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『本所おけら長屋(十)』刊行記念!落語「三遊亭兼好の巻」&TALK「お江戸に学ぶ人情力」が開催

『本所おけら長屋(十)』刊行記念!落語「三遊亭兼好の巻」&TALK「お江戸に学ぶ人情力」が開催

電子書籍・電子コミックストアReader StoreとPHP研究所のコラボイベント『落語「三遊亭兼好の巻」&TALK「お江戸に学ぶ人情力」』が3月12日、都内某所で開催された。
節目の10巻となった『本所おけら長屋(十)』(PHP文芸文庫)の発売を記念したイベント。著者の畠山健二氏は東京下町の演芸作家でもあり、今回は20年来の親交がある三遊亭兼好師匠が駆けつけてくれた。若手真打として、当代屈指の人気落語家の一人だ。
小説と落語というフィールドは違えども、江戸庶民の長屋暮らしを「笑いと涙」に包んで生き生きと現代に再現する畠山氏と兼好師。初のコラボイベントに興味がつきない。

オープニング曲は「座頭市の唄」。照明をやや暗くした会場に、「手前のことを言うのは嫌ございますけどね……」と勝新太郎のドスの効いたセリフが響き渡る。歌が始まると、コツ、コツと杖をつく音。座頭市に扮した畠山氏の入場である。花道近くの観客しかよく見えず、多くの人があっけにとられるなか、舞台に立つと、仕込み杖を抜いて白刃(模擬刀です)を振り回す!

シーン。
「スベった」と肚をくくった畠山氏、観客への感謝の言葉も早々に、「それでは兼好師の落語をお楽しみください」。

「さんげさんげ」の出囃子に送られて高座にあがった兼好師匠、「畠山先生のオープニング、本人になりかわりましてお詫び申し上げます」と笑いをとる。マクラでゆっくり兼好ワールドに引き込みながら、さて噺は何が飛び出すか。

「おまえさんを呼んだのは他でもない、吉っつあん~」
長屋の噺というリクエストにぴったりの演目「不動坊」。講釈師の不動坊火焔が巡業先で急逝、妻のお滝さんは不動坊に借金があり、困って大家に相談する。大家は独り身の吉公を見込んで、お滝さんの再婚話を持ち掛けるが……。

兼好師匠十八番の爆笑噺に、観客も大喜び。大喝采のうちに第1部は終了した。

第2部は、『お江戸に学ぶ「人情力」』と題してお二人で対談。先ほどの「不動坊」の解説から入り、「落語はお客様の聴きよう。落語に人情を感じる人は人情のある人」と兼好師が語れば、「長屋の町人は、四畳半に5人とかで暮らす世界。狭い下町に押し込められてきた庶民の『誰かと関わっていたい』という心は、現代にもつながっている」という畠山氏。小説や落語に「人情」を求める人たちが増えているのは、そのせいかもしれない。

話はだんだん「人情力」はどうでもよくなり、お二人の昔話や落語界のウラ話へ――。
観客から募集した質問に答えるコーナーも、それを材料にしながらひたすら続く爆笑対談。

恒例のプレゼントコーナーでは、抽選でサイン入り特製ポスターを2名、「本所おけら長屋」特製手拭いを10名様に。畠山氏と兼好師匠の人柄そのままに、終始笑顔が絶えない大盛況のイベントになった。

次回の『本所おけら長屋(十一)』は、2018年秋発売予定。兼好師匠の高座は、今後も予定が目白押し。スマホ1台でコミュニケーションを完結させられてしまう現代ですが、心の隙間を埋めてくれるのは人と人との触れ合い、まさしく「人情」なのでしょう。その語り部である畠山健二氏、三遊亭兼好師匠の今後の活躍に、ますます目が離せない。

取材・文 / 根本騎兄(PHP研究所広報部)
撮影 / Reader Store編成部

 

作家・畠山健二(はたけやま・けんじ)

1957年、東京都目黒区生まれ。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出、週刊誌のコラム連載、ものかき塾での講師まで精力的に活動する。日本文芸家クラブ会員。著書に『下町のオキテ』(講談社文庫)、『下町呑んだくれグルメ道』(河出文庫)、『超入門! 江戸を楽しむ古典落語』(PHP文庫)など多数。2012年、『スプラッシュ マンション』(PHP研究所)で小説家デビュー。2013年、初の文庫書き下ろし時代小説『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)がシリーズ化。最新刊『本所おけら長屋(十)』で累計58万部突破の大ヒットシリーズとなる。
『本所おけら長屋』
大人気シリーズ1~10巻まで好評発売中!
畠山健二・著
PHP文芸文庫
本所亀沢町にある「おけら長屋」は、ひと癖ある店子が入り乱れて毎日がお祭り騒ぎ。お金はないけど人情に厚く、かっとくるけど涙もろい。自分より他人のことが気になって仕方がない。こうした面々が、12世帯も軒を並べているのだ。長屋の面々が遭遇する事件とは。江戸落語さながらの笑いと人情にあふれる作品世界をとくとご堪能あれ!

真打・三遊亭兼好(さんゆうてい・けんこう)

1970年、福島県会津若松市生まれ。サラリーマン等を経て1998年妻子がありながら28歳で三遊亭好楽に入門。前座名は好作。2002年、二ツ目に昇進して好二郎と改名。2002年から2年連続「NHK新人演芸大賞」に出演。2007年「にっかん飛切落語会奨励賞」受賞。2008年「林家彦六賞」受賞、同年9月真打昇進。兼好と改名。2012年「国立演芸場花形演芸会平成23年金賞」受賞。2014年「彩の国落語大賞」受賞。趣味は妻と娘たちの生態を観察すること。特技、娘たちに無視されること。
『柳家三三、春風亭一之輔、桃月庵白酒、三遊亭兼好、三遊亭白鳥
「落語家」という生き方』
広瀬和生・著
講談社
ほぼ毎日、ナマの落語に接し続ける著者が、自らプロデュースする落語会に呼んだ、とびきり勢いのある人気落語家5人のインタビュー集。下積み時代のこと、師匠の話、ブレイクのきっかけや落語家としての苦しみと楽しみなど、次世代の名人候補たちが語る「落語家」としての人生。「落語とは何か?」に迫る!