Interview

全世界同時配信アニメに彼らが懸けたもの。“2周観てほしい”硬派SF『A.I.C.O. Incarnation』主演・白石晴香&小林裕介インタビュー

全世界同時配信アニメに彼らが懸けたもの。“2周観てほしい”硬派SF『A.I.C.O. Incarnation』主演・白石晴香&小林裕介インタビュー

数々の名作を世に送り出してきたアニメーションスタジオ・ボンズと、劇場版『鋼の錬金術師 嘆き(ミロス)の丘の聖なる星』や『翠星のガルガンティア』で知られる村田和也監督による強力タッグ。Netflixオリジナルアニメ『A.I.C.O. Incarnation』(アイコ インカーネイション。以下、『A.I.C.O.』)は、人工生体をキーワードに硬派で骨太な人間ドラマを描くバイオSFアクションだ。先の見えないミステリアスな展開と手に汗握るクリーチャーバトル、驚愕の真実が息もつかせず襲い来る『A.I.C.O.』の魅力と、Netflixオリジナルアニメに初出演した所感について、主人公・橘アイコを演じる白石晴香と神崎雄哉を演じる小林裕介に語ってもらった。

取材・文 / 阿部美香 撮影 / 山本哲也


劇場版アニメに近い感覚とクオリティ

<『A.I.C.O. Incarnation』あらすじ>
人工生体研究中に起きた大事故”バースト”により、暴走した人工生命体”マリグナント・マター”に侵蝕されてしまった黒部峡谷一帯。それから2年後の2037年、バーストで家族を失った15歳の少女・橘アイコは、謎を抱えた転校生・神崎雄哉と出会い、アイコは彼女の身体に隠された”秘密”とそれを解き明かす”鍵”が、バーストの中心地”プライマリーポイント”にあると告げられる。人類未曾有の災厄に終止符を打つため、アイコは案内人である神崎雄哉、そして護衛部隊のダイバーたちと共に、封鎖されたエリアへの侵入を決意するが……?

白石晴香(写真左)、小林裕介(写真右)

『A.I.C.O.』は現在、Netflixで世界同時配信中ですね。いわゆるTVシリーズのアニメとは視聴者のスタンスにも違いがあると思いますが、おふたりが演者として意識したことは何でしたか?

小林裕介 収録自体はふだんのTVアニメと変わらないので、アフレコ中は特に感じなかったんですが、配信が始まってからすごくそわそわしました。本当にみんな観てくれてるのかな? と。

白石晴香 配信なので、視聴者のみなさんのリアクションが、なかなかわからなくて。

小林 そうなんですよ。TVアニメの場合はSNSでリアルタイムの感想を知ることができるんですけど、配信はみなさんが自由にご覧になるので、僕らも心構えができないですからね。

白石 そうですね、TVアニメのようにリアルタイムの実況があれば。でもTwitterに「『A.I.C.O.』観ました!」と少しずつリプライをいただけていて、すごく嬉しいですね。

配信がスタートしたのが3月9日からなので、これから徐々に感想が集まってくるのかもしれないですね。

小林 そういう気がします。あと、TVアニメは放映が始まってからもアフレコをやっていることが多いんですが、『A.I.C.O.』は全12話一挙配信なので、アフレコはもう1年ほど前に終わっているんです。そういうところもTVアニメとは感覚が違いますね。

白石 劇場版の感覚に近いなと思いました。すべてが終わってから、「さあ、ご覧ください!」と、自信を持ってオススメしたい気持ち。

小林 非常にこだわった作りになっているのが、僕も観ていてもよく分かります。

しかも世界配信ですからね。海外で同時に観られている感覚はいかがですか?

白石 実は、それもまだ実感がわかなくて……。

小林 何度かイベントでアジアの国々を訪れているのですが、直接感想を聞く機会があるおかげで「あ、本当に海外でも見てくださっているんだな」という実感はあります。でもそれ以外の、例えばヨーロッパでも日本のアニメが観られているのかな? どうなのかな? というのは、正直なところ実感がまだ薄いです。

白石 私は「AnimeJapan 2018」のステージイベントに出演して、客席にちらほらと海外の方がいらっしゃっているのを見て初めて、「世界配信ってこういうことなんだ」と実感しました。

小林 『A.I.C.O.』には、アメリカのSF映画や海外ドラマ的な雰囲気もあるので、欧米の方にも受け入れられやすいとは思うんですが……なんともまだ未知の領域ですね(笑)。

これからは、欧米のアニメ好きからもファンレターが来るかもしれないですよ?

小林 マジですか?(笑)

白石 わ~っ! 各国で日本のアニメは高く評価されているので、『A.I.C.O.』も世界中の方に応援してもらえたら嬉しいですよね。

“なるべく意味深”に演じるのに苦労しました(小林)

橘アイコ

『A.I.C.O.』は物語に謎が多く、話が進んでいくと真実が徐々に明らかになって、キャラクターたちの気持ちが二転三転するところはまさに海外ドラマ的ですよね。そのぶん、内容をお伝えしようとすると、すべてがネタバレになってしまう。特におふたりの役どころは、物語の根幹に関わる謎を秘めている。どこまで伺っていいのか、取材するほうも難しいです(笑)。

小林 あー、たしかに(笑)。

白石 私も今までは、日常系の作品に出させていただくことが多かったので、なかなか難しいですね(笑)。私が演じている橘アイコちゃんは、事件に巻き込まれる人。視聴者に一番近い目線なので、演じていてもすごくドキドキ感がありました。そこは、最初からいろんなことを知っている神崎雄哉くんとは違うところかな?

小林 そうなんですよ(苦笑)。雄哉は、劇中でアイコにもいろいろなことを説明しているし。なるべく意味深に演じるのには苦労しましたね。意味深な物言いには理由があるんですが……、こうして取材でお話しできることが、この作品は限られているので(笑)。

ということで、改めておふたりからネタバレにならない範囲で、橘アイコと神崎雄哉がどんな人物かを紹介していただけますか?

白石 橘アイコちゃんは、少し天然なごく普通の明るい女の子。どこにでもいる普通の女子高生なんですが、とある真実が自分の身に隠されているんです。今まで何も知らず過ごしていたのですが、神崎雄哉くんと出会い、信じられない出来事にどんどん巻き込まれていくことで、彼女の家族に対する強い想いが見えてきます。最初はダイバーのみんなに守られていた彼女が真実に近づくにつれ、成長していく。その成長も、アイコちゃんの魅力の一つだと思います。

始めはダイバーたちに守られていたアイコが、戦うシーンもありますし。

白石 そう、頑張ってましたね、普通の女の子なのに(笑)。アイコだけじゃなく、他のダイバーたちも、途中まで、「なぜこの子たちを、危険な場所まで連れて行かなければいけないのか?」と不審に思いながらも戦っているんですが、真実が明かされていくことで、それぞれのキャラクターが背負っているものも見えてくるんです。キャラクター同士の葛藤が、より絆を深めていく。そういった部分も見どころの一つですね。

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