魅力もそこにあると個人的には感じていますし、太田さんには演じ分けの部分を頑張ってほしいと思っています」

太田 「私も演じ分けの部分は楽しみにしています。まだ鏡花ちゃんしか演じたことがないので、ハートロックという子をもっと魅力的にできるよう頑張りたいです。プロジェクトが成功となったので、収録が楽しみですね。でも絶対緊張すると思うので、しっかり練習して落ち着いて収録に臨みたいです。初めての収録をした時はガチガチに緊張して半泣き状態だったので(笑)」

藤山 「私も声優さんのファンだから思うのですが、ひとりの声優さんのたくさんの面があった方がファンとしては嬉しく、そこに惹かれていくという部分があると思います。ハートロックに関しては、明るい部分と真面目でクールな部分があるので、太田さんの明るい部分、真面目な部分を皆さんに楽しんでもらえたらなと。実は太田さん以外のキャスティングに関しても、できるだけ皆さんが普段演じられているイメージとは異なるイメージになるように考えて脚本を書いています。そこがこのドラマCDの魅力になるかなと思っています」

太田 「初めての収録の時もそうだったんですが、同じキャラクターでも明るい時や暗い時があって、それを演じ分けるのが難しかったですね。あんまり暗い方になってしまうとそれはまた別のキャラクターになってしまうし。そのキャラクターを維持しながら表現をしなければならないので、活躍されている声優さんはやっぱり凄いなと感じました。でもそこを磨いていきたいので様々なキャラクターを演じていきたいですね」

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