Interview

キュウソネコカミに“メジャー”なタイアップ! 「みんなを救う」彼らだから描ける個性的な3曲にバンドのスタンスを見る。シングル「越えていけ / The band」

キュウソネコカミに“メジャー”なタイアップ! 「みんなを救う」彼らだから描ける個性的な3曲にバンドのスタンスを見る。シングル「越えていけ / The band」

昨年発表のアルバム『にゅ~うぇいぶ』をはさんで、約9ヵ月ぶりとなるシングルが「越えていけ / The band」だ。前作シングル「NO MORE 劣化実写化」のタイトル曲はタイアップなしだったこともあり、キュウソネコカミは遠慮なく世間に噛みついた。その効果があったのか(!?)今回の「越えていけ」は大ヒットコミックス『MAJOR』の続編『MAJOR 2nd』のアニメ版『メジャーセカンド』のタイアップが付いた。いやがおうでも力が入る。ロックのこと、バンドのこと、ファンのことを真剣に考え、さらには新しくバンドに出会ってくれる人たちのことも真剣に考えて、「越えていけ」、「MUKI不MUKI」、「The band」の3曲が生まれた。
キュウソネコカミは、普通の音楽ファンの感覚に最も近いバンドだ。さらにはその感覚を、ストレートに曲に反映させる姿勢を持っている。そのバンドが今、感じていることのすべてを、ヤマサキ セイヤ(vocal, guitar)とヨコタ シンノスケ(keybords, vocal)の2人に新作を通じて語ってもらった。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 関信行

やばい、こんな超すごい案件がキュウソにきたんや!

「越えていけ」の曲作りは、どんなふうに始まったんですか?

ヨコタ シンノスケ アニメ『メジャーセカンド』のお話をいただいて、みんなで「せーの」で作り始めました。

ヤマサキ セイヤ もう、そんなお話がきたら断る理由がないですよね。だって、NHK Eテレの『メジャーセカンド』ときたら、「こりゃ、いけんぞー!!!」と(笑)。

ヨコタ しかも、「オンエアは夕方だぞ!」と(笑)。

ヤマサキ そりゃもう、「やったぁー!」ですよ(笑)。

ヨコタ 原作の漫画を前から読んでいたメンバーもいて、こんなメジャーなアニメ作品からオファーをいただくなんて「すごいぞ」と。前に俺ら、アニメ『ドラゴンボール改』(2015年)のエンディングテーマをやったことがあるんですけど、それはすでに出来上がっている曲(「GALAXY」)を使っていただいた形だったので。

ヤマサキ 言うたらさ、『ドラゴンボール』が一回終わったとして、これから始まる『ドラゴンボールGT』の主題歌が決まりましたくらいの感じだよね? 『MAJOR』という70巻以上も続く漫画で、何年も前からアニメもやっている(2004〜2010年に6シリーズ放送)大人気作品。その“セカンドシーズン”のお話がきて、原作漫画を読んだりして、改めて『MAJOR』の歴史を知ると、「やばい、こんな超すごい案件がキュウソにきたんや」とジワジワ感じていって。

ヤマサキ セイヤ

それは嬉しいよね。去年のシングル「NO MORE 劣化実写化」のときのインタビューで、「タイアップが付いていないシングルを出すのはどうなんだ?」というような話をしていたけど、そしたら今回のタイアップがきたわけだよね。

ヨコタ そうです。「NO MORE 劣化実写化」は、ノンタイアップの塊のようなシングルだったから(笑)。

ヤマサキ いやいや、あのときはカップリングにはタイアップがあったんすよ。「イキがいいのだ」(明治「XYLISH」発売 20周年記念キャンペーン公式ソング)だって。単純に、タイトル曲にタイアップがないというだけだから。

単純にって(笑)。

ヨコタ もう一曲の「家」もタマホーム(「20代の家」CMソング)のタイアップで、俺ら、ありがたいことに、そのおかげでCMにも出させていただいて。

ヤマサキ そう! あれは、最強ですからね。

ヨコタ 「NO MORE 劣化実写化」は、その頃、実写化映画への反発、反発というほどのものではないけれど、「タイアップのない場合は、俺たちはこういうものをシングルとして出しますよ」ということをやりたくて、ちょっと強めの曲として出したんです。今回はその反動がうまいこと出ましたね(笑)。真面目にタイアップの曲を作っていいんだと思えたし、嬉しかった。

タイアップが嫌なわけではないんだよね?

ヨコタ いや、むしろ好きですよ!

ヤマサキ ただね、ちょっとだけ迷ったというか、しんどいなと思ったときがあって。「わかってんだよ」(2017年12月発表アルバム『にゅ〜うぇいぶ』収録)って曲がすでにあって、少年が悔しさから立ち上がり、戦っていくストーリーだった。今回もまたそういう感じの曲を求められてるのかなと思って考えてたんですけど、意外といけましたね。

ヨコタ シンノスケ

何かプレッシャーのようなものがあったの?

ヤマサキ この漫画、めちゃくちゃ面白いんですよ。しかも『MAJOR』が最初にアニメ化されたときの大名曲があるんです。ロードオブメジャーの「心絵」っていう曲なんですけど、それがめちゃくちゃいい曲だったから、そのイメージが強すぎて、俺たちの曲と一生比べられ続けるだろうなと思ったし、「心絵」を超えることは不可能だなと思ってて。

ヨコタ やっぱり言われますよね。実際、“セカンドシーズン”は放送開始されたばかりなんですけど、古参のアニメファンの方々から「やっぱりここはロードオブメジャーのあの曲やないのか。イメージが違う」とか、ね。でも、今回は“セカンドシーズン”で息子の大吾が主人公(1stでは父親の吾郎)なんだから、新しいものとして受け取って欲しいと思う。なんでもそうだと思うんですけど、“セカンドシーズン”というものの葛藤があるじゃないですか。そういう“一つ目”のプレッシャーもあってという感じも、歌詞には入っているのかなというのはあるんです。そういう意味では、漫画のストーリーも俺たちの立場も一緒というか。

ヤマサキ いいね、いいこと言うねー。

そうか、主人公も父親と比較されての葛藤が描かれていたりする。

ヨコタ まさに!

ヤマサキ YouTubeに素敵なコメントが書かれていて、いいなぁと思いましたよ。「大吾は吾郎と比較され、キュウソはロードオブメジャーと比較され、どちらも“越えて”いくのだろうか」と。

いいコメントだねぇ。自分で書き込んだんじゃないの?(笑)

ヤマサキ いやいや、書いてない、書いてない!(笑)

作詞は苦労したの? 

ヤマサキ そうですね、1番が最初に出来て。

ヨコタ 最初に1番の歌詞とメロディがあって、そこからあまり変えなかったですね。そのままやろうという感じで、イメージ的にはギターな感じで作っていきました。

キーボード中心のアレンジではなくて?

ヨコタ はい。プリプロをやっている段階ではキーボードのフレーズを先に作っていて「ギター待ちやな」と思っていたんですけど、セイヤが「今回はギターでいきたい!」って言って、オカザワがフレーズを考えて、それが今の形になっています。こういう前向きな歌とかアニメのテーマ曲とかって、僕ららしいというよりも、ギターで引っ張っていくギターロックなイメージがあったので、その感じはメンバーみんな共通していたから、わりとシンプルに作ったつもりです。

展開としてはCメロまであるし、いわゆる王道の作りになってる。

ヨコタ そうですね、王道を作りましたね。

ヤマサキ いろんなバンドの最高のコード進行を参考にしながら、歌いたいことをハメていって、最終的にはメロディ勝負でした。

ヨコタ 「越えていけ」は、無理にキュウソっぽくしなくてもいいんじゃないかと思ってたんですよね。前の「わかってんだよ」は僕らっぽい感じが多分にあるけど、「越えていけ」はアニメのオープニングでもあるし、今まで僕らに触れてこなかった人にも聴いてもらえる機会が増えるので、伝わる部分が広がる。そこで「かっこいいバンドがいるな」「いいこと歌ってるな」「面白そうだな」と思ってもらえそうな気がしたんですよね。

ヤマサキ 「越えていけ」で「おっ!」と思った人に、早ぅ聴いて欲しいですよね、キュウソの昔の曲も。この曲から一歩踏み込んでくれたら、そこには素晴らしい世界が待ってるぞと。

ヨコタ すでにこのシングルの2曲目の「MUKI不MUKI」が、そういうふうになっていますけどね。「なんちゅうことを歌ってるんだ、こいつらは!」と(笑)。

3曲目の「The band」も好きだなぁ。

ヨコタ 「The band」が僕らっぽいところなのかなと思いますね。だから今回、「越えていけ」と「The band」を両A面にしたんです。

そうだね、「越えていけ」の世界だけではないというのがちゃんと見せられている。

ヤマサキ 実は、「越えていけ」だけで出すのがちょっと怖かったんですよね。だから、「The band」を作っておいて、先に(MUSIC VIDEOなど)出して、場を整えて「越えていけ」を出すという。

今のバンドマンがどんなことを考えているのかとか、表面的じゃないところも含めて見えてくるから、この3曲合わせて、“キュウソの今”なんだと思う。

ヨコタ 「The band」で歌っていることだけがすべてだと言ったら、嘘になる。だって、タイアップのお話はありがたくて、そうやって仕事をもらえているから、僕らは生きていく場を与えてもらってる。それも嘘じゃない。だから、3曲全部合わせて、嘘じゃない。

面白いやり方だと思う。今、思っていることをそのまま言えているのがいい。

ヤマサキ 言わなくてもいいことまでね(苦笑)。俺、ステージ上でも「そこまで言うたらあかんよ」というようなことまで、たまに言っちゃうんですよね。

ヨコタ そういうときは、メンバーみんなハッとなって、段取りも忘れちゃう(笑)。

1 2 >