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鈴木勝吾、米原幸佑らがハイテンションに駆け抜ける! 幕末の志士たちの熱き物語──池田純矢が手がけるエンターテインメント舞台『ザ・池田屋!』開幕

鈴木勝吾、米原幸佑らがハイテンションに駆け抜ける! 幕末の志士たちの熱き物語──池田純矢が手がけるエンターテインメント舞台『ザ・池田屋!』開幕

エン*ゲキ#03『ザ・池田屋!』が開幕した。本作は、俳優・池田純矢が脚本・演出を務める舞台公演企画の第3弾。主演には、#02『スター☆ピープルズ!!』に続き盟友・鈴木勝吾を迎え、“演劇とは娯楽であるべきだ”という理念のもと、老若男女が楽しめる王道エンターテインメントを立ち上げた。今回は、4月20日(金)の初日に先駆け行われた公開ゲネプロの模様をレポート。池田純矢とその仲間たちの挑戦を追いかける。

取材・文・撮影 / 横川良明

池田節が炸裂! 歌&ダンス&殺陣&笑いの“That’sエンターテインメント”!

『ザ・池田屋!』の舞台となるのは、その名のとおり、あの池田屋事件。尊王攘夷派の長州藩士らが潜伏する池田屋を、佐幕派の新選組が襲撃。御所焼き討ちの計画を未然に防ぎ、一躍名を挙げた歴史的大事件だ。幕末を語るうえでは避けて通れないエポックメイキングなこの一日を、池田純矢がパワフルかつトリッキーなエンターテインメントの舞台に仕立て上げた。

鈴木勝吾が演じるのは、吉田稔麿。史実では、この池田屋事件で無念の死を遂げた非業の俊傑として知られている。それが、池田の手にかかると、どんな窮地でも生き残る“絶対死ねない男”になるのだから摩訶不思議。自身の悪運を呪う吉田は、自ら命を絶つべく池田屋に辿り着くのだが、あれよあれよという間に大事件に巻き込まれ……というのが本作のアウトラインだ。

池田脚本の特色は、何と言っても怒濤のセリフ量。膨大なセリフを、1秒間に何文字詰め込むんだという早口でまくし立てていくので、俳優たちはまるで2時間ひたすら100mダッシュをさせられているよう。超高速セリフのビッグウェーブが、観客を非日常の世界へとさらっていく。

さらに、ハイスピードのセリフの中にいくつもの例えツッコミを盛り込み、笑いの導火線に火をつける。「わかるわかる」と共感しつつ、クスッと笑えるワードセンスが、池田流コメディの基盤だ。

徹頭徹尾ケレンミを追求した演出も心憎い。時代考証をあえて無視したド派手な衣裳はもちろんのこと、元℃-uteの中島早貴&元宝塚歌劇団雪組の透水さらさと踊れる女性キャストを配し、ダンスシーンはまるでショータイム。そこに鈴木&池田と歌える2人の歌唱も加わり、劇場はノリノリに。

もちろん池田屋事件が舞台なので、殺陣シーンも満載。身のこなしの軽やかさには定評のある池田が刀さばきだけでなく、蹴りやジャンプを駆使した迫力のアクションで他を圧倒すれば、これが本格的な殺陣は初挑戦という松島庄汰も、最強剣士・沖田総司 役に恥じない奮闘を見せた。気づけばあっという間にクライマックス。エンタメ要素盛りだくさんの120分だ。

若手ながら百戦錬磨の舞台俳優たち八面六臂の大活躍!

そして改めて実感させられるのが、俳優陣の層の厚さだ。主演の鈴木、脚本・演出・出演の池田に加え、米原幸佑、河原田巧也は2010年代の初期から昨今の舞台人気を支えた立役者たち。2.5次元舞台からオリジナルまで、毎年、その体力と精神力に畏怖さえ抱くハイペースで舞台に立ち続けてきた。日々稽古場で汗を流し、何百人もの観客の視線と評価にさらされてきた経験こそが、彼らの底力。数多の現場で鍛えた、俳優としての強靭な足腰を本作でも十二分に堪能できる。

どんなに早口のセリフもストレスなく観客に伝える鈴木の口跡には惚れ惚れとするし、観客の耳にまっすぐ響くクリアで印象的な声は舞台俳優の最大の宝。いい意味でアクがなく、どんな役にも自由に変幻する幅広さも、俳優・鈴木勝吾の魅力のひとつだ。

池田は抜群の身体能力に加え、おバカなシーンはとことんハイテンションに、カッコいいセリフはとことんキザに決め切れる振り切れの良さが持ち味。全身がバネのように動くので、ちょっとしたモーションも広い舞台によく映える。

米原幸佑はこうした三枚目の役どころは十八番。どれだけキャリアを重ねても決して失われない明るさ、軽快さ、そしてテンションだけに頼らない器用さ、空気を読む上手さで、コメディ部分に多大な貢献を果たした。

河原田巧也は、地声は高めなのだが、声に重みと鋼のパンチ力があり、舞台を引き締める。どの作品で観ても変わらぬ安定感は今回も健在。前に出すぎず、されど見えないところで作品の骨格部分を引き受ける職人的な俳優だ。

着実に、堅実に、経験を重ねてきた俳優たちが、培ってきた本領をこうしたオリジナル作品で堂々と発揮してくれる姿は、実に頼もしい。彼らの俳優としてのキャリアをよく知るファンにとっては、それぞれの文脈から今回の共演を見るとまた違う感慨が湧いてくるのでは。

新選組に、過激な倒幕派と、役者は揃って事態はますますヒートアップ。絶対に死なない男がどんな結末を迎えるかは、劇場でのお楽しみだ!

中島はオラキオの顔が好き? 5人の出演者がそれぞれの推しを告白!

囲み会見には、作・演出を務め、高杉晋作 役の池田純矢、吉田稔麿 役の鈴木勝吾、沖田総司 役の松島庄汰、おつね 役の中島早貴、宮部鼎蔵 役の松尾貴史が登壇。そこで、5人に自分以外で注目して欲しい“推し”の出演者を聞いてみると……。

池田純矢は「新選組隊士たち」と回答。「一瞬出てくるキャラクターにも人生があるんだなっていうことを大切にしたい」と演出としての胸中を語り、華やかなアクションはもちろんのこと、そこで繰り広げられる命のやりとりに対して「一瞬のきらめきみたいなものを感じてもらえたら」と作家ならではの想いを込めた。

中島早貴は悩みに悩んだ末、「(近藤 勇役の)オラキオさん」とセレクト。「顔が好き」と意外な理由を明かすと、キャスト一同声を上げて仰天。「お芝居されているときの、うわ~っていうときの表情がめちゃくちゃツボ」と力説する中島に、松尾貴史が「でもね、袖から見ると白鳳に見えるよ」と茶々を入れ、周囲を笑わせた。

鈴木勝吾は「(池田が)コメディということを掲げているなかで、一番大変なのはおつねちゃん。アイドルから女優で頑張っていこうとする彼女の気概も見える」と中島を指名。「最初はコメディなんですけど、ラストのシーンのほうでは、女性って女優なんだなということを改めて感じた」と称え、中島ファンに向けて「ぜひ見て欲しい」と呼びかけた。

松島庄汰は池田の名前を挙げ、脚本・演出が年下という現場に「最初は不安だった」と告白。しかし、現場に入ってみるとその不安は吹き飛んだようで、「こだわりがすごく強くて。『僕の眉毛の山を2ミリカットしたい』ってビジュアル撮影のときに言ってきて(笑)」と裏話を披露。稽古中の池田からのオーダーについても「ひとつひとつの言葉が納得できるし理解できる。だからいっさい反抗の心はなかった」と全幅の信頼を寄せていたことを明かした。

松尾貴史は「一番慣れないことを女優2人がやらされている(笑)」と中島と透水を絶賛。「元アイドルと元宝塚のお2人が『こんなことやらされますか!』ということをやっているのを見て、精神力がすごいなと」とイメージを覆す女優陣の好演に脱帽の表情を見せた。

池田は最後に改めて「高尚なものではなくて、エンターテインメントでありたい」と“エン*ゲキ”に寄せる信念を熱弁。「友達と遊びに行ったり、カラオケやボーリングに行くのと同じような気持ちで演劇に足を運んでいただいて、何も考えずに2時間、目一杯楽しんでいただいて、『楽しかったね』って言って劇場を出ていただけたら、それだけで満足です」とエンターテイナーの顔を覗かせた。

エン*ゲキ#03『ザ・池田屋!』は4月20日(金)から4月30日(月・祝)まで新宿 紀伊國屋ホールにて上演。さらにそこから大阪に場を移し、5月11日(金)〜5月13日(日)までABCホールにて上演する。年度始まりのドタバタも落ち着き、少しずつ疲れが見え始めるこの季節。ぜひ『ザ・池田屋!』で思い切り笑って、元気をチャージして欲しい。

エン*ゲキ♯03「ザ・池田屋!」

東京公演:2018年4月20日(金)〜4月30日(月・祝)紀伊國屋ホール
大阪公演:2018年5月11日(金)〜5月13日(日)ABCホール

作・演出:池田純矢
出演:
鈴木勝吾
松島庄汰 中島早貴 米原幸佑 河原田巧也 透水さらさ オラキオ 池田純矢
松尾貴史 ほか
ほか

オフィシャルサイト

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