UNISON SQUARE GARDENを巡る旅  vol. 2

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UNISON SQUARE GARDENを巡る旅  Part.Ⅱ:“ビートを渡り泳ぐスリーピース・バンド”の真価を見たライブ

UNISON SQUARE GARDENを巡る旅  Part.Ⅱ:“ビートを渡り泳ぐスリーピース・バンド”の真価を見たライブ
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UNISON SQUARE GARDENを巡る旅
Part.Ⅱ:“ビートを渡り泳ぐスリーピース・バンド”の真価を見たライブ

新曲2曲も披露された、1月後半に行われたユニゾンのNHKホール公演2DAYS。ツアーファイナルである。筆者が指摘するように、ビートを渡り泳ぐ全力感に溢れた、スリーピースバンドの真骨頂ともいえる充実のバフォーマンスを彼らは見せた。
その模様を速報でお伝えする。

僕は音楽ライターであるから、一般の音楽ファンがライブを体験するのとは、少しばかり違ったスタンスを持っている。一般の音楽ファンならば、ライブ・コンサートに足を運ぶ動機として〜いくつかのルートはあるだろうが〜、紹介記事を読んだり、音源やミュージック・ビデオを観たりして、興味を持った場合に、ライブに出向くであろう。

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だが、僕個人は、音源を聴いたのち、何らかの“調査研究ポイント”が見つからなければ、ライブに足を運ばない。「面倒くさい輩だな」と思われる方も当然いるだろうが、その調査研究ポイントがなければ「ああ、楽しくて素敵なライブだったな」で終わってしまい、レポートという体(てい)をなさない。レポートという体をなさなければ、「佐伯さんは、半ば業務放棄しているのでは?」と思われてしまい、信用を失ってしまう。
よって、調査研究ポイントが見つからなければ、自主的にライブに出向くことはない。

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最初の記事(日本武道館のDVDレビュー)に記したように、これまでUNISON SQUARE GARDENの短いライブは、INAZUMA ROCK FES(2009年)やリスアニ!ライブ(2011年&13年)において目の当たりにしてきたものの、僕の中でまだ、ライブ体験を通して調査研究ポイントをよりはっきりさせたいという欲求が芽生えていなかったため、フェスでの短いライブ体験から先に、単独公演を視察するところまではいかなかったのだ。

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では、なにゆえ調査研究ポイントがみつかったのかと問われれば、間違いなく2015年の5月にリリースされた、彼らにとっては10枚目にあたるシングル楽曲「シュガーソングとビターステップ」を熟聽したゆえ、である。
この曲を当サイトの僕のコラム“Journey Through The Music”において“ポップ・ジャズ”と形容したのは、一聴した限りでは解りにくい4ビートを刻んでいながら、bpm=テンポが速いためにジャズの4ビート特有のスウィング感を前面には出さないアレンジになっているためである。一聴して解りにくいアレンジを、なぜに“ポップ”と形容したかといえば、その、ある意味で天の邪鬼=ネジレたアレンジが、例えば危機的状況での〜相撲で言えば“土俵際いっぱいの、うっちゃり”のような〜起死回生の特別転換点を想起させるばかりでなく、仮に、うっちゃりが出なくとも、ダンスをするように楽しんで事に当たりましょう!というような、“意識をダンサブルにさせる”音楽のマジカルな効用を含んでいたからだ。つまりは、遅まきながら“調査研究ポイント”が見つかったのである。

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そうした部分に気がついてからというもの、彼らのバンド・アンサンブルが、どのようにライブ現場にて生成されているのか? に俄然興味が湧き、遂に、UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2015-2016“プログラムcomtinued”の最終公演としてセットされた1月28日のライブ@NHKホールを視察することができた。
「さわれない歌」でスタートしたライブ本編は、4曲から6曲ぐらいを1つのセクションにしていたのだが、その塊(かたまり)になった1セクションに必ず1曲と言っていいほど4ビートと16ビートの間を演奏力で“渡っていく”楽曲が配置されていた。最初のセクションでは、まず「天国と地獄」。
この曲は『Catcher In The Spy』(2014年リリース)に収録されて以来、ライブでけっこう演奏されている楽曲だと思うのだが、速いシンコペーションとブレイクを持つイントロに惑わされて気づきにくいものの、4ビートの16ビートの間を渡り泳いでいこうとする興味深いナンバーだ。サビにおいて鈴木貴雄はハイハットを16ビートで刻んでいる一方で、斎藤宏介のギターは4分のストロークであり、16のリズム・カッティングをギターが鳴らさないところに、不思議に、何というか“庶民的=ポップ”な音楽感覚をもたらすのだった。
次のセクションでは「シューゲイザースピーカー」が、4ビートを跳ねさせて〜ゆっくり目のbpmのため16ビートには料理できないが〜、そこに近づいていこうとする。その“跳ねさ”が、ミドル・チューンであるのにダンサブルなテイストを付加していく。

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「ああ、なるほど。僕はUNISON SQUARE GARDENの、このビートを渡り泳いでいこうとする全力感が好きになったのだ」と、思うに至った。

3つ目のセクション……ギター・ソロから始まる「シャンデリア・ワルツ」は、2ビートから4ビート、挙げ句の果ては(8ビートを含む)16ビートへと移行することを意図する“リズムのフェイク”が、心地よい。楽曲タイトルにワルツと名づけているものの、実際にはリリックの最後に3連符を付けているだけのフェイク感が、彼らの一筋縄ではいかないところを人知れず物語っている。
「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」と、それに続くところの「シュガーソングとビターステップ」は、UNISONの天の邪鬼にしてポップな真骨頂が表現されて、NHKホールは会場一丸&僕自身は大満足であった。田淵智也のパッセージを多用した“歌うベース”は、歌わなくなる=音を出さないパートを思いがけないところに作ることにより、急転直下の感情に似たものを表出することもよくわかった。

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この日、2曲の新曲が披露されたのであるが、2曲目に演奏された楽曲のギター・ソロ前に少しだけ展開されたダブのようなレゲエ・パートが、個人的に要注目だと思えた。“ビートを渡り泳ぐスリーピース・バンド”が、ほとんど究極的リズムと言っていいレゲエに近づいていった時、UNISON SQUARE GARDENの更なる音楽的開拓地が現れるような気がする。
そして、そうしたことを踏まえ、3人にインタビューしてこようと思っているのである。

text:佐伯明 Photographer:堀田芳香

【UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2015-2016「プログラムcontinued」
2016/01/28 (木)@NHKホール (東京都) セットリスト】

1.さわれない歌
2.kid, I like quartet
3.コーヒーカップシンドローム
4.天国と地獄
5.きみのもとへ
6.流星のスコール
7.オトノバ中間試験
8.シューゲイザースピーカー
9.桜のあと (all quartets lead to the?)
10.オリオンをなぞる
11.チャイルドフッド・スーパーノヴァ
12.夕凪、アンサンブル
13.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
14.シャンデリア・ワルツ
15.パンデミックサドンデス
16.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
17.シュガーソングとビターステップ
18.場違いハミングバード
19.プログラムcontinued
アンコール
En1.黄昏インザスパイ
En2.箱庭ロック・ショー
En3.ガリレオのショーケース

UNISON SQUARE GARDEN

透明感に溢れながらも個性的なトゲを持つ斎藤宏介のボーカルとエッジが効いたコンビネーション抜群のバンドアンサンブルが共鳴共存するROCK/POPの新世界。
キャッチーなメロディーラインと3人の個性が織りなす鮮烈なライヴパフォーマンスで右肩上がりにセールスと動員を延ばし続ける3ピース・ロックバンド。

UNISON SQUARE GARDEN – official web site

リリース情報

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UNISON SQUARE GARDEN LIVE SPECIAL“fun time 724″ at Nippon Budokan 2015.7.24

2016年1月27日発売
[2DVD]TFBQ-18173 ¥4800+税

<収録曲>

01.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
02.リニアブルーを聴きながら
03.MR.アンディ
04.ため息shooting the MOON
05.マスターボリューム
06.サンポサキマイライフ
07.ワールドワイド・スーパーガール
08.like coffeeのおまじない
09.スカースデイル
10.シュガーソングとビターステップ
11.23:25
12.天国と地獄
13.プログラムcontinued
14.光のどけき春の日に
15.クローバー
16.harmonized finale
17.シュプレヒコール~世界が終わる前に~
18.桜のあと (all quartets lead to the?)
19.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
20.シャンデリア・ワルツ
21.ドラムソロ~セッション
22.場違いハミングバード
23.ガリレオのショーケース
24.センチメンタルピリオド
-ENCORE-
25.3 minutes replay
26.kid, I like quartet
27.フルカラープログラム

vol.1
vol.2
vol.3

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