山口洋のSeize the Day/今を生きる  vol. 32

Column

Seize The Day/国立でのイベントを終えて

Seize The Day/国立でのイベントを終えて

4月7日〜8日、東京・国立で、この連載の番外編ライヴが実現した。 ひとりのミュージシャンを生み、育て、励まし続けたR&Rの軌跡と奇跡を共に体感する立体ライヴ。
受け取ったオーディエンスが巻き起こす波は、さらに大きな渦となって、会場全体を包み込んだ。
連載開始から1年半。ミラクルな2daysを振り返る。


今年初めてのステージ。約3ヶ月のブランクはそこに立つ意味をもう一度問い直すという意味で悪くない時間だった。

三多摩地区。大好きな国立という街に用意されたステージ。この連載「Seize The Day」をWebから、トークとライヴという形に切り替えての2days。初日は「再生の歌=何度でも人はやり直す」、2日目は「You Are Free=運命を創る力」と題して。タイトルだけ見ると、若干自己啓発チックだけれど、断じてそういうことじゃない(笑)。

Webというメディアで連載することは、大海にむやみに網を投げ込んでいるような感覚があって、果たしてこれでいいのかと自問もしていた。できれば投げかけだけではなく、想いは還流するものであって欲しいし、続けてきてよかったと思える実感も欲しかった。わがままだと思うけれど。

そこで、この連載を支えてくれているスタッフが総力をあげて、インタラクティブなイベントを企画してくれた。国立という街は、まだ人に道を譲るだけのこころの余裕があるように感じていたし、人々の歩みも急き立てられてはいないと思っていた。イベントはトークや音楽だけではなく、週末の国立ならではの、愛のこもったフードやドリンクも用意されて、ピースフルな演出がオーディエンスや僕をリラックスさせてくれた。音楽はいつだって暮らしの中で響いていてほしい。

MCを担当してくれたのは編集のMさん。この連載で取りあげたアーティストの曲を実際に聴いてもらいながら、話を進めていく。ラジオの公開放送に参加しているような感じになればいいな、と。飲みながら、頬張りながら、音楽に身を委ねて、それぞれの未来を中空に想い描いてくれれば。桜が散ったばかりの国立にはいいヴァイブスが満ち満ちていた。

1曲かけるたびに拍手が起きる。ほんとだよ。Jerry Garcia Bandをかけて、曲のあまりの長さゆえ泣く泣くフェードアウトしたとき、客席から「ここからいいとこなのに!」と(笑)。わかってらっしゃる!

僕は新曲も含め、前半のトーク部分に呼応した曲を未来に向けて演奏する。もちろんいつもよりカヴァーも多めで。

長い旅路の中で、僕はあまりにも多くのものを音楽から受け取ってきた。聴くことで、演奏することで、他者と関わることで。先達が惜しげもなく僕に手渡してくれたものを、そろそろ僕も誰かに手渡したい。僕もまた、ロックンロールや遺伝子という乗り物の一時的な乗客にすぎないのだから。素晴らしい音楽やスピリットは誰かに伝えることによってさらに深みを増すと、この頃思う。それは連綿と勝手に受け継がれてきたロックンロールの本質だとも思っている。

僕が創った音楽を聴けば、背後に無数の影響が見てとれるだろう。もしもあなたがそこにロックンロールの大河が流れているのを見つけてくれたらとても嬉しい。僕がなにひとつ発明していないこともわかるだろう。チャック・ベリーが始祖鳥。もっと言うならば、アイルランドとアフリカを源流としてロックンロールは生まれ、今日まで流れてきたゴキゲンな大河。僕は今日もそこを自分の意志で流れているだけ。流されてはいないから、念のため。感謝しかない。

いつものごとく、僕の話は脱線を繰り返して、伝えることでなんとなくまっすぐな道になり、整理されていったような。幸せな時間。

Meaning Of Life。そして、満員のオーディエンス。みんなどうしてこの世界に生まれてきたんだろう? いったいどんな風に死にたいと思っているんだろう? 僕も含め、それを自身に問いかけたなら。もう少しマシな世界になるかもしれない、と思った。

人はひとりでは生きていない。ミリオン・クロスロードで互いに関わり合ってこの世界は成立する。いったいどうすれば世界は良くなるんだろう? 結局のところ、未来を創る唯一の方法は「今を生きる=Seize The Day」ことでしかないのだと、あらためて思う。

たぶん何も間違っていない。

感謝をこめて、今を生きる。

day#1「再生の歌=何度でも人はやり直す」

第一部 トーク
(オーディエンスに聴いてもらった曲)
The Rolling Stones / Hot Stuff, Memory Motel(1976)
The Clash / London Calling(1979)
The Roosters / テキーラ(1980)
Lou Reed / Walk On The Wild Side(1972)
佐野元春 / 君を連れてゆく(1993)

第二部 ライヴ
1. 君を連れてゆく(Cover / 佐野元春)
2. Walk On The Wild Side(Cover / Lou Reed)
3. Tokyo City Hierarchy
4. Heavenly(新曲)
5. Open(新曲)
6. Blind Pilot
7. それでも世界は美しい
8. オリオンへの道
En
1. You’ve Got A Friend(Cover / Carole King, 仲井戸”CHABO”麗市)
2. Still Burning
3. 新しい風
4. 満月の夕

day#2「You Are Free=運命を創る力」

第一部 トーク
(オーディエンスに聴いてもらった曲)
The Boom / 手紙(1995)
Neil Young / Don’t Cry No Tears(1975)
Jerry Garcia Band / Simple Twist Of Fate(1991)
Ronnie Lane / Roll On Babe(1976)
David Bowie / The Secret Life Of Arabia(1977)
Jack Nitzsche / Flop House(1991)
Carole King / You’ve Got A Friend(1971)

第二部 ライヴ
1. Mr. Songwriter
2. 中央線(Cover / The Boom)
3. 僕は僕のうたを歌おう
4. Heavenly(新曲)
5. Street Wise
6. 私がこの世から消える日(新曲)
7. 瞳の中の少年
8. Open(新曲)
9. Hotel Existence
10. You’ve Got A Friend(Cover / Carole King, 仲井戸”CHABO”麗市)
En
1. Lost Highway(Cover / Hank Williams)
2. 雨の後、路は輝く
3. 満月の夕

著者プロフィール:山口洋(HEATWAVE)

1963年福岡県生まれ。1979年にHEATWAVEを結成。1990年、アルバム『柱』でメジャー・デビュー。1995年発表のアルバム『1995』には、阪神・淡路大震災後に作られた「満月の夕」が収録され、多くのミュージシャン、幅広い世代に現在も歌い継がれている。アイルランドの重鎮、ドーナル・ラニー、元モット・ザ・フープルのモーガン・フィッシャーら海外のミュージシャンとの親交も厚い。2003年より渡辺圭一(Bass)、細海魚(Keyboard)、池畑潤二(Drums)とHEATWAVEとして活動。2018年3月31日、渡辺圭一が脱退。5月18日には新生HEATWAVEで初セッション・ライヴを行う。6月2日からはリスナーからのリクエストで構成されるソロ・アコースティック・ツアー“YOUR SONGS 2018”で全国を廻る。6月29日には仲井戸“CHABO”麗市、矢井田瞳らと“MY LIFE IS MY MESSAGE 2018 You’ve Got A Friend”を東京・下北沢GARDENで開催。

オフィシャルサイト

ライブ情報

HW SESSIONS 2018
5月18日(金)横浜 THUMBS UP
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山口洋 SOLO TOUR “YOUR SONGS 2018”
6月2日(土)静岡 LIVEHOUSE UHU
6月4日(月)名古屋 TOKUZO
6月6日(水)大阪 南堀江 knave(16th Anniversary)
6月8日(金)京都 coffee house 拾得
6月10日(日)豊橋 HOUSE of CRAZY
6月16日(土)千葉 Live House ANGA
7月27日(金)熊本 ぺいあのPLUS
7月29日(日)福岡 ROOMS
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MY LIFE IS MY MESSAGE 2018 You’ve Got A Friend
6月29日(金)東京 下北沢GARDEN
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山口洋×藤井一彦(THE GROOVERS)OUR SONGS 2018
7月13日(金)吉祥寺 STAR PINE’S CAFE
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