Interview

Special Legend Interview(前)

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【スペシャル・レジェンド・インタビュー】ジョルジオ・モロダー

ディスコの“父”。サントラブームを作った男の帰還。

インタビュー・文/新谷洋子

思えば、1980年代の終りになってあなたは、ヴィジュアル・アートに興味を転じて半ば音楽界から引退しましたが、実は音楽よりも前にアートに関心を持っていたそうですね。

確かにそう言えるんだろうね。ただそれはかなり若い時で、14~15歳の頃にアートを勉強したんだ。でもそれからギターを弾き始めて、音楽に興味が移った。そして随分時間が経ってからアートに戻ってきて、改めて勉強して、展覧会などもしたよ。

当時はやりたいことをやり尽くしたような気分だったんでしょうか。

まあ、それもあるのかな。面白いプロジェクトに出会えなくて、音楽から心が離れていた。それに僕はあの時点で既に、ポップミュージックをやって、ディスコとダンス・ミュージックをやって、ロックもやって、『フラッシュダンス』や『トップガン』のなどの映画音楽も手掛けていたからね。まだやったことがなかったのは、ミュージカルだけだった。ただ、ここにきて実はミュージカルに関わることになりそうで、それでやりたいことは全部制覇したことになるかな(笑)。

1983-フラッシュダンス
サウンドトラック
『フラッシュダンス』1983
Universal Music
1986トップガン
サウンドトラック
『トップガン』1986
Sony Music Japan International

その間も、いつか音楽にカムバックすると思っていたんじゃないですか?

いや、実は自分ではそれはわからなかった。でも最近になって、まずDJをやってほしいというオファーが次々に舞い込んだんだ。最初はルイ・ヴィトンからファッション・ショウでのDJを依頼されて、次にエルトン・ジョンに頼まれて、カンヌ映画祭の会期中に彼が主催するパーティでDJをして……。そしてご存知のようにダフト・パンクとのコラボがあって、あれがきっかけで動きが本格化して、ゆっくりと自然な感じでカムバックした感じだね。

そのダフト・パンクとのコラボ曲「Giorgio By Moroder」は、音楽的コラボではなく、あなたが人生を振り返るスポークンワードを使うという、非常にユニークな形をとりましたよね。

そうなんだよ! 正直言って、ちょっとがっかりしたんだ(笑)。ダフト・パンクのトーマからコラボをしたいという連絡をもらった時の僕は、「ああ、一緒に音楽を作れるんだ、面白いことになりそうだぞ」と本当に興奮してね。色々と想像しながら、パリにある彼らのスタジオを勇んで訪れたんだが、なんとそうじゃなくて、人生を振り返って欲しいというんだ。それであれこれ脈絡なく話したんだ。ディスコへのオマージュに仕立てていて、サウンド面でも曲の仕上がりはすばらしかった。でも、やっぱり少し落胆させられたことは間違いないね(笑)。

2013ランダム・アクセス・メモリーズ
ダフト・パンク
『ランダム・アクセス・メモリーズ』2013
Sony Music Japan International
*「Giorgio by Moroder」収録

『デジャヴ』は間違いなくフロアと相性が良さそうですが、ここ数年のDJ 体験も反映されたのでしょうか。

いいや、それはなかったよ。確かにこれはダンス・アルバムではある。でもここにはあの、長い流れで見せる、クラブならではの特徴性はない。アルバムを構成する曲は耳触りが良くて、聴き易い曲でなければならない。ラジオでちゃんとかかるようにね。それにクラブ用としては、ほかのアーティストたちがやっているように、別途新しいリミックスを用意するつもりなんだ。だから2つは切り離している。リミックスではもっともっとドラムやリズムを強調できるからね。その点、アルバムに収めた曲はあくまでポップ・ミュージックなんだよ。

デジャヴュと言えば、ジャケットがまさしくそうで、あなたの傑作『From Here To Eternity』(1977年)のジャケットへのオマージュでもあります。スピリットの面でも2枚のアルバムに共通項があったりするんでしょうか?

それはないかもしれない。純粋にヴィジュアルのネタにしたまでで、あの時代の僕は、ヒゲとサングラスがトレードマークで、誰もが知っているひとつのスタイルとして定着していた。それで、「あれをリメイクしようじゃないか」という話になった。まさにデジャヴュということで、同じイメージを復活させようってね。いまだ多くの人々が、僕をあのイメージで覚えているだろうから。少し遊ばせてもらった感じだね(笑)。

1977-From-Here-To-Eternity
GIORIO MORODER
『FROM HERE TO ETERNITY』1977
輸入盤
1978-Midnight-Express
Soundtrack
『Midnight Express』1978
輸入盤
1980アメリカン・ジゴロ
サウンドトラック
『アメリカン・ジゴロ』1980
輸入盤

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