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能條愛未、山内優花、戸谷公人、横井翔二郎らが、少女たちの生き様を華麗に体現。ミュージカル『少女革命ウテナ ~白き薔薇のつぼみ~』上演中

能條愛未、山内優花、戸谷公人、横井翔二郎らが、少女たちの生き様を華麗に体現。ミュージカル『少女革命ウテナ ~白き薔薇のつぼみ~』上演中

ミュージカル『少女革命ウテナ ~白き薔薇のつぼみ~』が3月8日(木)よりCBGKシブゲキ!!にて上演されている。1997年に放送されたテレビアニメシリーズで、20周年を経た『少女革命ウテナ』。アニメの傑作である同作を、より華麗に鮮やかに感じられた舞台のゲネプロの様子をお伝えしたい。

取材・文 / 飯嶋藍子 撮影 / 友澤綾乃

あなたにとっての“普通”とは?

原作でもおなじみの「かしら、かしら、ご存知かしら?」のセリフとともに舞台奥のスクリーンに浮かび上がる“影絵少女”たち、薔薇の花をモチーフにした舞台装置、中世ヨーロッパを彷彿とさせるような美しい衣裳。冒頭から、どこに目を向けてもウテナの世界観に思わず引き込まれてしまう。

幼い頃に出会った王子様に憧れるばかりに「自分も王子様になりたい」と願う男装の少女・天上ウテナ(能條愛未)が、西園寺夾一(横井翔二郎)に横暴に扱われている“薔薇の花嫁”である姫宮アンシー(山内優花)に出会い、彼女を救うため、“決闘”が繰り広げられていくという物語。それ以外にも生徒会長・西園寺夾一(横井翔二郎)、西園寺の幼馴染み・桐生冬芽(戸谷公人)、男装の麗人・有栖川樹璃(立道梨緒奈)、天才少年・薫幹(大崎捺希)ら生徒会メンバーと“薔薇の花嫁”アンシーをかけて戦う。

それぞれのキャラクターの色濃く多様なアイデンティティ、様々な恋慕の模様、一筋縄ではいかないひとりひとりの信念を理由に行われる“決闘”シーンは妖艶かつダイナミックで、原作ファンも『少女革命ウテナ』を初めて知った観客も圧倒されること間違いなしだ。

オリジナル曲もバラエティ豊かに登場しつつ、やはりウテナには欠かせない「絶対運命黙示録」は圧巻。エンタメステーションのインタビューでも触れられていたが、ロック調の楽曲を中心に、決闘シーンが彩られていく。殺陣をしながらの歌唱も華やかで、手に汗握る大注目のシーンが続き、決闘をするメンバーだけでなく、冬芽の妹・桐生七実(鈴木亜里紗)、ウテナの親友・篠原若葉(竹内夢)の存在感も抜群。悲哀で揺らぐ心も、ポップすぎるほどの元気さも、すべての感情を劇場内に満たすパワフルな歌唱力とキャラクターに注目したい。

能條愛未、山内優花、戸谷公人、横井翔二郎によるインタビュー記事はこちら
能條愛未(乃木坂46)、山内優花、戸谷公人、横井翔二郎による座談会。平成生まれの4人が『少女革命ウテナ』で演劇界に革命を起こす!?

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2018.03.05

ウテナと冬芽の決闘シーンも激しい。ウテナの王子様への憧れの心を揺さぶりながら「君は所詮女の子、僕の剣に屈するしかない」と言い放つ冬芽に敗れ「普通に戻らなきゃ」と男装をやめるウテナに、若葉が「これはウテナの普通じゃない」と檄を飛ばすシーンでは、観ているこちらも「自分の“普通”ってなんだろう?」と考えさせられる。

また、楽しむべきは、時系列や場面を超えて、2つのシーンが同時進行で展開される点。それぞれのキャラクターが抱える心の痛みや信じるものが交錯する様が美しく重層的だ。樹璃の恋心、幹の妹への想い、幼馴染みである西園寺と冬芽の関係性の微妙なひずみなど、その信念や、儚い慕情、どろっとした感情までもが、きめ細やかに描かれる。

ミュージカルという煌びやかで大胆な表現でありながら、登場人物の複雑な心情の機微、人間模様が丹念に描写され、観客に強力なエンターテインメントを提供しつつも、“自分”についても考えさせる奥深い公演。本作で初めて『少女革命ウテナ』を知った人も、長年のファンも、美しく表現されたこの世界観を体感しない手はないと感じた。

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