Interview

w-inds. デビュー日にリリースの40thシングルは、徹底的に”今のサウンド”にこだわった意欲作。追い求める世界観と制作秘話を3人にたっぷりと訊く。

w-inds. デビュー日にリリースの40thシングルは、徹底的に”今のサウンド”にこだわった意欲作。追い求める世界観と制作秘話を3人にたっぷりと訊く。

w-inds.がデビュー記念日である3月14日に、キリ番となる40枚目のシングル「Dirty Talk」をリリース。収録された2曲とも、昨年の「We Don’t Need To Talk Anymore」「Time Has Gone」に続き、メンバーの橘慶太がプロデュースを務めた意欲作だ。「Dirty Talk」は、90年代前半に一世を風靡したニュージャックスウイングのエッセンスをまぶしたダンス曲だが、サウンドもコレオグラフもMVもファッションも、過去を焼き直すのではなく、今の質感や感覚をしっかり注入してモダンに仕上げているところが大きなポイント。カップリングの「If I said I loved you」でも、今のUSで主流になっているメランコリックで浮遊感のあるR&Bサウンドを聞かせてくれる。今回のシングルで彼らがめざした世界観やこだわり、さらには記念日のリリースから浮かび上がってきた現在の3人の関係性など、たっぷり語ってもらった。

取材・文 / 猪又孝 撮影 / 森崎純子

実は2年前くらいから、2人にはNJSをやりたいって言ってたんです(慶太)

「Dirty Talk」は、前2作とガラッと違う曲調に仕上がりましたね。

龍一 去年の年末だったかな。慶太がすごくニコニコして「ヤバいのができたからとりあえず聞いてくれ」ってデモを持って来て。その時点でクオリティーが高かったし、メッチャかっこいいじゃんと思って、その日1日ずっと聞いてました。で、次のシングルはこの曲がいいなって思ってて。

涼平 ニュージャックスウィング(以下NJS)をやりたいなって思ってたところに慶太がそういう作品を作ってきてくれて、純粋にブチ上がりましたね。あと、音が抜けるところとのバランスがすごくイケてるなと思って、慶太のセンスを感じました。

デビュー期のw-inds.の楽曲はNJSをベースしているところがありましたよね。今回の「Dirty Talk」にどこか懐かしさを覚える感じはありますか?

涼平 ちょうど歌とかダンスを始めた頃が、NJSブームの終わり頃なんですよね。

慶太 先輩のDA PUMPさんもNJSサウンドをやってたし、僕たちも最初のダンスはどちらかというとNJS寄りだったし。

涼平 だから、一周回って懐かしい感じはありますね。でも、今回の曲に古臭さはない。それがいいなと思います。

そもそも慶太くんは、どんなものをめざして曲作りを始めたんですか?

慶太 実は2年前くらいから、2人にはNJSをやりたいって言ってたんです。でも、EDMとかトロピカルハウスとかが盛り上がってきたんで、このタイミングじゃないなと思って一度やめていて。で、自分の中で「今だな」っていうのがあったんで、今回のトラックはそのときの2016年のセッションファイルから引っ張って来たんです。ただ、展開とかは今までのEDMの流れ……サビで落ちるとかコード進行とかはEDMの要素を採り入れた新しいサウンドにしたいと考えて、昔作ったデータを打ち込み直して作ったんです。

トラックメイクで最もこだわったのは、そのサビの部分?

慶太 そうですね。サビで落ちるっていうのは今の主流というか。サビでワーッと盛り上がるっていうのが流行ってないんで、そこは結構こだわりですね。

「Dirty Talk」は、シンセとドラムの音色はNJSですが、ドラムパターンはNJSじゃないですよね。尚且つ、90年代のNJSはもっとファンク色が強くてリズムがハネていたけど、今回はメロウというか落ち着いてる。そこにも拘りを感じたんですが。

慶太 2016年に作ってたデモはメチャメチャ跳ねてたんです。2コードで、テンポも早くて、モロNJS。でも、モロNJSだと古臭くて。僕、昔、おじさんがファンクしてるのって見てられなかったんですよ。若い人がファンクやってるのはカッコイイと思えたんですけど、おじさんがファンクをやるとおじさんになるんだなっていう感覚がすごくあって。そういう意味で、自分たちが年を取ってきて、昔のコード進行と昔のビートのハネ方でモロNJSをやると、これはおじさんたちの音楽になるなと思って。

何をつくるにしても、僕は現代風にアレンジすることを常に意識してるんです(慶太)

というか、自分たちもおじさん化しちゃう。

慶太 そう。僕が二十歳の頃に見ていた30代半ばとか後半のアーティストの音楽のやり方というか。今そういうの流行ってないけど、自分たちが好きだからそれをやってるっていう風に見えちゃうんじゃないかと。

涼平 やり抜く系ね。

慶太 そう。自分たちの好きなものを貫く格好良さもわかるんですけど、それを受け入れられなかった10代後半や20代の頃の気持ちを鮮明に覚えてて、そうなりたくないっていう思いが強くあるんです。だから、何をつくるにしても、僕は現代風にアレンジすることを常に意識してるんです。昔作ったデモを引っ張り出してきても、コード進行とかは絶対今風にするし、音色も変える。「Dirty Talk」で言えば、ピアノの音色やシンセ、ベースの音色を変えてるし、マニアックなことを言うとサブベースっていう、昔では絶対入ってない帯域の音、最近のダンスミュージックにしか入ってない帯域の音も入れてるんです。そうやって今だからこその音っていうは絶対入れたいんですよね。

「Dirty Talk」の歌詞はどんなイメージで書き始めたんですか?

慶太 歌詞は、サビの部分の吐息をどうにかして活かしたいなと思って。そうなるとアダルトな世界観しかないかなっていうところから始まりました。

なんと吐息先行だったんですね(笑)。

慶太 そう(笑)。良い吐息が録れたんで吐息の音色はデモの段階から変えてないです(笑)。で、この曲のポイントはラップだなと思ったんで、ラップのリリックから作ったんです。2人のキャラクターも考えて最初にラップを書いて、そこからストーリーを繋いでいきました。

慶太はこういうこと言うんじゃねぇか?とか、もし自分が女性だったら……って考えるとドキドキしてきちゃって(笑)(龍一)

龍一くんと涼平くんは、歌詞にどんな印象を受けましたか?

龍一 僕は好き過ぎて、ドキドキし過ぎて、1回見るのをやめました(笑)。好きな小説を先に進みたくない現象というか。「んもう!ゆっくり読みたい!」っていうくらい面白かったですね。

ドキドキというのは、歌われてるシーンが目に見えるようだったっていうこと?

龍一 そうです。たとえば「We Don’t〜」とかは慶太のリアリティー感をあまり感じなかったんですよ。でも「Dirty Talk」に関しては、なんか慶太っぽいというか、慶太を感じるというか。

これ、慶太の口説き方だぞ、みたいな?(笑)

慶太 あはははは!(爆笑)

龍一 慶太はこういうこと言うんじゃねぇか?とか、もし自分が女性だったら……って考えるとドキドキしてきちゃって(笑)。ひとりで悶絶しながら楽しんでました。

涼平 僕はすごくロマンティックで綺麗な印象を受けましたね。女性との場面を想像したんですけど、下品な感じじゃなくて、スマートさがすごく感じられるなって。

じゃあ、歌詞から連想したのはアーバンな場所とか?

涼平 そうです。ラグジュアリーというか、華やかな感じ。クラブとかの薄暗い感じじゃなくて、ゴージャスな雰囲気の中っていう。

僕は最初、薄暗い方の印象を受けたんです。それでMVを見たら、いい意味で裏切られて。

慶太 MVを作るときも、最初、監督さんが暗めの感じでアイデアを持って来たんですよ。

龍一 どっちかというとクラブ寄りのイメージでね。

慶太 だけど、自分の中にあった完成形のイメージがまったくそっちじゃなくて。歌詞はこういう世界観なんだけど、暗さとか猥雑な感じは、作ってるときから自分の中にはなかったんです。MVも楽しい感じやポップアイコン的なモノが欲しいと思っていたから、監督さんにもう一回アイデアを練り直してもらって、あのビデオになったんです。

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