LIVE SHUTTLE  vol. 252

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エレファントカシマシ 30年の蓄積をたっぷり見せつけ、前のめりに31年目に踏み出していくバンドの“今”が詰まったANNIVERSARY TOURファイナル公演

エレファントカシマシ 30年の蓄積をたっぷり見せつけ、前のめりに31年目に踏み出していくバンドの“今”が詰まったANNIVERSARY TOURファイナル公演

30th ANNIVERSARY TOUR 2017“THE FIGHTING MAN”FINAL
2018年3月17日 さいたまスーパーアリーナ

頑張ってれば、どこかで“神様”が見てくれている。そう信じて明日を目指す。この30年間、それを体現してきたエレファントカシマシゆえ、彼らのガンバレは、けして張りぼての言葉ではなく、すーっと胸に届く。さいたまスーパーアリーナからの帰り道、油断してたら真冬に近い寒さの帰り道、ふと、そんなことを想った。

オーヴァチュアのように高らかに響く「3210」から「RAINBOW」へ。これから届けられる様々な想いへ、まず足場を固めたようなオープニング。「よ~こそ EVERYBODY!」。宮本が呼び掛ける。このEVERYBODYという、彼の口癖のような言葉は、自分達と客達とに、程良い距離感を醸し出す。しかし即刻突き放し、彼らの“限界芸術”性の極み、「奴隷天国」へ。天井から無数の風船が舞い降り、アリーナの空間を色彩が染める。ゲットした客達が、ビートに合わせて降り始め、さあ動く。さらにさらに、この日のライブが動き出す。

 この日、この時間に、ここに集まった縁(えにし)を讃えるように「今はここが真ん中さ!」へ。ホーン&ストリングス含めて、この日は18人体制。コンサートの“豪華さ”も様々だが、これぞまさに、真の意味での音楽的な“豪華さ”だ。全員が、ひとつの生き物のように躍動する。

ただ…。こういう編成の場合、ひとつ着目したことがある。18人の時と4人主体の時との聞こえ方の違いだ。でもそこが、やはりエレファントカシマシが30年の積算で勝ち取った成果なのだろう。ホーンとストリングスを含む音の宇宙と、エレカシだけの宇宙。音の容積は、なんら変わらなかった。これは凄い、誇らしいと思った。

“周年ライブ”というのは、“往年のファン”が支えるものにもなりがちだが、彼らの「今」、そう、「今」に反応してのレスポンスが充満する会場となった。これはバンドの創作態度にも起因する。たとえばツアー中に作ったという新曲「ベイベー明日は俺の夢」。30周年なれど、31年目の大地をしっかり両足でグリップした内容だったのだ(宮本たちお手製のPVが流れたのも手作り感あって良かった)。

いつのどのライブと比較してるんだと迫られると言い淀むけど、基本、ハチロクのロッカバラード的なフォーマットの「さらば青春」は、この楽曲を演奏し始めた頃より、アクセントのつけ方というか、リズム隊の表現の多様さが、増しているように聞こえた。東京の開花宣言のニュースを横目にしつつ聴いたのが「桜の花 舞い上がる道を」だ。桜にまつわる歌は数多いが、いつもこの歌を聴くと、鈴木清順監督作品の映画のような、花びらに宿る命の濃さを感じる。

「ズレてる方がいい」は、けして押しつけではない軽やかな処世訓として、とても響く大好きな歌である。ここにあるのは厭世でも達観でも虚脱でも硬直でもなく、“ズレてる”とはすなわち、人生に於ける大切な「客観」だと解釈している。歌詞にはこの言葉と並列して“本気な方が”という語句も出てくるが、聴けば聴くほど深い。

「俺たちの明日」で、いったんライブは終了。去り際に宮本は、「二部がありますから」という言葉を残す。通常、ここで“いまから〇分の休憩です”みたいなアナウンスが入るが、それはない。実質的にはアンコールのように二部が始まっていく。曲はあったが歌詞はツアー中に書いたという、ドラマ「宮本から君へ」の主題歌「Easy Go」は、まさに衝撃の名曲であった。“衝撃の名曲”だなんて、手垢の付いた常套句と思うかもしれないが、文字どおりこの曲は、衝撃(理性が吹き飛ぶ爆裂さ)かつ名曲(丁寧に感情をなぞる“美メロ”)という、ふたつのファクターを満たしていた。アンコール、じゃなかった…。二部もたっぷり6曲。そしてまだまだ続く。ここから三部へ。

「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」が始まった。この曲といえば、タワー・オブ・パワーばりのバリッと弾けるホ−ンが決め手のアレンジ。それがまさに再現というか、さらに上限めざし弾けた。ここで注目したのは、後半、それぞれの楽器がソロ・パートを取った際、黙って聞くのではなく、終始、宮本がジャズ・シンガ−的なアドリブのスキャットで“共演”してたこと。「涙」では、アコギ一本での弾き語りを披露。最後は「ファイティングマン」。この曲の個人的なツボは、サビの最後の最後の終わりのとこの、“♪ベイビー ファイッ ティンッ グッ マーン”みたいな、ボ−カルとバンドとの、阿吽としか言えない呼吸の見事さなのだった。三部もたっぷり5曲。

「予定の曲数はすでに終了してるけど」と言いつつやってくれたのは、迎える季節にぴったりの「四月の風」。爽やかに吹き抜けた。ついについに大団円を迎えた。終演直後の宮本や石森や高緑や冨永からは、絞り出して絞り出してぺったんこになったチューブのような、そんな表情が伺えた。

取材・文 / 小貫信昭 撮影 / 大森克己

30th ANNIVERSARY TOUR 2017“THE FIGHTING MAN”FINAL
2018.3.17 @さいたまスーパーアリーナ

セットリスト

01. 3210
02. RAINBOW
03. 奴隷天国
04. 今はここが真ん中さ!
05. 悲しみの果て
06. 星の砂
07. i am hungry
08. 夢のかけら
09. 風に吹かれて
10. ベイベー明日は俺の夢
11. 昔の侍
12. さらば青春
13. 笑顔の未来へ
14. 桜の花、舞い上がる道を
15. ズレてる方がいい
16. 今を歌え
17. 風と共に
18. ガストロンジャー
19. 俺たちの明日
<二部>
20. 男餓鬼道空っ風
21. この世は最高!
22. RESTART
23. 夢を追う旅人
24. 今宵の月のように
25. Easy Go
<三部>
26. あなたのやさしさをオレは何に例えよう
27. so many people
28. 友達がいるのさ
29. 涙
30. ファイティングマン
<アンコール>
31. 四月の風

リリース情報

New Album
2018年6月6日発売
* 詳細は後日発表

エレファントカシマシの作品はこちらへ

ライブ情報

TOUR 2018
6月25日(月)  愛知・Zepp Nagoya
6月26日(火)  愛知・Zepp Nagoya
6月30日(土)  大阪・Zepp Namba
7月1日(日)  大阪・Zepp Namba
7月5日(木)  東京・Zepp Tokyo
7月6日(金)  東京・Zepp Tokyo
7月13日(金)  宮城・仙台 PIT
7月14日(土)  宮城・仙台 PIT
7月16日(月祝)  北海道・ZeppSapporo

エレファントカシマシ

1981年結成。メンバーは、宮本浩次(Vo,G)、石森敏行(G)、高緑成治(B)、冨永義之(Dr)。1988年にシングル「デーデ」とアルバム『THE ELEPHANT KASHIMASHI』でメジャーデビュー。ハードなロック・サウンドと文学的な歌詞で高い評価を得る。その後1997年にリリースされた「今宵の月のように」がドラマの主題歌に起用され、70万枚を超える大ヒットを記録。これまでに、通算47枚のシングルと、23枚のオリジナル・アルバムを発表している。ライブ活動もデビュー当初から精力的に展開しており、2016年まで27年連続で日比谷野外大音楽堂でのライブを開催し、2014年にはデビュー25周年記念ライブとして、さいたまスーパーアリーナに1万4000人を動員した。

オフィシャルサイト
http://www.elephantkashimashi.com

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