モリコメンド 一本釣り  vol. 56

Column

SIX LOUNGE 日本のロックンロールの歴史に新たな刺激をもたらすバンド

SIX LOUNGE 日本のロックンロールの歴史に新たな刺激をもたらすバンド

ロックンロールは何度でも生き返る。と大上段に構えてみたが、これは事実だ。

1970年代後半に登場したパンクロック(セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュなど)には、複雑な音楽性と高度な演奏技術を追い求めたプログレッシブロックへのカウンターとしての側面があった(セックス・ピストルズのジョン・ライドンが「ピンクフロイドは嫌いだ」と書かれたTシャツを着ていたことは有名なエピソードである)。さらに商業化が進んだ80年代のロックに対抗するようにグランジロック(ニルヴァーナ、パール・ジャム、サウンドガーデンなど)が爆発し、DJカルチャーがメインストリームになった’00年代にはガレージロック・リバイバル(ザ・ストロークス、ザ・ホワイト・ストライプスなど)が巻き起こった。そう、ロックンロールは何度でも生き返ってきたのだ。

ここ日本でも(海外ほどの大きなムーブメントはないにしても)オーセンティックなロックンロールは確実に存在し続けている。サンハウス、シーナ&ザ・ロケッツ、ザ・ルースターズ、ザ・ストリート・スライダーズ、ザ・ブルーハーツ、ザ・ミッシェル・ガン・エレファント、ブランキ—・ジェット・シティ、ギターウルフ、キングブラザーズ、ザ・ボウディーズ、アンディモリ、オカモトズ——そして今、日本のロックンロールの歴史に新たな刺激をもたらすバンドが注目を集め始めている。SIX LOUNGE。地元・大分を中心に活動を続けている3ピースバンドだ。

ギター/ボーカルのヤマグチユウモリ、ドラムのナガマツシンタロウを中心にバンドが結成されたのは、2012年。大分の高校生バンドを対象にしたコンテスト「大分ロックンロールハイスクール」で2年連続グランプリを獲得するなど、地元では早い時期から圧倒的な支持を獲得していた。2015年にベースのイワオリクが加入したことをきっかけに、活動は本格化。同年11月に1stシングル「メリールー」をリリース、さらに翌年3月に発表した1stアルバム『東雲』で全国の早耳なロックファンから注目を集めるなか、約30本に及ぶレコ発ツアーを敢行。COMIN’KOBE16、FUJI ROCK FESTIVAL’16、ROOKIE A GO-GOなどの新人バンドの登竜門的なフェスに出演、しっかり傷跡を残したこともバンドの存在感をアピールする大きなきっかけとなった。昨年1月にはミニアルバム「大人になってしまうなよ」をリリース。渋谷CLUB QUATTRO公演を成功させるなどライブ動員も確実に上がり、日本テレビ「バズリズム02」の「コレはバズるぞ2018」の第3位に選出、フジテレビ「Love Music」で期待のニューカマーとして取り上げられるなど、早くもブレイク寸前の状況だ。

ザ・ミッシェル・ガン・エレファント、ブランキ—・ジェット・シティなどの90年代後半に絶頂期を迎えていたバンド——ちょうどSIX LOUNGEのメンバーが生まれた時期だ——からの影響を感じさせるロックンロールを志向してきたSIX LOUNGE。その魅力の中心にあるのは、歌に込められた感情だろう。10代特有の葛藤、衝動、痛み、切なさをダイレクトに反映させた歌を、フォークや歌謡曲にも通じる優れたメロディ、強烈なダイナミズムをまとったバンドサウンドとともに解き放つ。感情と歌と音が直結し、リスナーの心と身体を揺さぶる音楽へと昇華される感覚は、まさにロックンロールそのものだ。どんなに激しく叫んでも、決して歌心を失うことがないヤマグチチユウモリのボーカルも、このバンドの大きな武器だろう。

4月25日にユニバーサルミュージック/ZEN MUSICからリリースされるミニアルバム『夢うつつ』でも彼らは、どこまでも衝動的なロックンロールを鳴らしている。「くだらない」「LULU」。愛を渇望し、くだらない自分たちの現状にイライラしながら、それでも生きようとする姿をエモーショナルなメロディとともに描いたミディアムナンバー「くだらない」、性急なビート、鋭利なギター、骨太のベースが絡み合うアッパーチューン「LULU」。共通しているのはやはり、リアルな感情を込め込めまくった歌、そして、生々しいバンドグルーヴだ。ナガマツシンタロウ(作詞)、ヤマグチユウモリ(作曲)のソングライティング・チームの成長ぶりにも瞠目させられる。

現在も彼らは、怒涛のごとくライブ活動を展開している。言うまでもないが、ロックンロール・バンドの真骨頂はステージの上で示される。ロックンロールへの愛と衝動、人生に対する不安と希望に満ちた彼らの音楽をぜひ、生で体感してほしいと思う。そこであなたは、ロックンロールが再び息を吹き返す場面を目撃することになるはずだ。

文 / 森朋之

オフィシャルサイトhttps://six-lounge.com

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