LIVE SHUTTLE  vol. 255

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マオ from SID カヴァー曲にトーク、魅力あふれる恒例の、はしゃいで騒げるアコースティックライブを独占でレポートする!

マオ from SID カヴァー曲にトーク、魅力あふれる恒例の、はしゃいで騒げるアコースティックライブを独占でレポートする!

Whiteday Acoustic Live 2018 「箸休めNight」
2018年3月14日 TSUTAYA O-EAST

『Maison de M vol.2』のツアーから約1カ月。シドのヴォーカリストであるマオが、マオ from SIDとして、3月14日、今度は東京・TSUTAYA O-EASTにて『Whiteday Acoustic Live 2018 「箸休めNight」』を2部制で開催。昨年のホワイトデーに、同場所で行なった『Whiteday Acoustic Live 「箸休めNight」』で「来年、同じ場所で会おう」とファンと約束を交わしたマオ。その約束を叶えた今回のライブから、2nd SHOWの模様をお届けしよう。

写真を見て分かるように、ゆったり素敵な気分で歌に存分に浸らせてくれるライブではある。だが、「箸休めNight」はそれだけで終わらない。曲を歌い終えるたびに、オーディエンスとサポートミュージシャンまで巻き込んで展開していくマオの爆裂トークも、このライブの欠かせない要素。トークでこんなにはしゃいで騒げるアコースティックライブは、なかなか他にはないだろう。

定時になると、客電が落ちる。ヴァイオリンの門脇大輔、アコースティックギターの木島康夫、キーボードのnishi-kenという今夜のライブをサポートするメンバーに続いて、マオがホワイトデーに合わせて真っ白いスーツ姿で登場。拍手とともに、「マオ!」と語尾を上げる呼び方でオーディエンスが名前を呼ぶ。だが、すぐに場内はアコースティックライブならではの静寂に包まれる。マオがコップの水をゴクリと飲む音も聞こえてきそうな静けさだ。

nishi-kenのキーボードから始まったオープニング曲は、いまのシーズンにぴったりなユーミン(松任谷由実)の荒井由実時代の代表曲のひとつ「卒業写真」。“あなたは私の青春そのもの”。懐かしい気持ちがすぐに蘇る。卒業というワードでオーディエンスをそれぞれの青春時代の“あの頃”へと誘い込み、続いてSMAPの「夜空ノムコウ」という選曲が懐かしい思いをさらに加速させる。あの頃を“共有”していた誰かとの記憶が脳裏に広がり、思いきりノスタルジックに浸っていたら、なんとここでマオが間奏の口笛を途中で吹き出してしまった! ファンの「がんばれー」という声援に励まされ、すぐに立て直してなんとか最後まで歌いきった。

「ありがとね、元気づけてくれて」と観客にお礼を伝えたマオは、悔しそうな表情で「また絶対やるからな。いつか」と観客にこの曲のリベンジを誓った。

続いて「もうすぐ星が出る時間なので、もういいから。俺の顔とか見なくて。星を想像して。たまに俺の顔も想像して。って、俺目の前にいるけど」と観客を笑わせ、オリジナル曲「星」へ。“フーーイェイエー”とアタックの強いファルセットをイントロに重ね、指で天を差しながら、伸びやかな声でこの曲を歌い上げた。

このあとは白い衣装つながりでシドの「chapter 1」のMVの話題へ。

あの映像が27時間かけて、−2℃の洞窟で撮影されたものだというエピソードが明かされると、ファンからどよめきが上がった。そして、マオが今回のライブのため100曲ぐらい候補曲を聴いて、カヴァーする曲を選んだと話し、そのなかでも「たくさん練習してきました」といって歌い出したのは福山雅治の「Squall」。

松本英子に楽曲提供した曲なので、歌詞は女性目線。恋した感情をしっとりと歌い上げたあと、この曲のポイントとしてサビのラストの“さがーしーてた〜”とミックスボイスをなめらかに入れていくところが「すごく難しい。ハマると気持ちいいんだけど」と説明を加えた。こんな細かいところまで歌の解説が聞けて得した気分になっていると、「次は昭和の名曲を」という曲紹介から石川ひとみの「まちぶせ」を歌ってみせた。この曲は荒井由実が三木聖子に提供したナンバーを石川がカヴァーし、ヒットさせた曲だ。当時のアイドルには珍しい強気な女性を主人公に仕立てた片思いソングは、マオが書く歌詞にも通じるものがあって、とても彼にはまっていた。高いキーのままカヴァーした理由については「女の人の気持ちを伝えたいから、このキーで挑戦した」と話していた。

歌詞のテーマになった“片思い”について話が及ぶと、マオは自分から中学時代の実体験を披露。彼氏がいるのに、自分のところにも「これ貸して〜」と近づいてくるちょっぴり魔性が入った1つ年下の後輩女子が、彼氏と不仲になったという噂を聞き、ここだと思って「付き合ってください」と告白したら「彼氏いんだよね」とあっさりフラれたという話だったのだが。そのなかの告白シーンをジェスチャー付きで話すマオを見て、お客さんはキュンキュンしていた。

そのあと、メンバー紹介をはさんで、過去にも歌ってきた尾崎豊のナンバーのなかから、この日は「OH MY LITTLE GIRL」に挑戦。ピュアな想いがストレートに伝わってくる歌に心が洗われ、感慨にふけっていると「名曲だね」とマオも歌い終えたあと、静かにささやいた。

こうして音楽では心の深いところで対話できて、トークでは目線を合わせてくだらないバカ話で盛り上がれる。そんな超アットホームな他にはないライブスタイルができつつある「箸休めNight」。

「どうせなら、このままみんなと打ち上げとかやりたいよね? そこまでやれたら素敵だなと思います」とマオが話すと「やってー!!」とファンも大賛成。「いつかやりたいね」と告げたあとは「次は大先輩の曲。俺が本物の“ドエル”だって伝わるマニアックな選曲」という説明から、L’Arc〜en〜Cielの初期バラード「ガラス玉」へ。

静かな歌い出しから、シーンがパーンと広がるエモーショナルなサビまで、レンジをフルに使ったダイナミックな歌唱で観客を圧倒。この日、一番緊張感に包まれた歌に「直属の先輩だから失敗は許されない。自分、一生懸命歌わせて頂きました」とおどけるマオ。

このあとは再びさっきの打ち上げの話になり、打ち上げでは入り口で「このあとマオが酔っても、どんなマオが待っていてもファンを辞めません」と印鑑を押してもらうと提案。

そうして、次はファンからのリクエストが多かったというDREAMS COME TRUEの「やさしいキスをして」をパフォーマンス。“報われなくても〜”から歌のテンションがどんどん上がり、演奏が途切れ、アカペラだけが残る展開に、胸が締め付けられる思いがした。

「1部はスマートに素敵に、2部はいい意味で疲れがあるから、その分肩の力が抜けて、体全体で歌える」と1st SHOWと今回の歌の違いを説明し終えたあと「うわー、もう10時だよ?」と驚くマオ。マオは子供の頃祖父母が8時ぐらいに寝てしまっていたので、9時頃には寝ていたというプライベートな話も聞けたところで、曲は「不埒な体温」へ。

アコースティックスタイルでもこの曲は楽器隊が奏でるユニゾンフレーズが迫力満点。そのグルーヴにのせられ、自然とお客さんも体を揺らし、ノリノリでハンドクラップ。「気持ちいいねー。楽しいね。このノリ! みんなも上手上手(笑顔)」と興奮気味のマオ。

そして、この「箸休めNight」は「どうしても会話したくて。みんなと。顔も見たいしね。だから、これからもこれぐらいの距離で生の歌と生の演奏と生のトークを楽しむものでありたい」と話し、会場の規模を大きくするつもりはないことを伝え、最後の「月」へ。

“あなたの過去も弱さもそっとそっと抱きしめたなら/平凡だけど優しい日々をきっと約束するから”というフレーズに激しく心を揺さぶられ、さっきまで笑っていた観客たちは静かに感動の涙を流す。歌い終わったあと「しっかりと音楽でつながれたこと、ひしひしと伝わってきました。ありがとうございます」と感謝の言葉を伝えたマオ。

「俺がただ歌ってるだけでもダメ。みんながしっかりと音楽に入ってきてくれないとこんな空間は作れないから。これからもお互いの力で、高め合っていきたいので協力して下さい。また会いましょう。ハッピーホワイトデー」といって、会場に集まったみんなと目を合わせるように手を振って別れの挨拶をし、会場から姿を消した。

 文 / 東條祥恵

Whiteday Acoustic Live 2018 「箸休めNight」
2018年3月14日 TSUTAYA O-EAST

セットリスト
01. 卒業写真
02. 夜空ノムコウ
03. 星
04. Squall
05. まちぶせ
06. OH MY LITTLE GIRL
07. ガラス玉
08. やさしいキスをして
09. 不埒な体温
10. 月

マオ

福岡県出身。10月23日生まれ。
2003年に結成されたロックバンド「シド」のヴォーカリスト。
2008年メジャーデビュー。バンドとしてこれまで「モノクロのキス」、「嘘」、「ANNIVERSARY」などで映画・テレビアニメテーマ曲を担当。
数多くのヒット曲を世に放ち、2010年には東京ドーム公演を行うなど常に音楽シーンを牽引する存在に。
活動13年を迎える中、新たな挑戦としてキャリア初のソロプロジェクト「マオ from SID」をスタートさせる。

オフィシャルサイトhttp://www.maofromsid.com/

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