Interview

話題作『いぬやしき』で約10年ぶりに父娘役で共演!木梨憲武と三吉彩花が楽しかった撮影現場を語る。

話題作『いぬやしき』で約10年ぶりに父娘役で共演!木梨憲武と三吉彩花が楽しかった撮影現場を語る。

『GANTZ』シリーズのコラボレーション、再び!
脅威の映像術で数々の実写化作品を手がけた佐藤信介監督が、あらためて奥浩哉作品に取り組んだ。セレクトしたのは、人気作にして名作の誉れが高い『いぬやしき』。謎の光に包まれた夜から、ともに脅威的な能力を手に入れたうだつの上がらない初老のサラリーマン・犬屋敷壱郎と高校生・獅子神皓が、やがて新宿上空250メートルで壮絶なバトルを繰り広げる、新感覚のエンターテインメント・ムービーだ。
家族にも疎まれ、職場でも居場所がない主人公の犬屋敷には、16年ぶりの映画主演となる木梨憲武。特異な能力を悪用していく獅子神を佐藤健がクールに演じ、迫力と臨場感あるドラマを体現せしめている。
その木梨が演じた犬屋敷の娘にして獅子神のクラスメート・麻理を演じたのが、三吉彩花。約10年前にCMで父娘役で共演していたという縁があった2人に、現場でのエピソードなどを談笑スタイルで楽しく語ってもらった。

取材・文 / 平田真人
撮影 / キセキミチコ/KISEKI inck

炊き出しの合間に芝居をするのが、木梨憲武スタイル?
三吉彩花も”看板娘”として大活躍…!?

映画、とても面白かったです。どうやって撮っているんだろうというのも興味深くて…。

木梨 CGのシーンを撮っている時、自分なのかCGなのかスタントマンなのか、その境がね…。

三吉 わからなくなるんですよね。

木梨 そう、混ざっちゃうんですよ。戦いのシーンに入ると、何秒間で何百カットという世界になるので。もちろん、自分も芝居でやらせてもらってますけど、「うわ、うわ、うわ…」なんて言っている間に1回目が終わっちゃったのでね。まぁ、あの…娘、三吉ちゃんとのシーンなんかは意外にドラマっぽいんですけどね。

SFアクションでもありますけど、家族の再生の話でもあるんですよね。そんなお2人ですが、撮影現場でのケータリングへの力の入れ方がすごかったと聞いています(笑)。

三吉 そうなんですよ、特に撮影の後半になると、木梨さんは炭火で焼くのが本業になっていましたよね(笑)。

木梨 撮影の前半は、俺なんかがはしゃいじゃっていいのかなって、ちょっとスタッフや俳優さんたちの顔色をうかがいながらね、現場に入っていったんだけど。そしたら、佐藤(信介)監督率いるスタッフ陣から、「いやいやいや、そういう(炭火で鶏肉を焼く)のはちょっと止しましょう」という注意もなかったもんだから、どんどん調子に乗っていったという感じでしたね(笑)。

何でも、ケータリングの合間にお芝居する、というようなスタンスだったそうですね?

木梨 そう、それはね、本当です。うちの娘(=三吉)も。

三吉 はい、一緒に焼いていました。

木梨 麻理(=三吉の役名)も手伝ってくれて。だって、やること多かったもんね?

三吉 はい、すごく。

そ、それは炭焼きにおいて、ですか…!?

木梨 そうそう(笑)。

三吉 ケータリングの方がやることが多かった気がします。

木梨 あのね、撮影前半のお芝居は、スケジュール的に余裕も(時間の)すき間もなかったんですよ。セットが組んであったから、「はい、次このシーン行きま~す」なんて、追われていたんですけど、後半の空中戦とか都庁内のバトルシーンはCGを多用するから、待ちが多かったんですよ。なので、麻里にも手伝ってもらって。「今日は鶏肉だったから、明日は何を買い出しに行こうか?」「じゃあ、餅にしましょう」「そしたら磯辺巻きだけだと何だから、きなことあずきも用意しようか」みたいな話を、プロデューサー陣と話したりして。

三吉 お芝居よりも、炭火焼きで何をつくるかっていうことに、みんな意識が向いていたんじゃないかと思うくらい、本腰を入れていて(笑)。

木梨 そのせいで、俺もスタッフもみんな丸々太っていったからねぇ。

三吉 私も撮影の後半は、まず食べることに集中して、その合間に芝居するというペースに巻き込まれていって…。

木梨 役柄上では娘に疎まれていた犬屋敷(壱郎)だけど、裏ではいい父娘関係を築いていたっていうね(笑)。

三吉 そうなんです。

しかし、それだけ大々的に炭焼きをしていたら、ほかの作品の撮影隊から「ちょっとお裾分け、いい?」なんてことにもなりそうじゃないですか。

木梨 あ~、来ていたかもしれないね。ほら、余っちゃうともったいないから、とりあえず東宝スタジオの中を歩いている人に片っ端から「どうぞどうぞ」なんて言って、渡したりもしましたから。まぁ、その辺はわりと買い出しの分量もいい具合で、『いぬやしき』の出演者とスタッフでうまいことおさまっていましたけどね。ただ、餅とか焼き鳥がすんごくいい状態で今が食べごろっていう時に、本番(の撮影時間)が押しちゃったりするわけ。「いやいや、これじゃ冷えちゃうでしょ」って、スタジオを歩いている人に「ちょっとちょっと、食べてってよ」って、渡したりして。

三吉 「みんな本番撮ってて、出てこないんです」なんて言って。よく考えたら、そっちが当たり前なんですけど(笑)。

おっしゃる通りです(笑)。しかし、そういうお話を聞くに、木梨さんが”座長”でいらっしゃったんだなということが伝わってきますね。

三吉 夏休みのバーベキューの気分を満喫させてもらって、本当に”みんなのお父さん”という感じでした。

木梨 だから、『いぬやしき』の現場では、1回も楽屋に行ってないんですよ。

三吉 確かに…。私も後半はそうでした。

木梨 楽屋に戻って、ゆっくりご飯を食べて、少し眠ったり本を読んだりしたっていうのが、いっさいなくて。現場でお芝居していたか、スタジオのドアを開けて外に出たところにいて、炭火で何か焼いているかの二択(笑)。佐藤監督も差入れでカフェのバンを呼んでくれたりしたんだけど、そのコーヒー屋のアニキと仲間になったりして。「どれぐらいで採算とれるの?」なんて、ビジネスの話とかしちゃってね。

三吉 あのカフェのコーヒー、美味しかったなぁ。

木梨 そう、美味しいの。何かね、コーヒー屋のアニキが映画が好きなもんで、現場に呼ばれると優先的に来るんだって。…みたいな話をね、よくしていて。それも楽しかったなぁ。

©2018映画「いぬやしき」製作委員会

すぐにケータリング・サービスを始められそうな勢いですね(笑)。しかし、役の上では蛇蝎のごとく嫌っていた犬屋敷さんを、素の三吉さんは慕っていたという。

三吉 実際は(笑)。でも真面目な話、木梨さんはお芝居をするのがすごくひさしぶりだとおっしゃっていたんですけど、カメラが回っている時は、何もできないお父さんの雰囲気がにじみ出ていて…あ、これはいい意味で言っているんですけど、何かイラッとするんですよ。で、私やお母さん(濱田マリ)に言われっぱなしになるという。

木梨 あれはね、悲しかった~。

三吉 私も心が痛かった~。

木梨 初めてのリハーサルの時に、ママ(=濱田)が強い感じで言ってきたから、本当に怖くてねぇ。

三吉 でも、カットが掛かると木梨さんは私や濱田さんにフランクに話してくださって。その切り替えがすごくナチュラルで、あぁ素敵だなって思っていました。

木梨 三吉ちゃんはね、意外とオトコっぽいというか。夕方に撮影が終わって、「よし、焼き鳥行くぞ」って言うと、「了解ぃ~!」なんて言って。ノリがね、すごくいいんですよ。

三吉 ウソ~、「了解ぃ~!」とは言ってないですよ~!

木梨 「あ、今日大丈夫っす~」だったか。

三吉 それは言ったかも(笑)。

木梨 で、お開きになる時、「また何かあったら、いつでも連絡ください~。ダッシュで行きま~す!」って。

三吉 それは確かに言いました。

木梨 モデルで女優さんだしさ、タッパ(身長)もあるから身構えちゃいそうなんだけど、実は気取ってなくて接しやすい子なんですよ。サバサバしていて。

三吉 年齢を重ねるごとに”男気”が増しちゃって、大丈夫かなって自分でも時々思ったりしますけど(笑)。

木梨 昔…10年くらい前? CMで共演しているんですよ、三吉ちゃんと。

三吉 私が11歳くらいの時ですね。

木梨 「Cook Do®」(中華料理の食材)のCMで。俺がお父さん役で、彼女が娘役。でも、その映像を今見直してみても、全然現在の姿につながらない(笑)。

三吉 いやいや、つながりますから~。めちゃくちゃ面影ありますよー。

木梨 最初に「実はあの時のCMで──」って聞いた時、「嘘でしょ!?」って思ったから。

三吉さんは木梨さんの若いころのエピソードは知っているんですか?

三吉 すっごくハジけていたっていう話は聞いたことがあります。でも、アイドルみたいな人気があったっていうのは、ちょっとイメージできないですね。若いころのお写真を見ると、あまりお変わりないなっていう感じはしますけど…。

木梨 でもね、動画サイトで俺らの若いころの映像を見ることができたりするから、リアルタイムに生まれてなかった若い子たちが知っていたりするんだよね。そのころは歌番組でも、まず普通に歌うっていうことをしないから…。

三吉 そうだったんですか?

木梨 しかも生放送で、段取りと違うことをやるわけ。まぁ、そのころは、そういうハプニングを期待されていたから、スタッフもわかっているんだよね。今やったら、めちゃくちゃ叩かれるだろうけど(笑)。

トガっていましたよね。しかしながら、『いぬやしき』では絶妙な味わいのお芝居を見せていらっしゃって。

三吉 本当にそうだと思います。だって、ああいうお父さん、実際にいそうじゃないですか。

木梨 いやいや、ただ雰囲気出しているだけだから。でも、雰囲気を出し過ぎてもおかしくなっちゃうじゃない。ちょっと出すくらいがね、いいんだなって。家族4人のシーンでも、濱田さんと三吉ちゃんと、息子役の福崎(那由他)くんも…本業が役者さんの人たちは監督の動きを見て、セリフのニュアンスをうまいこと調節するわけ。その対応の速いことったら。こっちは台本をずーっと見ながら、「えっと何だっけな、何だっけな…」なんてやっていて。その差というのを、さすがに現場では感じましたよ。

三吉 いやいやいや…もちろん”老けメイク”もあるんですけど、それこそ醸し出す雰囲気がいい具合に犬屋敷さんなんですよ。漫画原作から、そのまま出てきたような。木梨さんとは撮影の合間や休憩時間に、本当に普通にお話をさせていただいていたので、完成した映画を観て、「お父さん、こんなふうにして機械の身体になっちゃったんだ…」みたいに思って、娘としてもっと早くから優しく接すればよかったなって、結構本気で思いました。

©2018映画「いぬやしき」製作委員会

あの犬屋敷さんの背中に漂う悲哀が、ものすごくリアルなんですよね。

木梨 いやぁ、マジでツラかったっす(笑)。

三吉 引っ越してきて最初の夜に、お父さんが1人でお寿司とキャビアを食べるシーンを見ていて、私泣きそうになりました。

木梨 キャビア食ってるとこ見て?

三吉 だって、あんなに頑張って家を買って、「家族みんなでお祝いしよう」って言っているのに、「え~、ロイホ(ロイヤルホスト)行こうよ」って娘と息子に言われちゃうって、本当気の毒すぎるなあって…。

木梨 そういえば、俺と三吉ちゃん、高校生の記者さんたちから取材を受けたのね。そしたら彼女たちが「面白かったです~」って言うわけ。「え、どこが面白かった?」って聞いたら、「あのロイホのとこ」って。

三吉 そうなんですよ、「え、そこなんだ!?」って。

木梨 「家族みんなロイホ行っちゃうし~」なんつって笑ってて。え~、笑うとこなんだって、高校生のツボはわからないなって。

三吉 ある意味、新鮮でしたよね。

木梨 もしかして、この子たちはある種マスコミのセミプロみたいなところがあるから、ちょっと意外な角度から攻めてきているんじゃないかって、深読みとかしちゃってね(笑)。

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