モリコメンド 一本釣り  vol. 62

Column

Official髭男dism 注目の4人組ピアノ・ポップ・バンドは、恋愛、未来への希望をファンタジックに。日常の風景をロマンティックに描いてくれる。

Official髭男dism 注目の4人組ピアノ・ポップ・バンドは、恋愛、未来への希望をファンタジックに。日常の風景をロマンティックに描いてくれる。

4月10日に東京・渋谷modi1F店頭プラザで行われたフリーライブで1stシングル『ノーダウト』(フジテレビ系“月9”ドラマ『コンフィデンスマンJP』主題歌)を翌日4月11日にリリースすることを発表。事前予告なしの“ゲリラリリース”で大きな注目を集めたのが“ヒゲダン”の愛称で親しまれている4人組ピアノ・ポップ・バンド“Official髭男dism”だ。

島根県松江市出身のOfficial髭男dismは、作詞・作曲を手がける藤原聡(Vo/Pf)を中心に2012年に結成された。ユニークなバンド名に“髭の似合う歳になっても、誰もがワクワクするような音楽をこのメンバーでずっと続けて行きたい”という意思が込めた彼らは、2015年4月に1stミニアルバム『ラブとピースは君の中』をリリース。優れたポップネスによって音楽ファンの間で注目を集めた。

ヒゲダンの魅力の中心は、質の高いソングライティングとサウンドメイクだ。“学生時代にブラックミュージックのバンド、ヘビィメタルのバンドをやっていた”というエピソードからもわかるように、バンドの中心人物である藤原の音楽性は驚くほど幅広い。ソウルミュージック、ファンク、J−POPを軸に幅広い音楽性を吸収しながら進化を続けたヒゲダンの楽曲は結果的に“どんな趣味のリスナーにもアピールできる”という武器を備えることに。さらにメンバー3人(楢崎誠:Ba/Sax 松浦匡希:Dr 小笹大輔:G)の的確な演奏力、藤原のキュートかつセクシーなボーカルが加わることで、コアな音楽ファン、音楽メディアからも一目置かれる存在となった。

その後、1st EP『What’s Going On?』、ミニアルバ『レポート』、配信限定EP『LADY』、デジタルシングル『Tell Me Baby/ブラザーズ』と順調にリリースを重ねてきたヒゲダン。高い音楽性と親しみやすいポップネスを共存させた彼らの特性はシングル『ノーダウト』にも的確に反映されている。長澤まさみの主演によるドラマ『コンフィデンスマンJP』の主題歌として注目されたこの曲は、ラテンのテイストを感じさせるピアノフレーズ、エッジの効いたギターサウンド、骨太のビートが心地よい絡み合うナンバー。自然に体が動き出すようなグルーヴ、思わず口ずさみたくなるコーラスを含め、誰もが楽しめる極上のポップソングに仕上がっている。情報量の多いサウンドメイクを見事に乗りこなしながら、解放的なパワーを描き出す藤原のボーカルも素晴らしい。

メジャーデビュー前から“ネクストブレイク候補”として大きな注目を集めていたヒゲダンだが、その最初の集大成とも言えるのがシングル『ノーダウト』と同時リリースされた1stフルアルバム『エスカパレード』だ。

“君と僕”の長いストーリーを映画にたとえた歌詞が印象的なソウルフル・ポップチューン『115万キロのフィルム』から始まる本作。高揚感と疾走感に溢れたロックサウンドとともに“スマートフォンと一緒に街に飛び出そう!”というメッセージを含んだ前向きな歌が広がる『Driver』、ド派手なホーンセクションを交えたディスコ・サウンド、人生の素晴らしさを感じながら踊りまくりたい!という意志を込めたリリックを融合させたタイトル曲『ESCAPADE』(編曲はSEKAI NO OWARI、ゆずなどの楽曲を手がける音楽プロデュースチームCHRYSANTHEMUM BRIDGE)、“世界で一番素敵なLADY”というフレーズを高らかに響かせるミディアムバラード『LADY』。楽曲によってテイストはまったく異なるが“豊かなエモーションを感じさせるボーカル”“生々しいグルーヴを放つバンド・アンサンブル”によってアルバム全体のトータリティがキープされているところも、本作の大きな魅力だろう。

恋愛、未来に対する希望といったオーソドックな題材にファンタジックな世界観を合わせることで、日常の風景をちょっとだけロマンティックに見せてくれるヒゲダン。かれらの存在は、Mrs.GREEN APPLE、ポルカドットスティングレイなどと並び、ポップバンド・シーンの新たな旗手としてさらに支持を集めることになるはずだ。前述した4月10日のフリーライブで藤原は「引き続きみんなと一緒にワクワクできる音楽を作っていきたいですし、これから僕たちの音楽が広がっていくことにとても期待が広がっています」と語ったが、個人的にはこれまでのバンドのフォーマットを大きく逸脱するような活動を期待している。ヒゲダンの楽曲がライブという場所で具現化されたら(たとえばセカオワと同じように)“音楽という名のエンターテインメント”につながるはず——彼らの音楽を聴いていると、そんな願望を抱いてしまうのだ。

文 / 森朋之

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オフィシャルサイトhttp://higedan.com

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