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『YUMENIKKI』は傑作ゲーム『ゆめにっき』をどのように再構築したのか?

『YUMENIKKI』は傑作ゲーム『ゆめにっき』をどのように再構築したのか?

現代風インディーゲームとして生まれ変わった『YUMENIKKI』

ということで、もやは伝説級のゲームとなってしまった『ゆめにっき』なのだが、2018年1月にその関連作となる『YUMENIKKI』が発表された。発売元は『RPGツクール』を生み出したKADOKAWA、開発元はインディーゲームのローカライズを積極的に展開しているアクティブゲーミングメディアだ。そりゃもう、『ゆめにっき』クラスタはざわついた。原作のききやま氏による協力・監修を受けているとはいえ、いったいどんなゲームになってしまうのかと、期待と不安が大きく入り混じりながら、2月23日の発売日を待った。

▲3D化されたが、テキストによる説明は基本的にない、というのは同じ

まず、大きな変更点はビジュアルだ。『ゆめにっき』では見下ろし型の2Dドットグラフィックだったが、『YUMENIKKI』はサイドビューの3Dグラフィックとなる。これだけでだいぶ、今どきのインディーゲームの雰囲気になった。また、主人公がジャンプできるようになったのも大きな変更点だ。

ゲームシステムはオリジナルの『ゆめにっき』同様、この『YUMENIKKI』も主人公の部屋を拠点とし、ベッドで眠ると夢の世界に入る。部屋のドアを開けると、さらにドアが並んだ薄暗い場所に出る。各ドアからさまざまな夢の世界へ行くことができ、頬をつねると目が覚めて自分の部屋に戻ることができる……と、このあたりは『ゆめにっき』と同じだが、夢の中身や謎解きはまったく別モノだ。

▲基本はサイドビューだが、シーンによっては少し見下ろすような場面もある

スムーズに進めば1日でクリアできるボリュームだが、パズル的な謎解きもあるので、「ここはどうしたらいいんだろう?」と詰まってしまうと、どうにも進まない箇所も出てくる。相変わらずヒントは薄いので、どうしても手探りで進めていくことになる。そんなときはゲーム同様(?)、一度リアルに寝て、気持ちを切り替えてプレイするといい。

また、テイストとしてはホラー寄りだ。何も知らない人が画面写真を見れば、「ああ、ホラーゲームね」と思う人もいるだろう。ここ数年のインディーゲームシーンで言えば『INSIDE』に近いので、これをプレイしたことがある人ならどんなタイプのゲームかすぐわかる。こうしたアクション、謎解き、テイストなど、ひとつのゲームとして総合的に考えた場合、十分に満足できる仕上がりとなっている。

▲謎解き要素は随所にある。ここは「特定の数字を入れる必要があるらしい?」ということはわかるのだが、そのヒントはどこに……!?

では、『ゆめにっき』の新作と考えた場合はどうか。この評価はプレイした人が『ゆめにっき』にどう接してきたかによって大きく変わってくる。それこそプレイした人の数だけ解釈があるので、そのすべての人が考える新作を作ろうと思ったら、その数のぶんだけ新作を作ることになる。なるべく多くの人にわかってもらうためにと最大公約数な内容にしてしまうと、薄味の『ゆめにっき』になってしまうだろう。

本作の配信ストアに書かれたゲームの特徴欄に”伝説のフリーゲーム『ゆめにっき』を3Dグラフィックでリイマジン”と書かれているとおり、リメイクでもなく続編でもない。『ゆめにっき』を新たに構築し、まったく新しいものとして2018年に誕生させたのが、この『YUMENIKKI』なのだ。であれば、開発サイドが信じるものを思い切り尖がった形で作ってもらったほうがいい。

▲薄暗く、その闇から何か出てきそうなシーンや、驚かすような演出もあり、ややホラーテイストが強い印象がある

であれば、この『YUMENIKKI』は、『ゆめにっき』における数ある解釈のうちのひとつを、いまどきのインディータイトルとして作り上げたものでガッツリと楽しませてくれた作品だと思ったほうが、しっくりくるかもしれない。あまり詳しくは書かないが、『ゆめにっき』との関連性を思わせるシーンがいくつかあったりするものの、それはあくまでプレイヤー側の解釈でしかない。ひとつの可能性として生まれたゲームなのであれば、自分では思いつかなかった可能性を楽しめるわけで、さらに『ゆめにっき』をより深く理解できたような気分にもなれる。

▲いろいろな場所に行くことができる電車。夢どうしがつながっている……?

いまどきのゲームファンがいきなり『YUMENIKKI』を遊ぶと、「?」と思う部分が多いかもしれない。だが、そもそも『ゆめにっき』もそうだった。「いったいこれは何なのか?」と、気がつけば摩訶不思議な魅力にみんなが吸い込まれていった。たしかにホラー要素が強めになっているが、「いったいこれはどういう世界なのだろう?」という奇妙な感覚は、『ゆめにっき』をプレイしたときの雰囲気に近いと感じた。ずっと鳥肌が立ったままで、画面を凝視したまま視線をそらすことができない、なんとも不思議なあの感覚だ。これはふたつの作品で筆者が感じた共通点のひとつでもある。

▲本作にもミニゲームは収録されている。今回は『Super NASU』というタイトルで、画面中を飛び跳ねる物体を撃ち落とすレトロテイストなゲームだ

いまのところ、『YUMENIKKI』はPC版のみの展開だが、そこまで大げさな3Dグラフィック処理があるわけではないので、いまどきのWindows 10がインストールされているノートパソコンレベルでも十分遊べる。ぜひ、自分のパソコンで遊んでみてほしい。プレイするときは攻略情報を調べたりせず、できるだけ自力で解くことをオススメしたい(本来そうあるべきなのだが)。ヒントは必ずゲームのどこかで示されているので、それを見つけていくことも本作の楽しさなのだから。

フォトギャラリー

■タイトル:YUMENIKKI -DREAM DIARY-
■メーカー:KADOKAWA
■対応ハード:PC
■ジャンル:夢探索アドベンチャー
■発売日:発売中(2018年2月23日)
■価格:1,980円(税込)


『YUMENIKKI -DREAM DIARY-』オフィシャルサイト
http://yume-nikki.com

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