Interview

坂口有望 まさに未完の大器。1stアルバム『blue signs』に込めた彼女の青春と成長過程を、たっぷり語ってもらった。

坂口有望 まさに未完の大器。1stアルバム『blue signs』に込めた彼女の青春と成長過程を、たっぷり語ってもらった。

この春に高校3年生になった大阪在住のシンガーソングライター、坂口有望。中2で初ライブを行った彼女は、14歳の時に人生で初めて作った楽曲「おはなし」や「地球-まる-」、15歳の今を詰め込んだ「ばかやろう」や「好-じょし-」、16歳女子の妄想が広がる「革命を」「さよならロマン」など全14曲を収録した1stフルアルバムに『blue signs』というタイトルをつけた。彼女にとって“blue”=“青春”とはどんな時期であったのか。未だ思春期真っ只中にいるであろう彼女に、アコギを持って歌い始めた3年間を振り返ってもらった。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 森崎純子


1曲1曲が本当に私の大事な青春やから

1stアルバムには坂口有望さんが14歳から16歳までの期間に作った楽曲が収められてますが、初期の頃から「終わり」を意識した歌詞が多いですよね。

そうですね。今もそうなんですけど、初めてのこととか、始まってまだ間もないことが多いから、どうしても自然と終わりがあるっていうことを感覚が自分に中にあって。でも、いつも、そうやって終わりを意識してるわけじゃなくて、曲を作ることによって、いつか思い出すきっかけになればいいなって。ずっと終わりを考えていたらしんどいし、いつも考える話じゃないんですけど、心の何処かに留めておきたいないう意味で曲にしてるのはあると思います。

始まりが多い分だけ、終わりを意識することも多いっていうことですよね。でも、始まったものに対して、これはいつか終わるんだなって考えること自体、ちょっと大人の感情かなって思うんですよ。例えば、恋愛でも、10代の頃はいつか終わるなんて思わずに始める人が多いじゃないですか。

14歳や15歳の時って、ほんまの自分よりも大人っぽく見られたいとか、賢そうに見られたいとか、背伸びして歌詞を書いていることがあったんですよ。今は全然そんなことないし、永遠を信じてる部分もあるけど、よりシリアスな大人っぽい考えというか、冷静な考えを曲にすることが多かったんやと思います(笑)。だから、普段からそういうことを考えてる中学生ではなかったと思います。

では、中学生時代を振り返ると、一番最初に何を思い出します?

中2の最後からライブ活動を始めたんですけど、正直、ライブを始める前の記憶はほぼなくて(笑)。ライブを始めてからは濃厚やったし、自分の体感速度もめちゃ速くて。ほんまにライブハウスに出始めたころって、お客さんも0の状態から始まったんですよ。で、お世話になってるライブハウスの人が、ひたすらライブに誘ってくれて。やから、すごい場数をこなしたんですよね。中学の時って。

それはいい経験ですよね。中学生がライブに出るってかなり珍しいけど。

そう、中学生のシンガーソングライターっていないじゃないですか。中学生のバンドマンもいないし。高校生以上のバンドマンの中でライブをしていたので、強気じゃないとライブができなくて。いつも強い気持ちでおったら、自然と尖っていってましたね(笑)。

当時の曲を聞くと、自分でも尖ってるなって思います?

めっちゃ思います。「14才の唄」もアイツに負けたくないって書いてるし。めっちゃ尖ってるって思いました。

14歳の時は、尖ってることが大人やし、かっこいいと思ってたけど、今は尖ってることが正しいことやと思ってない

その気持ちは今はないですか?

変わってますね、だいぶ。14歳の時は、尖ってることが大人やし、かっこいいと思ってたけど、今は尖ってることが正しいことやと思ってないし、むしろ、子供やなって思えるから。今は成長したのかなって思ってます。

じゃあ、「14才の唄」の<大切なことを わすれないように><大切なこと 失くさないように>にはどういう思いが込められてました?

14歳でライブとかしてると、「なんでライブハウスに立とうと思ったの?」とか、「なんで歌ってるの?」とか、聞かれることがすごく多かったんですよ。やけど、自分はそれをわかってしまっていたら、歌い続けてないと思っていて。歌う理由を探し続けるために歌ってるんやなって思ったんです。だから、曖昧な言葉で逃げるっていう感じがします、なんか。

何か具体的に<大切なこと>をイメージしてたわけではないんだ。

たぶん、曖昧にすることが自分の中で大事やったんやと思います。だから、<大切なこと>っていう、大まかな言葉でまとめたんかなって。

歌う理由として、<大切なこと>をなくさない、忘れないっていうことと、もう一つ、<誰かが明日も生きていけるように>と歌ってますよね。この、自分のためだけじゃなく、他者のために歌うっていう姿勢も大人っぽいなと感じました。

あ、それはずっとありました。小さい頃から、しんどいことがあったときは、音楽を聞いて、それで自分自身が救われることが多かったので。その体験を、その現象を私が起こしたいっていう気持ちでライブをしてたので。いてくれる人っていうのはずっと意識してました。

15歳は、頑張って自分なりに、全てをわかってるような顔をしてたいっていう年やったと思ってて

「15歳の詩」では、<終わりに向かって生きてるんだ>っていうことを自覚しながら、<大事なこと>が<わからない>と言ってます。

14歳の時はひたすら尖ってるっていう感じやったけど、15歳は尖ってるのをやめて、自分が大人になろうとしてるのに全然できひん、みたいな年やったんです。15歳は、頑張って自分なりに、全てをわかってるような顔をしてたいっていう年やったと思ってて。一番、大きく見せたがりやった。物事を難しく難しく、捉えようとしてたなって思います。14歳の時にひたすら尖ってるっていうことが正しいとは限らへんって気づいて、見失い出して。15歳になって必死に、大事なことを探してるけど、わからへんっていうのを繰り返した時に書いた曲なんですね。歌いながら、大事なことがわかればいいな、くらいの気持ちで書いていると思います。だから、これも、それが何かっていうのはまだ見い出せてない感じ。

16歳になって、自分の気持ちがあるから曲を描こうっていう風に変わったんですよ

じゃあ、16歳はどんな年でした?

まず、メジャーデビューしたのが大きかったんです。14歳と15歳をインディーズ時代っていう感じで振り返ることができたなって思ってて。14歳15歳の時は、曲を作るっていうのが前提にあって。曲を作るから、自分の気持ちを曲に入れるっていう感じやったんですけど、16歳になって、自分の気持ちがあるから曲を描こうっていう風に変わったんですよ。

順番が逆になったんですね。曲に気持ちを載せるんじゃなく、気持ちを曲にするっていう。

だから、背伸びした曲も書かんくなったし、大人っぽくみせようとも思わなくなったし。「16さいのうた」には、自分の思った素直な気持ちがそのままかけたなって思ってます。やからこそ、もう年齢シリーズは終わりでいいかなって。初めて、自分の思ってることを素直にかけたから、もういいかって。

ほんまの自分が広まって欲しいしって思ったんですよね

プロになってからの方が素直にかけるようになったっていうのは不思議ですね。普通は逆ですよね。よりカッコ良く、大きく見せたいと思うのが人情じゃない?

たぶん、成長したから、大きくみせようとかも思わなくなったんですよ。ほんまの自分のリアルを見て欲しいというか。メジャーデビューして、人に知ってもらう機会も増えて。自分の音楽が広まる早さもびっくりするくらい変わって。やから、自分じゃない、自分より大きく見せたり、自分とちゃうものが広まって行くのは違う気がしたんやと思います。ほんまの自分が広まって欲しいしって思ったんですよね。

それは本当の自分に自信がある証拠でもありますよね。

湧いてきたんやと思います。メジャーで広まって行くのと同時に、応援してきてくれる方も増えてきて。ライブでみんなの声を実際に聴く機会も増えて。本当の自分を出しても、大丈夫なんやってどこかで自信が湧いたから書けたんやと思います。

もう子供じゃないけど、大人でもない<16さいのうちは><奇跡はもう待ってないけど信じてたいの>と歌ってます。

14歳や15歳の時は、奇跡的なこととかが、いつか起こってくれたらいいなっていう軽い考えを持ってたんですけど、16歳になってメジャーデビューして。運もあったんですけど、ライブを重ねて、場数を踏んで、曲を書いてこそ掴み取れたメジャーデビューだったと思ってて。ミラクルばっかり信じてへんと、努力して、奇跡的なものを掴み取るっていうことを覚えた。やから、ずっと奇跡を待ってるわけじゃないけど、自分で努力すればいつか叶うんじゃないかっていう意味で、奇跡を信じてたいって感じてます。

17歳になった今、<大切なこと><大事なこと><信じてること>はなんですか? って聞かれたらどう答えます?

うーん、なんやろ、その歌を通して、自分が伝えたいことを大事にしてます。どう伝わるかとはまた別に、自分が何をどう伝えたかったかっていうのは変わらないことやから、それを大事にしてますね。それが一番出るのが歌やから、歌のテイクは結構、入念ですね。歌は力を入れてますね。

では、アルバムの中で一番最近、歌を入れた曲は?

「革命を」と「お別れをする時は」が同じくらいですね。「革命を」はタイトルに似合わず、めちゃめちゃ可愛い曲になってて。私は中高一貫の女子校なんですけど、共学の女の子が学校に好きな人がおるときって、毎日会うから、まだいいや、みたいな気持ちがあるんかなとか、いろいろ自分で想像しながら、にやけながら作って。好きやけど、この関係も終わらせたくない。やけど、どこかで革命を起こして、ぐっと二人の距離を縮めたいっていう純粋な女の子の抑えられへん気持ちを想像して、その女の子に成り切って歌いました。あははははは

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