映画『曇天に笑う』  vol. 3

Interview

本広克行監督×池田史嗣プロデューサーに訊く『曇天に笑う』実写映画化へのこだわり

本広克行監督×池田史嗣プロデューサーに訊く『曇天に笑う』実写映画化へのこだわり

現在大ヒット公開中の映画『曇天に笑う』。文明開化の明治初期を舞台に、ある宿命を持つ男たちの熱いロマンと闘いを描いた本作は、男はもちろん、女もそそる人間ドラマに華麗なアクション、美術、衣装、音楽、カメラワークなど、キャッチーな要素をこれでもかと盛り込まれ、従来の時代劇のイメージを覆す、斬新でパワフルな魅力にあふれている。

エンタメステーションでは、これまで主人公・曇天火を演じる福士蒼汰と金城白子を演じる桐山 漣、「政府の特殊部隊」“犲”のメンバー古川雄輝・大東駿介・小関裕太・市川知宏・加治将樹へのインタビューを行い、本作の魅力を存分に語ってもらった。
このいまだかつてない「アクション・エンターテイメント」はどのように生まれたのか? 今回は、仕掛人である本広克行監督と池田史嗣プロデューサーに創作秘話を聞いた。

取材・文 / 井口啓子 撮影 / 増永彩子

「踊る大捜査線」はコミックをテーマに。『曇天に笑う』はファッショングラビアをテーマにして徹底的にエンタテイメントを狙って作った。

まず『曇天に笑う』の映画化はどのように始まったのでしょう?

池田 原作は人気マンガなんですが、作品全体の美意識が高いというか、絵がすごく綺麗で女性ファンがとても多い作品なんです。それを本広監督にぜひ撮っていただきたいというのが、製作陣の総意でした。

本広 僕はもともとマンガやアニメは大好きなんですが『曇天に笑う』は完全に少女漫画で。男の子はあまり読まないタイプのマンガだったので、最初は「なんで俺?」と思ったんです。でも、以前にTVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』の総監督をやったとき、僕としては男の子たちが萌えるアニメを作ろうとしたのに、「女の子が萌えて下さって嬉しいーー」みたいなコメントをしたら、「なに言ってんだあの監督!」って炎上しちゃったことがあって(笑)。今の女性の方はこういう男っぽいものをカッコイイ・カワイイって言って下さるんだなって、意外な発見があったんです。そういう意味では、今回もいつものようにやれば原作の女性ファンにも喜んでもらえるものが作れるんじゃないかと。

池田 『曇天に笑う』は男たちの闘いの物語でもあるんですよね。僕は「踊る大捜査線」シリーズを始めとする本広監督の作品群のコアにはずっと“熱い男たちのドラマ”があると思っていたので、『曇天に笑う』を「これ以上ないぐらいエンタテイメントとして見せて下さる方は本広さんしかいない!」と思って。今回、男性同士の関係性みたいなものをしっかり撮ろうということでオファーさせていただきました。

『曇天に笑う』はアニメ化も舞台化もされている人気作ですが、やりにくさはありませんでしたか?

池田 脚本の髙橋悠也さんがアニメや舞台の脚本を書かれた方で、ある意味『曇天に笑う』の世界観をいちばんよく知っていて、かつ、唐々煙先生からの信頼も得ている方だったので、今回の脚本も、実写化するにあたってクリアにしないといけないことを細かく相談しながら、いいバランスで作れたと思います。

確かにオロチをめぐるストーリーの中で曇三兄弟や犲、風魔一族との関係性をしっかりと描きつつ、華麗なアクションやスペクタクルな世界観もしっかりと見せる。この時間の中によくぞこれだけの要素をギュッと詰め込まれたなと感心しました。

池田 尺は94分なんですけど、短くしようというのは最初から監督と話してたんです。

本広 始まったらあっという間にゴールまで行くような、“ジェットコースターみたいな映画”にしよう”ということは当初からの狙いでした。こういう娯楽作品を僕はよく「プログラム・ピクチュア」って言葉を使うんですが、そういうものはあんまり長くてもダメで。雑誌を見るような感覚で、ファッショングラビアを見るように、綺麗な男の子たちがいっぱい出てきて楽しい! みたいな、そういう映画があってもいいかなって。 

しかも、いろんなタイプのイケメン揃いで、見終わった後も「私は誰が好み」とか友達と話すのがまた楽しい(笑)。

本広 映画って昔はそういうものだったと思うんですよ。「踊る~」はコミックをテーマに、マンガを読むような映画として作ったんですが、今回は雑誌だ! って。

池田 最初にその話もしましたよね。そういう発想をする監督ってなかなかいらっしゃらないんですが…(笑)。

本広 今回の作品はお金も掛かってますからね。お金が掛かってるってことは、出資者の方がいっぱいいらっしゃるので、興行的な面でもがっかりさせられない。低予算の映画だと純文学みたいな、うまいもん作ったから勝手に解釈してくれみたいな作品もアリだし、そっちの方が文化度は高いから評価もされるんですけど、そういうのばっかりやってても映画というものの幅が狭まっちゃうんじゃないかなって。

池田 だから、今回はオーディエンスを強く意識して、徹底的にエンタテイメントを狙っていこう、みたいなのは最初から最後まで一貫してありました。

1 2 >
vol.2
vol.3