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浦沢直樹、初の大型個展スタート! 「マンガの現場、生で体感して」

浦沢直樹、初の大型個展スタート! 「マンガの現場、生で体感して」

漫画家・浦沢直樹さん初の大型個展「浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる!」が1月16日、東京・世田谷文学館でスタートした。

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浦沢直樹さんは1960年生まれ。1983年にデビューし、『YAWARA!』『MONSTER』『20世紀少年』など、どれもが代表作といっていい人気作品を次々生み出してきた。今回の展覧会では、「『MONSTER』最終巻一冊丸ごと分」という膨大な枚数の生原稿をはじめ、ストーリーの構想メモ、秘蔵のイラストやスケッチ、少年時代の漫画ノートなど1000点を超える作品を展示している。

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なかでも圧巻なのが、見る者を圧倒する原稿の壁!

15日、内覧会で記者たちの取材に応えた浦沢さん自身も、その迫力に驚いたと語る。

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「自分から『全部貼り出してみよう』と言い出したくせに、原稿をこんなふうに見たことがなかったのでびっくりして、自分をちょっと褒めたくなりました(笑)。今回、B4縦サイズのマンガ原稿ひとつひとつを額縁に収めず、(ずらっと壁一面に)並べたのは、みなさんが雑誌や単行本で見ている『見開き』という形をキープしたかったから。そして、一冊分を丸ごと展示することで、マンガを生で体感してもらおうと考えました」

昨今、増え続けている漫画家の個展については、

「マンガは本来、展示して見るものではない。でも、こうして見ることで『マンガがどういうふうに作られているのか』という新しい見識に出会っていただければ」

という展望を持っている。この考えは、NHKの番組『漫勉』に出演し、漫画家の創作過程を紹介する活動にもつながっているようだ。

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「マンガは、週刊で届く日常です。みなさん、ご飯を食べるようにマンガを読む。そのマンガがどうやって作られているのか――漫画家が日々命がけで、命を削って描いているマンガの現場を知るというのは、お米がどうやってできるのかを知るのに似ていると思うし、大事なことのような気がするんです」

浦沢さん自身、過去には肩を壊し、漫画家生命が危ぶまれたことがある。

「印象に残っているのは、『MONSTER』の最終回ですね。体調をくずし、腫れあがったひどい顔で描きました。そして描きあげた数か月後、肩に激痛が。恐ろしい状態で描いた記憶、描くことへの執念というのが感じられて、自分でも怖くなりますね」

会場には、そんな『MONSTER』クライマックスシーンの巨大パネルも。

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また、スポーツからSF、サイコサスペンスまで、あらゆるジャンルを描いた作品群からセレクトされたパネルには、キャラクターたちの喜怒哀楽があふれている。

「よくこんなにジャンルの異なるものを描けますね、と言われることがありますが、僕にとってはすべてがユーモア作品。人間ドラマであることを、いつも心がけている。喜怒哀楽は、人間の営みの基本です」

「人間ドラマ」の片鱗が伺える少年時代の作品やスケッチのほか、写真撮影OKコーナーや会場限定グッズも納得の充実ぶりだ。

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「浦沢直樹のルーツ」に欠かせない音楽に関するイラストや作品、作曲メモも多い。「作品の源流を見つけてほしい」と語る浦沢さんのなかでの音楽のプレゼンスを、あらためて確認した。

期間中には、トーク&LIVE「ボブ・ディラン 聴いて歌って描きまくる」やスチャダラパーのBoseさん、放送作家の倉本美津留さんとの鼎談「Boseと美津留の浦沢解剖学」、そしてコンサート「浦沢直樹バンドLIVE」などの関連イベントも。エンタメステーションでは今後も、「浦沢直樹と音楽の関係」を中心に追いかけていきたい。

展覧会は3月31日(木)まで。ともに「浦沢直樹の創作の全貌」を体感しましょう!

取材・文 / 高野麻衣 写真 / チバヒデトシ

浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる

2016年1月16日~3月31日
世田谷文学館
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
毎週月曜日休館 ※ただし3月21日は開館し、翌22日休館