モリコメンド 一本釣り  vol. 64

Column

Rhythmic Toy World パワーが漲る、ジャンルレスなバンドサウンドとともに描き出す楽曲の魅力

Rhythmic Toy World パワーが漲る、ジャンルレスなバンドサウンドとともに描き出す楽曲の魅力

“ついにメジャーデビュー!”というニュースを聞いたとき、最初に頭に浮かんだのは“あ、まだメジャーデビューしてなかったんだ?”ということだった。そんなカン違いをしてしまうほど、ここ数年このバンドの存在感は強まっていたし、楽曲、ビジュアル、ステージングを含めて“メジャー感”に溢れていたのだ。

大学の同級生だった内田直孝(V/G)、岸 明平(G)、須藤憲太郎(Ba)によってRhythmic Toy Worldが結成されたのは、2009年のこと。翌年、磯村貴宏(Dr)が加わったことをきっかけに本格的な活動をスタートさせた。最初に選んだ活動の場はもちろん、ライブハウス。メロコアからギターロック系まで幅広いフィールドでライブを行い、ジャンルのクロスオーバーが起こりはじめた10年代のシーンにしっかりと適応してきた。ライブバンドとして実力を着実に蓄え、バンドキッズに支持を得てきた彼らは2014年に「JAPAN Expo 2014」(フランス)に参加。さらに2015年には「ROCK IN JAPAN」に初出演を果たすなど国内外の大型イベント/フェスにも進出、活動の規模を確実に拡大した。

2016年からはCM、映画とのコラボレーションが次々と実現した。「輝きだす」が森永製菓「DARS」のCMソングに抜擢、「あの日見た青空はきっと今日に続いている」が映画「何者」の挿入歌に起用されるなど、さまざまなメディアで自らの音楽性をアピール。タイアップを効果的に活用するともに、楽曲の幅をさらに広げることにも成功した。そして2018年春、Rhythmic Toy Worldはついにメジャーシーンに進出。その最初の作品がフルアルバム「SHOT」だ。

Rhythmic Toy Worldが幅広い層のリスナーに注目されている最大の理由は、ジャンルの枠を超え、さまざまな音楽要素を自由に取り入れた楽曲そのものにある。作詞・作曲を手がけているのは、バンドの中心メンバーである内田。声優やアニソン系シンガーに楽曲提供を行っている内田のソングライティングは、ロック、メロコア、ギターポップなど縦横無尽に網羅することで、カラフルなポップネスと強烈なダイナミズムを同時に体感させてくれる。岸、須藤、磯村を含めたアンサンブルも、ここ2~3年で確実に向上。ジャンルレスな音楽性を支え、生々しく描き出すサウンドも、このバンドの大きな魅力だ。

Rhythmic Toy World のポテンシャルの高さはもちろん、アルバム「SHOT」からも真っ直ぐに伝わってくる。新しいフィールドに飛び込んでいく決意を描いたアッパーチューン「BOARD」からスタート本作。超キャッチーなギターリフと“自分自身の内なる声を信じて前に進もう”という意志を込めた歌がひとつになった「僕の声[Album Ver.]」(TVアニメ「弱虫ペダルGLORY LINE」オープニングテーマ)、骨太なバンドグルーヴ、ドラマティックな楽曲展開、“僕の創造の世界の意味をさ 歌っていく”という歌詞が共存するリードトラック「さなぎ-想像力の最前線ver.-」など魅力的な楽曲が揃っている。個人的に感銘を受けたのは「革命の唄」。シンプルかつエッジーなバンドサウンド、エモーショナルなメロディとともに放たれるのは、“生きる理由も 生まれた意味も/死ぬまで保留も悪くはない/白紙のままで駆け出していこう”という歌詞。このフレーズからは、バンド結成から9年目を迎えた彼らが、いまもヒリヒリとしたモチベーションを抱えながら突き進んでいることが実感できる。

その他、ライブハウスに対する愛着をテーマにしたロックナンバー「ライブハウス」、午前3時のメラコロックな感情をダイナミックなメロディに乗せた「27時」、バウンシーなリズムが心地いいダンスチューン「ASOBOYA」、自分を育ててくれて親への思いをストレートに綴った「リバナ」などバラエティに富んだナンバーを収録。バンドとしての軸をしっかり持ちながら大きく間口を広げた本作によって、彼らの音楽はさらに多くのリスナーにリーチすることになるだろう。

Rhythmic Toy World のメジャーデビューは、Mrs.GREEN APPLE、Offical髭男dismなどに代表されるポップ系バンドのムーブメントをより活性化させることになるはず。まずはアルバム「SHOT」を通して、このバンドのビビッドな音楽世界をたっぷりと体感してほしい。日常的な感情を増幅させ、ジャンルレスなバンドサウンドとともに描き出す彼らの楽曲には、あなたの生活をカラフルに彩ってくれるパワーが漲っているはずだ。

文 / 森朋之

オフィシャルサイト
http://rhythmictoyworld.com/

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