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『とある魔術の電脳戦機』 新しい『バーチャロン』はどんなゲームなのか!?

『とある魔術の電脳戦機』 新しい『バーチャロン』はどんなゲームなのか!?

『電脳戦機バーチャロン』。1995年末、ゲームセンターに登場したこのロボット対戦アクションゲームは、とにかく格好よかった。1990年代前半からアーケードゲームは一気に3Dの時代になり、セガは『バーチャレーシング』、『バーチャファイター』と、どこも真似のできない圧倒的なゲームを投入していた。そこへ、さらに『電脳戦機バーチャロン』(以下、『バーチャロン』)が登場し、当時のセガっ子は狂喜乱舞したものだ。だが、2003年に発売されたPlayStation®2版『電脳戦機バーチャロン マーズ』を最後に、新作がパタリと出なくなる。「もう新しい『バーチャロン』は遊べないのかな……」なんてしょんぼりし続けること十数年。ついに新作となる『電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録(インデックス) とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)』(以下、『とある魔術の電脳戦機』)が発売された。対戦アクションゲームとして、ゲームセンターから家庭用ゲーム機まで多くのファンを夢中にさせた『バーチャロン』が、15年の月日を経てどのように生まれ変わったのか。いちおう過去作からそこそこ遊んでいたチャロナー(『バーチャロン』プレイヤー)として、本作の魅力をお届けしたいと思う。

文 / 松井ムネタツ


ロボットを操作している気分になれた 

あらためて『バーチャロン』について説明しよう。前述のとおり、最初に登場したのはアーケード向けで、ツインスティックと呼ばれるレバー2本を使って操作する。

▲これはサターン版『電脳戦機バーチャロン』が発売されたときに周辺機器としてリリースされた、サターン版ツインスティック

ゲーム内容は、バーチャロイドと呼ばれるロボット同士が戦う対戦アクションゲームで、各種攻撃により相手のHP(ヒットポイント)をゼロにするまで削り、2本先取したほうが勝ち。視点はTPS視点(プレイヤーキャラも含めて後ろからの視点)で作られており、フィールドの3D空間を自由に動き回って戦うタイプのものだった。見た目はTPS(三人称視点シューティング)で、いまどきのロボット対戦シューティングゲームの元祖とも言える作品だ。

当時のセガファンやアーケードゲームファンを虜にした要素はいくつかあるのだが、まずそのひとつが『機動戦士ガンダム』シリーズでお馴染みのカトキハジメ氏によるロボットのデザインだ。とにかくバーチャロイドが格好よかった。バイザーをかぶっているような頭、スニーカーを履いているような足回りなど、カトキ氏のセンスが存分に発揮され、ゲームファンだけでなくアニメファンにも注目された。

▲カトキハジメ氏デザインのバーチャロイドは、かなり先鋭的なデザインだった。もちろん今回の『とある魔術の電脳戦機』もカトキ氏によってリファインされたものとなっている

上でも説明したツインスティックも魅力のひとつだ。飛行機の操縦桿のようなスティックを2本使うのだが、これが本当にロボットを操作するかのような気分になれた。筆者がゲームセンターで『バーチャロン』を遊ぶときは、いつも「ムネタツ、行きまーす!」なんて声に出して盛り上げていたのだが、それもこのツインスティックだからこそだ。……いや待てよ、1995年だから「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ……」とか言いながら遊んでいたような気もする。とにかく、筐体にお金を入れてスタートボタンを押すまではそんな気分になれたのだ。

実際にゲームが始まるとそんなアニメ気分もどこかに消え去り、ただひらすら対戦に没頭する。ゲーム展開はどれも速めで、通常移動とダッシュで緩急をつけつつ、とにかく相手の攻撃が当たらないようにひたすら動き回っていることが多い。ダッシュしているときの「キュイィィィン」という効果音が何とも気持ちよく、これを聴いてるだけで「格好よく操作してる!」という気分になることができた。

▲ダッシュの気持ちよさこそバーチャロンだと言っても過言ではない

スピード感でいうと、もうひとつ大事な要素がある。ジャンプキャンセルと呼ばれるテクニックだ。瞬時に相手方向を向くためのテクニックで、レバーを開き(2つの操縦桿を外側に開くように操作。これによってジャンプする)、そのあとすぐ閉じる(2つの操縦桿を内側に向けるように操作。ジャンプを止めて下降する)ことで、相手を捕捉するように向き直る。このジャンプキャンセルは『バーチャロン』必須テクで、操縦桿を素早く”開く・閉じる”といった操作をすることもあり、ゲームのテンポが速く感じる要素のひとつとなっていた。

攻撃方法は近接による物理攻撃もあるが、基本は射撃だ。弾の速度はそれほど速くないので、相手が撃ったのを見てからでも(距離にもよるが)避けることはできる。とにかく動きを読まれないようにギュンギュンと動き回るのが鉄則だ。

▲近接攻撃は相手をダウンさせる技。アファームド系のバーチャロイドなら近接が得意なので、積極的に狙っていきたいが……

では、どうやって弾を当てるのか。対戦格闘ゲームでも同じだが、止まっている標的なら確実に当てることができる。本シリーズの場合、たとえば攻撃を仕掛けたあとは硬直時間があって、少しだけ動きが止まってしまう。隙が生まれるというわけだ。つまり、相手が攻撃をしてきた直後こそが、攻める最大のチャンスなのである。

だが、攻撃後の硬直をキャンセルする、というテクニックも存在する。すべての硬直をなくすことができるわけではないのだが、特定の攻撃後にタイミングよく特定の操作をすることで、硬直をキャンセルしてすぐ次の操作を行うことができた。攻撃を仕掛けて隙ができたフリをして相手の攻撃を誘い、逆に相手の隙を突く……なんていう駆け引きが生まれたりする。

15年の沈黙を破った新作は、ライトノベルとのコラボ 

こうしたさまざまなテクニックが発見・開発され、本シリーズはゲームセンターで大いに盛り上がった。盛り上がっていたのだが、時代の流れなどもあり、ゲームセンター向けは2001年の『電脳戦機バーチャロン フォース』、家庭用としては前述のとおり2003年の『電脳戦機バーチャロン マーズ』を最後に、シリーズは途絶えてしまった。

これはすごく残念だった。せっかくシリーズとして育ってきたところで、ここからいろいろなチャレンジも残っていただろうに、以降すっかり新作の話を聞かなくなった。2009年にXbox 360でダウンロード専用タイトルとして『電脳戦機バーチャロン オラトリオタングラム』を皮切りに『バーチャロン』シリーズが次々と移植され、新作が出そうな機運も高まったような気がしたのだが、ひととおり移植が終わるとまた静かになってしまった。2013年にはPlayStation®3の”PlayStation®2アーカイブス”で『電脳戦機バーチャロン マーズ』が配信となり、「今度こそ新作が!?」と思っていたのだが、やはり大きな動きはなく……。

▲試合が始まるシーン。過去作ではカウントダウン中に移動できなかったが、本作では通常移動なら可能だ。間合いを詰めるのか空けるのか、ここから駆け引きが始まっている

やっぱり新作は諦めなくちゃいけないのか……そう思っていた2016年3月! アニメ化もされたライトノベル『とある魔術の禁書目録(インデックス)』とのコラボが発表された。小説『とある魔術の禁書目録(インデックス)×電脳戦機バーチャロン とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)』が2016年5月に発売されることになったのだ。これはまさか……いや、そういうことだよね? 期待していいんだよね? ね? ね? と待っていたところ、2017年3月にPlayStation®4とPlayStation®Vitaで、コラボタイトルとしてゲーム化されることが発表された。

「やったーー!」と喜びつつも、じつは不安もあった。そもそもなぜラノベとコラボなのか。ゲーム名には確かに『バーチャロン』の名前が入っているけど、バーチャロイドに乗って超高速バトルアクションを繰り広げるシーンはたまにあるだけで、じつはゲームのほとんどがアドベンチャーゲームなんじゃないか、とか……。

▲STORYモードでは、『電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録(インデックス) とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)』としての物語を楽しむことができる

実際にできあがった製品版を遊んでみて……いやはや、あれこれ不安がってごめんなさい! と全力で土下座しなければならないくらい、ちゃんと『バーチャロン』だった。

細かくゲームモードなど紹介してもアレなのでざっくりと説明するが、基本はバーチャロイド同士の対戦だ。CPU相手にストーリーを進めるもよし、アーケードライクにミッションをこなすもよし、オンラインで対戦するもよし。ゲームの根幹は紛れもなく『バーチャロン』であり、僕らが10年以上待ち焦がれた新作だ。 

もちろん、そこにはいろいろな意見はあると思う。やっぱり違うという声もあると思うが、筆者は「いまこの時代だからこそ生まれた、新世代の『バーチャロン』なんだな」と感じた。どのあたりを評価しているのか、具体的に説明していこう。

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