Interview

映画初主演の阪本一樹と大ベテランの須賀健太。映画『サイモン&タダタカシ』にみるキャリアが対象的だから成し得た絶妙な空気感。

映画初主演の阪本一樹と大ベテランの須賀健太。映画『サイモン&タダタカシ』にみるキャリアが対象的だから成し得た絶妙な空気感。

「PFFスカラシップ」とは、「PFF(ぴあフィルムフェスティバル)」アワード受賞監督による企画コンペから毎年一本を、PFFが企画から公開までをトータルプロデュースする長編映画製作支援システム。これまでに園子温、橋口亮輔、矢口史靖、熊切和嘉、李相日、荻上直子、内田けんじ、石井裕也…など錚々たる人物を輩出し、若手映画監督の登竜門と誉れ高い。
そんなPFFスカラシップの第24作品目となる小田学の長編デビュー作『サイモン&タダタカシ』がいよいよ公開される。
内気な少年・サイモンと彼が秘かに想いを寄せる親友タダタカシの可笑しくてちょっと切ない、高校生最後の夏を切り取った青春ロードムービーと思いきや、突如アニメーションが挿入されたり、UFOが出現したり、荒削りで無軌道なパワーにあふれた本作で、主演のサイモン&タダタカシを演じているのが、阪本一樹と須賀健太の2人。
かたや本作が映画初出演の新人、かたや子役出身でキャリア20年のベテランだからこその絶妙なコンビネーションで、小田学ならではのオフビートでシュールな世界観に等身大のリアリティとフレッシュな息吹を吹き込んだ2人に撮影のエピソードを語ってもらった。

取材・文 / 井口啓子 撮影 / 荻原大志


撮ってる間も最後までどうなるかわからないスリルがありました

『サイモン&タダタカシ』拝見しました。いわゆる青春映画かと思って見始めたら、予測もつかない方向に転がり出して…。わけがわからないながらも引き込まれるパワーみなぎる作品でしたね。

須賀 僕も最初に台本を読んだときは、これをどうやって形にするんだろう?と思いましたね。UFOとか大爆発とか、ハリウッド映画みたいに何百億とかかけて撮れるならまだしも、どう展開するのこれ!? って。でも、ここまで自由な脚本を描ける方が撮るんだから、きっとおもしろいものになるだろうな、これは乗っかろう!って。

阪本 僕も最初に台本を読んだときは、サイモンとタダタカシのバディムービーみたいになるんだろうと思って読んでたら、途中からまったく予想を超えてきて…。

須賀 あの始まりからあの最後を想像できる人はいないと思うよ!

阪本 そうですよね、だから撮ってる間も最後までどうなるかわからない楽しさがありましたね。

©2017PFFパートナーズ(ぴあ ホリプロ 日活)

本当に自由な、PFFスカラシップらしい作品ですよね。阪本さんは演技が今回初ということでしたが…。

阪本 出演が決まるまでは演技指導もほとんど受けたことがなくて。本当に不安だったんですけど、決まってからクランクインまでに須賀さんや監督に何度も稽古をしていただいて…。何度もやるうちに監督のイメージするサイモンも見えてきたので、撮影のときは安心してやることができました。

須賀 すごく練習したよね。僕や監督ともやったし、1人でもやってたし。

役づくりの上で特に意識したことはあります?

須賀 バランスは考えましたね。僕が演じたタダタカシはすごくピュアでバカがつくぐらいストレートなぶん、ともすれば噓くさくなってしまう。僕自身、演技を足したくなる傾向があるので、そこは行き過ぎないように注意していました。特に今回はストーリーが斬新すぎるので、イヤミのない真っすぐさが出るように意識しました。

阪本 僕の場合、サイモンはタダタカシのことが好きだけど伝えられない、という設定なので、特に2人の会話のシーンでは、仲が良い中にもそういう微妙な雰囲気が出るように意識しました。

この2人の関係性すごくいいですよね。キャラクターとしては対照的で、すごく盛り上がるわけでもなく、喋ってることもなんでもないことなんだけど、そのゆるさの中になんともいえない心地よさや親密感がある。

須賀 やっぱりタイトルが示すように、この映画はサイモンとタダの物語なわけですから、2人でいるときの空気感は重要でしたね。

阪本 撮影の合間もけっこう2人で喋ってたんですけど、そこで阪本一樹と須賀健太として普通に気負いなくいられたので、それがサイモンとタダタカシにうまく繋がったのかなと。

©2017PFFパートナーズ(ぴあ ホリプロ 日活)

じゃあ、カメラが廻ってないときの2人もあんな感じ…?

阪本 そうですね。僕はサイモンに似て内気なタイプで…。

須賀 最初は僕から話さないと話してくれなかった(笑)。それが撮影が始まる頃には喋ってくれるようになって。

阪本 サイモンと一緒に僕も成長できたかなって思います。

須賀 休憩時間にラーメン食べにいったよね。熊谷の本当に地元の人が行くようなお店に、2人でね。

ちなみに、実際のお二人の高校時代は…?

須賀 学校ではモテたくて、勉強できるのにふざけてるヤツがカッコイイと思って、授業中はずっとふざけているんだけど、テスト前に必死で勉強してました。学年で1ケタ代に入って、これはモテるだろうな…と思ったら全然で、勉強のできる女の子にライバル視されただけで終わりました(笑)。

阪本 僕はこの映画みたいに男子比率が高い学校だったので、いつも男子5~6人で集まってました。しょうもない話をしたり、街をブラブラしたり…。大体同じメンバーでずっと過ごしていました。そのときの感じは今回の映画に生かされたかもしれませんね。

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