Interview

「凸凹コンビで気が合う」2人。大野拓朗&白洲迅が、口下手な美青年を演じる舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』。子供時代のモテ話も!?

「凸凹コンビで気が合う」2人。大野拓朗&白洲迅が、口下手な美青年を演じる舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』。子供時代のモテ話も!?

1897年にフランスのパリで初演されるや大好評を博し、現代でも多くの国で上演されている『シラノ・ド・ベルジュラック』。そんな古典作品が、演出に鈴木裕美、脚本にマキノノゾミ、鈴木哲也ら手練れを揃え、現代にも通じるエンターテインメント性溢れる冒険活劇として、5月15日から上演される。剣豪にして詩人、権力に背を向ける熱血漢だが、自分の醜さを恥じて、非の打ちどころがない美しい女性・ロクサーヌ(黒木 瞳)に愛を告げられないシラノ(吉田鋼太郎)の物語を描く。
そしてロクサーヌが一目惚れする口下手な美青年・クリスチャンを大野拓朗と白洲 迅がWキャストで演じる。今回は、製作発表会後の彼ら2人にインタビュー。本作への意気込みのほか、クリスチャンの性格、自身の子供時代などいろいろと語り尽くしてもらった。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 友澤綾乃


忠臣蔵の要素を取り入れた“高級大衆演劇”

初演は1897年のパリ。そしていまだに多くの人に愛されている作品です。日本版の今作に出演される感想を聞かせてください。

大野拓朗 あらすじを読んだだけで、とてもいい話だと感動して、まずこんな素敵な作品に出られることに喜びを覚えました。台本が待ち遠しくて(笑)。そして台本をいただいたときに、思わずいっぱい笑って最後に涙したんです。脚本が持つパワーがすごかったからですね。吉田鋼太郎さんや黒木 瞳さん諸先輩方、芸達者な方がたくさんいらっしゃって、裕美さんに細かく演出をつけていただける、この現場でひと回りもふた回りも成長できるとワクワクしています。先ほどの製作発表会で、吉田さんが「今年一番面白い舞台だ」とおっしゃっていましたからね。

白洲 迅 はい、そこは僕らも嘘じゃないと大声で言えます(笑)。

大野 ビッグマウスではなくて、僕らもそれぐらい自信を持ってお披露目できる期待感でいっぱいです。

白洲 大野くんが言うように、脚本がとても素敵で、何度も読んでいたので内容はわかっているけれど、いざ本読みをすると、ゲラゲラ笑うし、最後が本当に泣けるんです。何度読み込んでもここまで心が動かされるという作品は少ないと思うので、クリスチャンで出演できる大きなチャンスをいただいて感謝しています。

大野拓朗

白洲 迅

製作発表会で演出の鈴木裕美さんは「忠臣蔵のように高級大衆演劇にしたい」とおっしゃられていましたし、脚本は大衆演劇を書くのにぴったりな熟練のマキノノゾミさんと鈴木哲也さんですね。

大野 古典ではあるのでときおり難しい言葉を使うこともありますが、大衆演劇の楽しいノリがあってサクサク読めるし、テンポがよくて読みだしたら止まらないほどスリルがあります。

白洲 現代劇のノリもありますよね?

大野 そう。古典とはいえ、決して難しくなく、誰でも楽しめる内容になっています。

白洲 シラノは詩人だから美しい言葉を使うけれど、それもすんなり理解できますし、お話の筋もすぐにわかる脚本です。

大野 所々で、「よっ、日本一!」と言えるような、大衆演劇にある拍手ポイントがあるんだよね。

白洲 かっこよく決めた長ゼリフだったり100人斬りもあったり、エンターテインメント性が豊かですよね。

手練れたちの揃った贅沢な座組み

それをまとめ上げる座長の吉田鋼太郎さんは大変でしょうね。

大野 鋼太郎さん以外だったら無理でしょうね(笑)。

白洲 あのセリフ術には舌を巻きます。長ゼリフもスムーズで表情豊かで、何度も聞いている僕らでさえ聞き飽きないから驚きです。

大野 クリスチャンとシラノのやりとりは、鋼太郎さんがツッコミ役で、笑いが起きる仕掛けが何箇所もあるので、男2人のわちゃわちゃした感じを楽しんでいただけると思います。製作発表会のリーディングでも、鋼太郎さんが僕らのセリフを全部受け止めて的確に返してくれる。本稽古だったら、裕美さんの演出、プラス鋼太郎さんのアドバイスもいただけるから、とても贅沢な座組みになっていますし、だからこそお客様を楽しませる大衆演劇として成立するんだろうと思います。

白洲 同時代に、こんな贅沢な座組みで僕らの演技をみなさんが全部受け止めてくれる舞台があって嬉しいです。

大野 シラノ、ロクサーヌ、クリスチャン、3人の楽しくて切なくてハラハラ・ドキドキする濃密な三角関係が生まれると思います。

クリスチャンはお茶目で純粋だからこそ意味がある

クリスチャンとはどのような役柄だと思いますか。

大野 製作発表会では、「どこかお茶目なキャラクターだ」と言ったのですが……。

白洲 ただのお茶目なキャラではないですよね。

大野 純粋なんですね。まだ稽古序盤ですから、シラノに放っておけないと思われる愛くるしさを表現したらいいのか、そうではないのか、探りながら稽古をしてるんですが。つまり、シラノもクリスチャンもロクサーヌへの恋心だけで突っ走っているほうがいいのか、シラノとクリスチャンの間にどんな感情があるのか考えている段階なんです。ただ、シラノと信頼関係がちゃんと成立した仲じゃないと役に深みが出ないとは思っています。

白洲 そうだと思います。クリスチャンが、どれだけシラノの友情に助けられているのかを、どこまでわかって、どこまでがわかっていないのか。僕らがそれをどのように演技するかで、シラノとの関係性も変わってくるでしょうし、演技のリアリティが増してくると思います。

凄腕の演出家の鈴木裕美さんの印象はいかがですか。

大野 僕は一度でいいから演出を受けたかったんです。なんでも知っているような感性の鋭い方ですね。しかもとても細かいところまで詰めてくださるのですが、役者のことをきちんと尊重しながら演出してくださる。僕たちを不快な思いにさせない気持ちの良い方です。

白洲 僕は『花より男子 The Musical』(2016年)で一度演出を受けているので、実家に帰ってきたような懐かしい気持ちです。稽古場の雰囲気は、いつもそうですが、いい緊張感がありますね。一瞬でも気を抜くと裕美さんに見抜かれて突っ込まれてしまうから、つねに頭を働かせてアンテナを立ててないといけない。裕美さんの演出の当て方の特徴は、話し方や伝え方を変えるんです。ユニークな話し方で伝えたり、それが伝わらなかったら今度は真面目におっしゃってくれたり。

大野 理解するまで諦めないで役者に付き添ってくれるよね。

白洲 まるでシラノみたいに。役者に対する愛に満ちた演出家ですね。

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