Interview

前野朋哉、池岡亮介が「竹生企画」を語る──6人芝居という濃密な舞台『火星の二人』で役者としてどんな変貌を遂げるのか!?

前野朋哉、池岡亮介が「竹生企画」を語る──6人芝居という濃密な舞台『火星の二人』で役者としてどんな変貌を遂げるのか!?

この春、「竹生企画」が3度目の実現を果たす。俳優・生瀬勝久の「竹中直人さんと二人芝居がやりたい!」という熱情を発端に、2011年、このユニットは産声をあげた。そこから、竹中がラブコールを送った倉持 裕を作・演出に招き、ヒロインには2人が共演してみたい旬な女優を迎えるというサブルールを加え、始動。第1回公演『ヴィラ・グランデ青山~返り討ちの日曜日~』は、ヒロインに初舞台となる山田 優を。2015年の第2回公演『ブロッケンの妖怪』では、同じく初舞台となる佐々木 希を。今回の『火星の二人』では、女優としてはもちろん、歌手としても活躍中の上白石萌音を迎え、6人芝居に挑む。
そんな「竹生企画」に初参戦する前野朋哉、池岡亮介にインタビュー。彼らの“竹生”カンパニーに加わった喜びと感動を伝えよう。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 増田慶


オーディションに竹中さん&生瀬さんもいらっしゃって

まず最初に、約4年ぶりとなる「竹生企画」第3弾『火星の二人』のカンパニーに加わることになった感想を聞かせてください。

前野朋哉 小学生のときから竹中直人さんが大好きで、6人のメンバーに加わることが夢みたいですね。小学生の頃の自分に教えてあげたい(笑)。絶対的な安心感のある竹中さんと生瀬勝久さんがいらっしゃるし、まずお2人のお芝居を観られるのが楽しみです。それから、僕は年齢的にも俳優として変革時期にあると思うので、チャレンジする機会に恵まれて感謝しています。

池岡亮介 6人の中のひと枠を自分が埋めさせていいただいていることに驚くと同時に幸せです。そして、地元の愛知県からの反響がこれまでの俳優人生の中で一番大きいので、改めてすごいところに飛び込ませていただいたと実感しています。オーディションで竹中さんと生瀬さんと作・演出家の倉持 裕さんがいらっしゃって……。

前野 3人が目の前にいるんだ!?

池岡 オーディションが終わってすぐに、マネージャーさんにビックリしたことを電話してしまいました(笑)。

前野 (笑)。めちゃくちゃ緊張するね。

池岡 俳優としての大先輩にオーディションを見てもらうことは初めてで、竹中さんと生瀬さんの「竹生企画」ならではですよね。あとから聞くと、お2人は、ちょっと行ってみようぐらいの軽いお気持ちだったらしいのですが、僕からするとびっくりしました(笑)。

前野朋哉

今作でのお2人の役どころを教えてください。

池岡 とある大学の天文学者の朝尾(竹中直人)と、もとみ(高橋ひとみ)の一人息子の大学生、正哉を演じます。俳優を目指していたのですが、ある大事故から父親が生還したことをきっかけに人が変わったように諦めてしまう。どちらかといえば、一貫性がなくて、だらしない中途半端な男の子です。

前野 僕は朝尾にパラサイトする楠見という役を演じます。彼は朝尾のゼミ生で亡くなった登羽という女性のいとこです。朝尾との関係性は薄いのですが、登羽の名前を利用して朝尾の弱みにつけ込んで悪巧みをする役どころです。

池岡亮介

脚本をお読みになられた印象はいかがですか。

前野 テーマは重厚でシリアスなのに、ユーモアが所々に散りばめられていて、そのバランス感が素晴らしいと思いました。最終的に、主人公たちが一歩前に進むポジティブな要素もあるので、暗くはないけれど、薄暗い過去がずっとつきまとっています。ちょっとしたことで6人の関係性が目まぐるしく変わるので、緊張と緩和がジェットコースターに乗っているようにグルグル回ります。

池岡 人間が持っている闇や影を、とても丁寧に落とし込んでいる脚本です。本音と建前が、たしかにジェットコースターのように続いて、舞台に漂う心情のぎこちなさをスピーディーでリアルに表現しています。

このカンパニーが生み出す化学反応がある

ここまでの稽古はいかがですか。

前野 どのシーンも次の日に見たときのほうが、明らかに良くなっています。そこからいろんな感情が新しくうねっていくのを目の当たりにするので毎回驚いています。6人ともチャレンジングな芝居をしますが、倉持さんが良いところをチョイスしていくので破綻がないんです。倉持さんが立ち位置や動きを考える。そうするとお芝居や目線が変わって気持ちも一変する。すべてお客様が見ている最良の方向を考えてくださっているからでしょうね。小道具ひとつにしても、ちょっとした使い方の変化で一気にシーンの雰囲気が変わるんだと肌で感じて毎日が新鮮です。

池岡 前野さんもおっしゃいましたけど、セリフは変えずに、所作と目線だけで芝居の意味が変わってくるんです。例えば、竹中さんと生瀬さんを見ていると毎回違う。

前野 そうだね。

池岡 そこから生まれる何か良いものを倉持さんが期待していらっしゃる。

前野 おそらく舞台上でしか生まれない化学反応だよね。この間、あるクイズ番組に生瀬さんとさやか役の上白石萌音さんの3人で出演して“劇的”なことがあり……。

池岡 劇的ってなんですか(笑)。

前野 それは観ていただいてからのお楽しみですが、このカンパニーが生み出す化学反応を楽しんでください。

九死に一生を得た人物がいると、結果、様々な人の人格さえも変わってしまうと脚本を読んで印象を受けました。実際、事故の前の役、事故のあとの役とではどのように演じ分けたりするのですか。

池岡 稽古に入る前に、事故で九死に一生を得て、どれほど大きな心情の変化が起きるのかなと思っていたのですが、脚本を読んで稽古をすると、正哉に関しては、もともとあまり変わってないような気がするんです。事故を言い訳に、ただ優柔不断な性格を肯定しているだけのようにも見えるので、演じ分けは必要ないのかな。まだ、お稽古が始まったばかりで試行錯誤は続きますが、セリフから表情を読み取って素直に演じていきたいですね。

前野 楠見は、浅尾に舐められないように自分を演じている部分があるので、それがどんどん溶けて素に戻っていく役だと、倉持さんはおっしゃていて。演じ分けていくよりも自然とそうなっていく役なので、池岡くんが言ったようにセリフの表情の変化に素直に身を委ねたいです。

演出家としての倉持さんの印象はいかがですか。

前野 お優しい方で、ダメ出しも的確です。ですから、いろいろな演出を試されていても、どんどん良くなっている実感があります。ひと言おっしゃっていただいた、その言葉だけで演じるうえでやりやすくなったりする。

池岡 腑に落ちていない、理解が深まっていないセリフ、つまり自分でわかっていないんだということを、第三者の目線でわかっていただいているので、不安に感じているところをすぐにアドバイスしてくださる。だから、自分の中にすっと落とし込めるんですよね。

前野 そう! そこから気になっている部分は徹底的に固めていくよね。

池岡 何回も稽古を繰り返して、浮き彫りになってくる不安材料を、削ぎ落とす作業がスムーズだからストレスなく演じさせていただいています。

前野 しっかりされた方だから、夏休みの宿題を残さないタイプでしょうね(笑)。小学生で8月31日になってもあくせく宿題をやらない。高校野球の甲子園が終わるときには宿題が終わってるかも。

池岡 (笑)。そうですね。甲子園を楽しんじゃうぐらいの方ですね。

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