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『戦場のヴァルキュリア4』 長い沈黙を破って登場した続編、その正体とは?

『戦場のヴァルキュリア4』 長い沈黙を破って登場した続編、その正体とは?

2018年3月21日にPlayStation®4用ソフトとして発売された『戦場のヴァルキュリア4』(以下、『戦ヴァル4』)。携帯ゲーム機のPlayStation®Portableで発売された前作からじつに7年ぶりとなるナンバリングタイトルで、シリーズファンにとっては待ちに待った作品と言えるだろう。2017年1月に発売された『蒼き革命のヴァルキュリア』は、戦場ドラマを描くヴァルキュリアプロジェクトの作品ではあるものの、世界設定やゲームシステムが一新されていたが、本作は原点に回帰。大きな変更は、迫撃砲を使用できる兵科“擲弾兵”や戦闘の支援が行える拠点“雪上巡洋艦”の追加などに留めているが、全体的な遊びやすさは向上。物語やキャラクターは新たなものが用意されており、シリーズ1作目や3作目と同じ“第二次ヨーロッパ大戦”を新たな視点から楽しむことが可能だ。シリーズファンが納得の仕様になって帰ってきた往年の名作シリーズ最新作、その魅力をシステムの解説とともに紹介していく。

文 / ドロシー伊藤


特徴的な戦闘システムと表現方法

『戦ヴァル』シリーズの特徴のひとつとして、BLiTZ(Battle of Live Tactical Zone systems)と呼ばれる戦闘システムがある。ターン制のシミュレーションRPGでありながら、戦闘はTPS(三人称視点シューティング)風の操作方法で行うのだが、移動時は敵味方合わせてリアルタイムで時間が進行する。自軍のターンであっても、敵の射程に入れば反撃を受けるため、武器の射程や視界を十分に把握した戦略が必要になってくる。また、敵の行動時には味方が自動で反撃を行ってくれる。敵歩兵の進行ルートに対人能力が高い突撃兵を配置しておくと、マシンガンでバリバリと迎撃してくれるので爽快だ。考えて遊べる下地がのめり込みを誘う。

▲ユニットの行動選択画面は一般的なシミュレーションゲームと同様で俯瞰視点のマップ。味方は青、敵は赤の兵科アイコンで表示されるが、視認できていない敵ユニットはマップ上で見ることができない。画面上部にあるCPのアイコンは、ターン内に行動できる最大回数で、次ターンへの持ち越しも可能なのが本作の特徴のひとつ

▲行動するユニットを選択すると移動&攻撃画面に移行する。移動中は“行動力(AP)”を消費、尽きるとその場から動けなくなる。シミュレーションとして変わっているのは、CPが消費できれば同ユニットが何度も行動できること。マップによるが、行動力の高い偵察兵なら1ターン目で敵拠点を制圧できることがある

▲移動中にR1ボタンを押すと攻撃行動の準備状態(ターゲットモード)になる。時間の進行が一時的に止まるので、使用する武器を選んだり敵の弱点を狙う行動は焦らずにゆっくりと行える。歩兵の頭部や戦車のラジエーターなど、弱点にヒットさせると少ない弾数で倒せる

▲『戦ヴァル』シリーズといえば、効果音ならぬ効果文字。移動音や攻撃音などが、音声とともに文字でも表示される。このあとで説明するCANVASの効果も相まって、画面自体が動くカラー漫画のような見た目になるのが面白い。音だけの表現に比べて迫力が増し臨場感が高まる

BLiTZとともに忘れてはいけないのが、CANVASという水彩画のような風合いの世界。これは、2008年にPlayStation®3用ソフトとして発売されたシリーズ1作目でも採用されており、その美しい映像は大きな話題となった。『戦ヴァル2』と『戦ヴァル3』では、携帯ゲーム機の仕様上使用されていなかったが、本作ではプラットホームの性能向上とともにパワーアップして帰ってきている。戦闘の舞台にもなる街中や草原といったエリア、人気イラストレーターの本庄雷太さんがデザインした魅力あるキャラクターたち、そして緻密に描かれた戦車や武器などが手書き感あふれる絵画のように表現されているので、ファンならずとも感嘆の声を上げてしまうだろう。

▲過去作と比べて、キャラクターや風景などの描写がより色彩豊かで美しくなった。物語中盤からの舞台となる雪原は、ふんわりとした雪質まで感じられ、移動や爆風の跡も残るようになっている。ついつい新雪の上を無駄に歩き回りたくなってしまう

▲イベントシーンもポリゴンで作られた世界やキャラクターとは思えない柔らかなタッチで表現。機能を使えば、好きなタイミングでスクリーンショットが撮れる。いろいろなシーンを切り取って鑑賞するのも楽しい

兵科の育成や装備の開発がさらに充実

ユニットとなるキャラクターには、RPGのクラスや職業などに相当する“兵科”が設定されている。長距離移動が行え索敵に長けた“偵察兵”、マシンガンの連射で攻撃や迎撃を得意とする“突撃兵”など6種類が用意されており、レベルを上げることで強力な偵察猟兵や突撃猟兵にランクアップする。大きく能力が上がるだけでなく、使用できる武装も増えるので育成のしがいが非常にある。

▲レベルアップはキャラクターごとでなく兵科単位で行う。戦闘の終了時に得た経験値を訓練場で割り振ることでレベルが上昇、対応した兵科のキャラクター全員にそのレベルが適応される。新キャラクターが登場するたびにレベル上げに勤しまなくて済むのでうれしい

▲レベルを上げることでバトルポテンシャルやオーダーを習得することがある。ポテンシャルは兵科が持つ特殊能力で、戦闘中に自動で発動。オーダーはCPを任意で使用するスキルで、一時的に防御力や回避力、命中率などを上昇させられる

▲シリーズ初の兵科として“擲弾兵”が登場。曲射攻撃が可能な擲弾砲を装備しているので、遮蔽物を挟んだ遠くの敵へ攻撃が可能。本作のヒロインであるレイリィが擲弾兵なのだが、大きな兵装を持って歩く姿が可愛い

キャラクターの武器や防具となる服などは、研究開発所で開発することが可能。標準的な能力を持つものや命中重視、威力重視など異なる方向性の武器が作成できるので、自分のプレイに合った性能の武器を探すのが楽しい。武器によっては見た目が変わるので、「かっこいい!」と思った装備を使っていくのもいい。また、特定の敵を倒すことで鹵獲武器が入手できる。威力は高いが命中は低いなど、クセのあるものばかりだが、入手可能になるタイミングでは強力な武器なので狙ってみるのもいい。使う予定はなくとも、ゲーム内にある図鑑に登録されるので、武器コレクターを目指してみるのも面白い。

▲開発はフローチャートのようになっており、章を進めていくことで開発可能な武器や服が解放されていく。強力なものほど開発に必要な資金も多くなるのだが、フリーで遊べる遊撃戦闘のマップで簡単に稼げるので安心

▲主人公の乗る戦車やプレイを進めることで登場する装甲車も武装を強化したり、命中精度を上げるパーツなどの開発が可能。性能だけでなく見た目にも反映されるので開発意欲が増す

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