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『とある魔術の電脳戦機』を『禁書』サイドから楽しむには?

『とある魔術の電脳戦機』を『禁書』サイドから楽しむには?

セガゲームスから2018年2月15日に発売された、PlayStation®4/PlayStation®Vita向けソフト『電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録(インデックス) とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)』(以下、『とある魔術の電脳戦機』)は、『電脳戦機バーチャロン』(以下、『バーチャロン』)シリーズとして15年振りのタイトルで、前回の記事では『バーチャロン』プレイヤー視点で書かせてもらった。今回はもうひとつの視点、『とある魔術の禁書目録(インデックス)』(以下、『禁書』)側でまとめてみたいと思う。双方の世界設定がしっかりと組み合わさったコラボレーションなので、その意味をしっかり噛みしめて遊んでほしいと願ってやまないのだが、その素晴らしい部分はいったいどこにあるのか。じっくりと説明していきたい。

文 / 松井ムネタツ


まずは『とある魔術の禁書目録』のおさらい

ともあれ『禁書』という作品について紹介しよう。鎌池和馬先生によるライトノベルで、2004年からアスキー・メディアワークスより刊行中の人気シリーズだ。短編集なども合わせると、2018年3月現在で44巻ほど続いている。「科学と魔法が交差する時、物語が始まる」とキャッチにあるとおり、超能力をカリキュラムとする学園都市に、魔術を司る少女が空から降ってきた……というところから物語は始まる。科学と魔法の学園異能バトルという展開は、さながら熱血少年漫画のようだ。

主人公は学園都市に住む高校生、上条当麻。超能力者としてはレベルゼロなのだが、その右手には異能の力なら何でも打ち消すことができるイマジンブレイカーを宿している。ヒロインのインデックスは魔術サイドで、10万3000冊の魔道書を記憶しており、ある事件をきっかけに当麻の部屋で居候することになる。

▲『禁書』のメインヒロインであるインデックス。上条への愛情の裏返しで、リアルに噛みつくこともしばしば!?

“空から少女が降ってくる”、”特殊能力を持つ右手”、”科学”、”魔法”、”学園”、”バトル”などなど、これで熱くなるなと言うほうが無理だってくらい王道熱血ラノベ要素が詰まっており、これにキャラクターの個性、格好いいセリフ、テンポの良さなども相まって、あっという間に人気が爆発。宝島社から毎年発行されている『このライトノベルがすごい!』では、2011年度に1位を獲得し、電撃文庫を代表する作品のひとつとなった。

人気作品となれば、待っているのはアスキー・メディアワークスが得意とするメディアミックス展開だ。コミック化およびドラマCD展開を経て、2008年と2010年にテレビアニメが1期、2期と放送された。2013年には劇場アニメも公開され、これはアスキー・メディアワークス創立20周年記念作品にもなった。

▲ゲーム本編のオープニングもかっこいい! まるでテレビアニメのオープニングな雰囲気で作られている

スピンオフ作品の『とある科学の超電磁砲(レールガン)』(以下、『超電磁砲』)も人気が高く、こちらもテレビアニメが2期(2009年と2010年)制作されている。2018年には8年振りの3期めとなる『禁書』テレビアニメが決定、さらに盛り上がりそうな展開となっている。

コラボを超えた、見事なまでのフュージョン! 

そんな『禁書』と『バーチャロン』はどうやって巡り合ったのか? これはいろいろなメディアで本作の亙重郎プロデューサーが答えているのだが、きっかけはアーケードやPlayStation®4などで展開した対戦格闘ゲーム『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』だったそう。このタイトルのおかげで『禁書』と『バーチャロン』のコラボ企画が生まれ、小説とゲームの展開が動き始めた。だが、その内容は我々の想像を大きく超えており、見事なまでのコラボ企画となっている。

▲『とある魔術の電脳戦機』のバーチャロイドは全13機体

いまどきのゲーム業界で”コラボ”と言うと、たとえばキャラクター衣装にコラボ作品のものがあったり、期間限定イベントでコラボ作品のキャラが登場するとか、そういうものが多い。メインとなる作品があって、それに対してちょっと彩を豊かにするためのコラボレーション、といった感じだ。

正直に言えば、筆者はこの『とある魔術の電脳戦機』もそういう感じだと思っていた。『禁書』のゲーム化であって、『バーチャロン』はコラボ側の作品なのでしょう? と。ビジュアル的にちょっと『バーチャロン』が絡むとかその程度かなと思っていたのだが、ところがどっこい。この『とある魔術の電脳戦機』は2作品が見事なまでにコラボしているではないか。いや、ここまでくるとフュージョン(融合)と言っていいだろう。

▲まさかここまでがっつりとコラボするとは! といったゲーム内容になっている

2016年に小説版『とある魔術の電脳戦機』が刊行されるのだが、まずこれが見事なまでに『禁書』と『バーチャロン』の世界がクロスオーバーした作品だった。『禁書』側の世界で『電脳戦機バーチャロン』というゲームが流行っている設定で(しかも実際の街中に巨大ロボが投影されるシステム! やってみたい!)、主人公当麻は通常の『バーチャロン』では起きてはならない未曽有のアクシデントに巻き込まれ……というようなお話。ベースとなる物語は『禁書』だが、なんだったら『バーチャロン』のノベライズとして楽しんでもいいんじゃないかという内容で、『バーチャロン』の設定がしっかり落とし込まれていた。

▲『とある魔術の電脳戦機』の物語の中で、ゲーム『電脳戦機バーチャロン』が流行っている、という設定だ

それだけ見事な融合を見せてくれた本作なのだが、『禁書』の小説やアニメを知らない人は本作のストーリーがちょっとわかりにくい部分もあるかもしれない。せっかくプレイし始めたのだから、やっぱりストーリーモードもしっかり楽しんでほしい。そんなキミのために、今から『禁書』シリーズを楽しむためにはどうしたらいいかを伝授したいと思う。

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