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2018年に“毎週100点を出し続けるロボアニメ”の尊さ。TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』はどうしてこんなに面白いのか?

2018年に“毎週100点を出し続けるロボアニメ”の尊さ。TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』はどうしてこんなに面白いのか?

『新幹線変形ロボ シンカリオン』が面白い。2018年1月よりTBS系全国28局ネットで毎週土曜朝7:00から放送されているTVアニメだが、メインターゲットとなる子どもたちはもちろん、その親世代、さらには幅広いアニメファンにも評判が拡大中という現在注目の一作だ。“子ども向け”につくられているこその誠実さ、そして大人が観てもわくわくできる懐の広さ。本作の魅力をぜひ“子ども以上”のみなさんにも伝えたいと思う。

構成・文 / 柳 雄大


子どもにしか操縦できない巨大ロボ・シンカリオン

『新幹線変形ロボ シンカリオン』は、新幹線から変形して戦う巨大ロボット・シンカリオンと、これに乗り込む子どもたち、彼らを支える大人たちの絆や成長を描くロボットアニメだ。

現在、劇中におけるシンカリオンの運転士(パイロットのこと)として、機体の能力を引き出せる高い“適合率”を持つのは子どもたちだけ。視聴者である子どもたちが自己投影しやすいキャラクター像、そして「子どもしか乗れない」という縛りは、ロボットアニメの定番ながら本作でも重要な設定になっている。

速杉ハヤト(はやすぎハヤト 声:佐倉綾音)…「シンカリオン E5(イーファイブ)はやぶさ」の運転士。11歳、大宮在住。周りを引かせるほどの鉄道マニア(乗り鉄)で、特に新幹線が大好き。

男鹿アキタ(おがアキタ 声:沼倉愛美)…「シンカリオン E6(イーシックス)こまち」の運転士。11歳、秋田県出身。クールな性格で、「話は読めた」が口ぐせ。ビームライフル競技で全国レベルの腕を持つ。

大門山ツラヌキ(だいもんやまツラヌキ 声:村川梨衣)…「シンカリオン E7(イーセブン)かがやき」の運転士。11歳、金沢市出身。義理を重んじる熱血漢。建設会社の長男で、地形マニアでもある。

実在する新幹線・駅・都市が登場する世界観

本作は、「実在する新幹線がロボットに変形する」ことが企画の出発点であり最大の特徴だ。「E5系はやぶさ」を筆頭に、JR各社全面協力のもと大人気の新幹線がつぎつぎに登場し、これらがカッコいいロボに変形。劇中のシンカリオンはいずれも3D CGで描かれており、ダイナミックなアクションと、常にメカの緻密な描写が楽しめるCGならではの魅力がたっぷり味わえる。

「シンカリオン E5はやぶさ」…東北新幹線「新幹線E5系はやぶさ」の形態からロボットに変形。「カイサツソード」による剣技が得意。

「シンカリオン E6こまち」…秋田新幹線「新幹線E6系こまち」の形態からロボットに変形。武器は長距離の敵も狙い撃ちできる「フミキリガン」。

「シンカリオン E7かがやき」…北陸新幹線「新幹線E7系かがやき」の形態からロボットに変形。武器はE7系新幹線のパワフルな台車をベースに開発された「シャリンドリル」

各機体にはパワー型、長距離攻撃型など戦い方に特徴があるほかに、“「新幹線E6系こまち」なら新幹線の走行できない在来線の区域にも進入できる”というような(実際の車両をもとにした)特徴も。ロボットとしても新幹線としても劇中でしっかり活躍させる仕掛けはさすが!と思わせてくれる。

ストーリーの序盤は東日本を走る新幹線中心のラインナップだが、最新話では東海道・山陽新幹線の「新幹線N700A(エヌ700エー)のぞみ」も登場しており、全国の新幹線がどこまで出てくるのかも今後の楽しみだ。

実在の新幹線が登場するとなると、作品の舞台も必然的に日本各地の都市になる。大宮・鉄道博物館の地下深くに「新幹線超進化研究所・東日本指令室」なる施設が存在するという設定で、ここがシンカリオンの秘密基地として登場する。

ちなみに『シンカリオン』はアニメ発の作品ではなく、2015年3月よりジェイアール東日本企画・小学館集英社プロダクション・タカラトミーの3社によって立ち上げられたプロジェクト。タカラトミーより発売されている玩具「プラレール『新幹線変形ロボ シンカリオン』」や、YouTubeで配信されているプロモーションビデオなどが立ち上げ当初から注目されており、満を持してアニメ化が実現したという経緯だ。

タカラトミーが発売した「シンカリオン E5はやぶさ」の玩具。「プラレール 新幹線変形ロボ シンカリオン」(写真左/2015年発売)と、アニメ化決定にあわせて各部のディテールを改良した「デラックスシンカリオンシリーズ」(写真右/2017年発売)。

リアルと地続きになっている非日常へのわくわく感

アニメ『シンカリオン』の真骨頂は、“リアルと地続きになっている非日常”を見せてくれるところにある。

実在の新幹線が変形してロボットになること、そして実在する駅や都市、子どもたちにとっては自分たちと年齢の近い主人公。さらにリアルという意味では、本作ではグーグルの協力によりGoogle EarthやYouTubeが実名で登場する(となれば当然“ユーチューバー”も出てくる)点にもこだわっている。

主人公のクラスメイト・上田アズサ(声:竹達彩奈)は、『JSが初めて○○してみた』という動画で人気の小学生ユーチューバーとして登場する。

そして本作において、リアル(日常)から非日常へ飛躍する最大の見せ場が、新幹線からロボットへの変形シーン。緊急事態に臨時の特別ダイヤを走行する新幹線が、時速1100kmを超える“超進化速度”で敵のいる“捕縛フィールド”に突入。運転士の操作と“チェンジ、シンカリオン!”のかけ声でシンカリオンモード(ロボット形態)へと変形するというものだ。

運転士が“超進化マスコン・シンカギア”にカード型アイテムのShinca(シンカ)をタッチ、レバーを下げて加速の操作をする……というくだりはアニメの演出的にも、玩具(ガジェット)的にもわくわくさせられる。

子どもをメインターゲットにしたアニメは、時として“玩具を売るためのアニメ”と揶揄されてしまうこともあるが、逆に大人向けの深夜アニメなどではこうしたギミック的なおもしろさはなかなか味わえない。『シンカリオン』はその上で、玩具との連動も上手に成立させている印象だ。

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