UNISON SQUARE GARDENを巡る旅  vol. 1

Review

UNISON SQUARE GARDENを巡る旅  Part.Ⅰ:Special DVD Review

UNISON SQUARE GARDENを巡る旅  Part.Ⅰ:Special  DVD  Review

スリーピースが織りなす極上のヴォーカル

スリーピース(3人)・バンドの場合、ヴォーカリストが何らかの楽器を担当する必要があることは、ロック史が物語っているが、ギターリストがヴォーカルも担うというケースは、あまりないように思う。
UKのバンド:クリームは、リード・ヴォーカルをベースであるジャック・ブルースが取っていたし、エマーソン・レイク&パーマー(ELP)は、同じくベースのグレッグ・レイクがヴォーカルを担当していた。と言っても、ELPはクラシック音楽を基盤にしたプログレッシブ・ロックの範疇にあったゆえ、インストゥルメンタル楽曲が主体であり、したがって、リリックを持ついわゆる“歌もの”の場合、レイクはアコースティック・ギターを弾くことが多かった。そして、かのポリスも挙げないわけにはいくまい。
ベースとヴォーカルのスティングは、いや、ギターのアンディ・サマーズもドラムスのスチュアート・コープランドも、“サウンドの塊”を歌詞とともに吐き出してきたパンクロック隆盛の1970年代後半にあって、演奏力量的に他のパンクバンドと一線を画すほどの高度なものを持っていたが、それが解るのが、シンコペーションとブレイクであった。リズムの刻みの自由度が増すシンコペーションは、担当する楽器の自由度の幅を広げることにより、プレイヤー個々人の特性を明らかにし、ブレイクによって、瞬間的に3人が結節する“バンド感”を現前させたことを、今一度思い出したい。

UNISON SQUARE GARDENは、今更言うまでもなくスリーピース・バンドであり、ヴォーカルの斎藤宏介の担当楽器がギターであることから、バッキングとして“リズムを正統的=オーソドックスに刻む”場面が増えるのは必然的であり、半ば自明の理だ。カッティングとストロークのちょうど中間的なバッキングを斎藤が多用するのは、何らかの美意識と同時に“歌うことに(自分を)集中させる”ために編み出したものではないか? と思う。
ベースの田淵智也とドラムスの鈴木貴雄は、一聴して(悪く言えば)歌に寄り添わない奔放なリズムを送出する。シンコペーションとブレイクの横行が、歌ものをぶち壊しかねない状態を、聴感上で巻き起こすのである。だがしかし、それは聴き手として“まだまだ”な状態であり、よく聴いていくと、もっとも正統的=オーソドックスなのは、斎藤のヴォーカルなのであり、実は、彼のヴォーカルがバンド演奏の中心線になっていて、田淵のベースと鈴木のドラムスはプレイヤー個人の特性を出しながらヴォーカルの引力圏内にいるという、ほとんど逆説的な事態を知ることとなるのである。

その逆説的な事態に、僕は2015年5月にリリースされた10作目のシングル楽曲「シュガーソングとビターステップ」を熟聽するまでは気づかなかった、遅れてきた無能なリスナーである。これまで、“INAZUMA ROCK FES”や“リスアニ!ライブ”などで、UNISON SQUARE GARDENのパフォーマンスを目の当たりにしていながら、どうして、その事態に気づかなかったのだろう……と、自分にバカの烙印を押したい気分でいっぱいである。

「シュガーソングとビターステップ」が新たな指標となりつつ、15年7月に初の日本武道館ワンマンライブを収めた本作は、遅れてきたリスナーである僕にとって、目からうろこ的なパフォーマンスが充満している作品だ。
特にライブ後半で演奏される「光のどけき春の日に」や「クローバー」といったミドル・チューンは、「シュガーソングとビターステップ」を入り口にしたからこそ解ってくる極上の歌ものなのだった。

ともあれ、バンド結成11周年記念日に開催された武道館ワンマンライブの作品にて、気づくことができた点は、今後、自分自身で咀嚼しながら、彼らの作品やライブに投影し推理考察していくこととしたい。デビュー当時から、UNISON SQUARE GARDENのファンであり、本作品のライブ会場に足を運んだオーディエンスは、間違いなく、先見の明があると言えよう。そのことを、本稿の末尾に記して、僕は遅れてきた愚鈍なリスナーとして、UNISON SQUARE GARDENのワンマンライブに刮目し、全身の毛穴を開いて視察してくる所存である。

text / 佐伯明

UNISON SQUARE GARDEN

透明感に溢れながらも個性的なトゲを持つ斎藤宏介のボーカルとエッジが効いたコンビネーション抜群のバンドアンサンブルが共鳴共存するROCK/POPの新世界。
キャッチーなメロディーラインと3人の個性が織りなす鮮烈なライヴパフォーマンスで右肩上がりにセールスと動員を延ばし続ける3ピース・ロックバンド。

オフィシャルサイトhttp://unison-s-g.com/

リリース情報

USG_ft724DVD_jacket
UNISON SQUARE GARDEN LIVE SPECIAL“fun time 724″ at Nippon Budokan 2015.7.24 New DVD 2016.01.27 Release

[2DVD]TFBQ-18173 ¥4800+税

<収録曲>
01.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
02.リニアブルーを聴きながら
03.MR.アンディ
04.ため息shooting the MOON
05.マスターボリューム
06.サンポサキマイライフ
07.ワールドワイド・スーパーガール
08.like coffeeのおまじない
09.スカースデイル
10.シュガーソングとビターステップ
11.23:25
12.天国と地獄
13.プログラムcontinued
14.光のどけき春の日に
15.クローバー
16.harmonized finale
17.シュプレヒコール~世界が終わる前に~
18.桜のあと (all quartets lead to the?)
19.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
20.シャンデリア・ワルツ
21.ドラムソロ~セッション
22.場違いハミングバード
23.ガリレオのショーケース
24.センチメンタルピリオド
-ENCORE-
25.3 minutes replay
26.kid, I like quartet
27.フルカラープログラム

vol.1
vol.2