Column

<前編>『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公開! マーベル・スタジオが“アベンジャーズ”にこだわる理由と今後の展望

<前編>『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公開! マーベル・スタジオが“アベンジャーズ”にこだわる理由と今後の展望

ついに公開をスタートした映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が全世界で驚異的なヒットを飛ばしている。

それまで自社の人気コミックを映画会社に“貸して”いたマーベルが自ら映画制作会社“マーベル・スタジオ”を設立して映画『アイアンマン』を公開したのが2008年。今年は記念すべき10周年にあたるが、彼らはその間、着実にヒット作をリリースしながら、行き当たりばったりではなく、長い時間をかけて“ある計画”を遂行してきた。

マーベル・スタジオが遂行する“長期計画”とは?

それは、マーベルの人気キャラクターたちの“はじまり”の物語を紹介し、活躍を描き、その“結末”を見せること。莫大な予算と、壮大なスケールで展開されたきた本シリーズは、多くのシリーズのように、“ヒットしているのでさらに次の物語を”ではなく、最初から“目指すべきゴール”のために製作されてきた。彼らが目指すべきゴール。それこそが最強の敵サノスと、マーベルの人気キャラクターのチーム、アベンジャーズの対決なのだ。

そのため、彼らは新作映画を公開する中で、タイプの違うキャラクターを次々に登場させた。マーベル映画はどれもアクションや笑える場面や緊迫するシーン満載の超エンタメ作だが、どの映画でも繰り返し“なぜ、彼らは戦うのか?”が描かれる。アイアンマンもブラックパンサーも生まれた時からヒーローではない。それぞれのキャラクターはみな、違う場所で生まれ、異なる環境で育ち、それぞれの理由で戦うようになる。マーベル映画では、そこが丁寧に描かれるので、観客はキャラクターのことをよく知り、時には共感したり、愛情を抱くようになる。主人公は敵をブチのめしてくれる“強い正義の味方”じゃない。それぞれに違う背景、考え、悩みがある。これこそがマーベル映画の最大の特徴だと言えるだろう。

では、この特徴が最もハッキリと出る状況は何か? それは彼らを同じ場所に集めることだ。2012年の『アベンジャーズ』ではアイアンマンやキャプテン・アメリカ、ハルク、ソーらが集結したが、彼らは地球の危機を前にしても意見が衝突して団結することができずに苦しんだ。2015年の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』では、トニー・スタークが驚異的な人工知能を開発したことでメンバー間に緊張が走る。そして2016年の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』ではついにアベンジャーズが二手に分かれて対立してしまった。

”アベンジャーズ”は人気ヒーローが集結する映画だと多くの人が思っているが、実際には彼らが集まることで、それぞれの意見や考えの差が明らかになり、対立することでキャラクターの個性が際立つ。『…インフィニティ・ウォー』でも、メンバー間の衝突や緊張感がしっかりと描かれているので、そこを重点的に観ることで、それぞれのキャラクターの個性がこれまで以上に感じられるはずだ。

マーベル映画のこれまでの歴史は、最強の敵“サノス”と戦う準備期間!

マーベル・スタジオを束ねるプロデューサー、ケヴィン・ファイギはシリーズの初期の段階からサノスのことを考え続けてきた。宇宙の均衡を保つために増えすぎた生命を消さなければならないと考えいるサノスは、全宇宙の”半分”の生命を消し去ろうとしている。とにかく強く、無慈悲で、容赦のない敵。10年続いたクライマックスにふさわしい悪役だ。

スタジオはスクリーンでサノスを描くため、入念に準備を重ねてきた。最初の『アベンジャーズ』の結末に少しだけサノスを登場させ、その後も折に触れてサノスの存在を描いて、今回の映画に備えてきた。それどころか彼らは、あまりにもサノスが強すぎるので、釣り合いがとれるように新作映画を公開してはアベンジャーズ側の人員を増やすようにしてきたという。

マーベル映画のこれまでの歴史は、サノスと対決するための準備期間といってもいい。

1 2 >