Interview

4人のジャンキーたちの不毛な夢。谷賢一と細田善彦が目指す『High Life/ハイ・ライフ』の世界──そこは地獄か!? 天国か!?

4人のジャンキーたちの不毛な夢。谷賢一と細田善彦が目指す『High Life/ハイ・ライフ』の世界──そこは地獄か!? 天国か!?

ドン引きさせたら勝ち。刺激のあるものも演劇の、芸術の重要な役割のひとつ

破滅的な物語ですけど、稽古場は和気藹々としてるんですね。

細田 芝居について「例えばこんな感じだよ」っていう例え話が、どんどん脱線して、広がっていく感じの面白い稽古場なのかなと思いますね。芝居をしている時間よりも話している時間のほうが長いんじゃないかなっていうくらいずっと喋ってる。だけど、稽古自体はかなり真面目に向き合ってると思います。

 そうね。今、稽古の進みが思ったより早すぎて困っています。これは喜ばしいことなんですけど、物事には熟成させる時間が必要だし、焦って駆け足のように作っていくことは決していいことではなかったりもするので。俳優が努力しているからこそで、ありがたいことではあるんですけど、ちょっと、点検し直す作業をしないといけないなと考えております。

稽古はあと1ヵ月弱ありますが、どんな舞台になりそうですか?

細田 僕目線で言うと、どこまで受け入れてもらえるんだろうっていう心配がありますね。お客さんがドン引かないといいですよね?

 いや、引いていい! ドン引きして帰ればっていう。

細田 あはは!

 ドン引きさせたら勝ちですよ。最近、口当たりのいいお芝居や作品が多すぎるので、口に入れた瞬間にウェッて吐き出したくなるようなものとか、匂いがきつくて鼻をつままないと耐えられないっていう刺激のあるものもあっていいし、仕事帰りに観て疲れを癒すっていうものだけが演劇の役割じゃなく、お客さんの頭をぶん殴ったり、横っ面引っ叩いたり、あるいは、目ん玉を飛び出させたりするのも、演劇の、芸術の重要な役割のひとつだと思うので。僕に言わせれば、『High Life』は、もとはウェルメイド寄りの本だと思うんです。でも、ウェルメイド(上質)な仕立てにせずに、客席を攻撃したり、感覚を逆撫でしたり、ちょっと見てはいけないものを見てしまったっていう時間をどれだけたくさん作れるかが勝負かな、と思っています。そもそも、薬物の話ですしね。世の中、「薬物危ない。ダメ絶対!」とは言うけど、薬物の世界にどんな魅力や快楽があって、人の心にとってどれだけ甘い誘惑なのかっていうことはタブーのように語られなくなってしまっている。けれど、そこをきちんと伝えるっていうことも薬物問題には必要だと思うんですよ。「ドン引き上等」って言いましたけど、べつにお客さんを不愉快にさせることが目的ではないし、観客にとって何か今までと違う感覚とかものの見方ができるように、ある種のショックを持った作品にしたいなと思っています。

4名のキャストに加え、音楽と映像も密接に関わってきそうですね。

 そうですね。本来は自然主義のストレートな会話劇だった『High Life』を、音楽と映像の中に溶け込ませていくっていう表現の実験をやっているところもあるので、そのへんの融合がうまくいけば、それこそ、観客席にいながら、少し違う世界の裏側みたいなものが見れるんじゃないかと思うので、そこはぜひ注目して観ていただきたいと思っています。もうね、クスリやりたいなと思ってる人とかにもぜひ観に来て欲しい(笑)。

細田 あはは。過激ですね(笑)。

(笑)最後に、蛇足にはなりますが、個人的に何か“中毒”になっているものを教えていただけますか?

 カレーが大好きなので、カレーを食べ続けていますね。週一回は食べないと禁断症状が出るし、4日連続でも全然いい。昨日も夜中に急に食べたくなって、コンビニに行って、わざわざカレーを買ってきたり。だから、カレーを食べ続けております。

細田 僕、朝起きて、必ずコンビニに行くっていう習慣があって……朝ごはんとして親子丼を必ず買います、必ずです。ただ、僕の近所のファミマは2個しか仕入れないので(笑)、なかったら中華丼にするんですけど、毎朝起きたらコンビニに行って、親子丼を温めてもらって食べるっていうのをずっと繰り返していますね。あと、引越しフェチで、つねに更新前に引っ越すんですよ。だから、引っ越したばかりなのにすぐに引越し先を探すので、一年中、引越しサイトを見てますね。住宅情報サイトを見るのが楽しくてしょうがない。

 お! 俺、今度引越ししようと思ってるから、代わりに探してくれる?

細田 いやいや、不動産屋ではないですよ(笑)。でも、毎日見ているので、オススメ物件があったら教えますね。

『High Life/ハイ・ライフ』

2018年4月14日(土)~4月28日(土)あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)

STORY
集まった男4人はいずれもジャンキー。保護観察中のディック(古河耕史)、出所したばかりのバグ(伊藤祐輝)、女性関係で追い込まれているビリー(細田善彦)、腎臓がひとつしかないドニー(ROLLY)…… 人生に行き詰まった彼らは、一発逆転を狙って大金を手に入れようと、ディックが思いついた“ある計略”に乗って、銀行のATMを襲うために渋々手を組む。ディックの期待、バグの苛立ち、ドニーの緊張、ビリーの高揚……盗難車の中で息を潜める4人のテンションが極限まで張り詰めて、一触即発の事態が──。
※この物語は、違法薬物の使用等についての反社会的な思想や行為を容認するものでは決してありません。

作:リー・マクドゥーガル
翻訳:吉原 豊司
演出・上演台本:谷 賢一

出演:古河耕史 細田善彦 伊藤祐輝 ROLLY


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谷 賢一(たに・けんいち)

作家・演出家・翻訳家。1982年、福島県生まれ、千葉県柏市育ち。DULL-COLORED POP主宰、Theatre des Annales代表。2013年に『最後の精神分析』の翻訳・演出を手がけ、第6回小田島雄志翻訳戯曲賞、文化庁芸術祭優秀賞を受賞。近年では海外演出家とのコラボレーション作品も多く手がけ、シルヴィウ・プルカレーテ演出『リチャード3世』、フィリップ・デュクフレ演出『わたしは真悟』、シディ・ラルビ・シェルカウイ演出『PLUTO』、アンドリュー・ゴールドバーグ演出『マクベス』、デヴィッド・ルヴォー演出『ETERNAL CHIKAMATSU』などに、それぞれ脚本や演出補などで参加している。2016年、セゾン文化財団ジュニア・フェローに選出。また同年より新国立劇場・演劇研修所にて講師を務める。近年の代表作に『三文オペラ』(上演台本・演出)、『デジモンアドベンチャーtri. ~8月1日の冒険~』(上演台本・演出)、『白蟻の巣』(演出)、『わたしは真悟』(脚本)、『テレーズとローラン』(作・演出)、『ETERNAL CHIKAMATSU』(脚本)、『オーファンズ』(翻訳)、『TUSK TUSK』(演出)、『ペール・ギュント』(翻訳・上演台本)、『マクベス』(演出補)、『死と乙女』(演出)、『PLUTO』(上演台本)などがある。

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Twitter(@playnote)

細田善彦(ほそだ・よしひこ)

1988年3月4日生まれ、東京都出身。近年の主な出演作に【舞台】『ガラスの仮面』(蜷川幸雄 演出)、『飛び加藤』(河原雅彦 演出)、『ハルナガニ』(内藤裕敬 演出)【映画】『終の信託』(周防正行 監督)、『下衆の愛』(内田英治 監督)、『羊の木』(吉田大八 監督)【テレビ】『真田丸』(NHK)、『2度目の旅』シリーズ(NHK)、『ペテロの葬列』(TBS)、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)、『民衆の敵』(CX)、『石つぶて』(WOWOW)などがある。また、公開待機作に初主演映画『武蔵-むさし-』(2019年公開)を控えている。

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