Interview

シド バンド結成15周年を改めて語る。バンド継続の秘密、アニバーサリーだからできるライブ&作品、そしてファンへの想い。

シド バンド結成15周年を改めて語る。バンド継続の秘密、アニバーサリーだからできるライブ&作品、そしてファンへの想い。

シドはなぜ、15年間メンバーチェンジもなく、バンドを続けてこられたのだろうか。メジャーデビュー以降、『黒執事』や『鋼の錬金術師』など人気アニメのタイアップソングを次々とヒットさせてきた彼らだが、シドに“アニソン”が与えた影響とは。2018年、バンド結成15周年のアニバーサリーイヤーを迎えた彼らにその心境や、シドファンにもアニメファンにも嬉しい作品となったベスト盤『SID Anime Best 2008-2017』について。さらに、これから始まる<SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018>への意気込みを4人に訊いた。

取材・文 / 東條祥恵

新しいことを常に考えられるような体制で音楽をやっていきたい(マオ)

バンド結成15周年、どんなアニバーサリーイヤーになったらいいなと考えていますか?

明希 ちゃんと記憶に残る1年にしたいですね。できるだけみなさんの側で、ライブを観せていけたらなと思ってます。

ゆうや すごい楽しい1年にしたいというのが大枠としてありながら、15周年という節目を使った記念ライブもたくさんあるので。15周年を使って、ライブで大暴れできたらいいなという感じです。

Shinji 去年と変わらずなんですけど、演奏とか音を追求したいなと。それが去年よりも強い気がします。

マオ ライブの内容はこれまでの15周年の足取りをたどるようなものになってはいるんですけど、気持ち的にはいままでの15年を振り返るだけではなく、15年歩いてきてここから先をどう歩いて行くのか。新しいことを常に考えるような体制で音楽をやっていきたいなという気持ちでいます。

15周年は「振り返るだけじゃなく」という先を見る視点が付いてくる(ゆうや)

単純な質問なんですが、10周年と15周年、かなり違いはあるものなんですか?

ゆうや 違うな〜……うん、違います(きっぱり)。10周年のとき、俺らはシドとして初めてアニバーサリー的なものをやったんですね。そこでいままでやってきたことを振り返ったり、自分自身を見つめ直したりということを俺らは初めてやった。そのとき思いっきり振り返ってるから、15周年はさっきマオ君が言ったみたいに「振り返るだけじゃなく」という先を見る視点が付いてくる。それが15周年かなという気がしてますけど。

明希 ゆうやが言ったこともそうだけど、年々この4人でバンドをやれていることが深みを増していきますよね。10年、15年やれることって、自分でいうのもなんですけど凄いことなのかなと感じますし。10年目にもたどり着かずなくなっちゃうバンドも結構いたし。そのなかで15年同じメンバーで続けてこられたというのは、嬉しいですし。その思いが、これは歳とったせいもあるんですけど(微笑)15年ってなるとグッときますよ。ファンの人も小学生の頃から聴いてたという人が大人になってる。そういうところも15年という歳月を感じるところではありますね。

Shinji 10年と15年では全然違いますね。最近10周年のときのライブ映像を観たんですけど全然違いました。4人がステージに向かってる姿勢が。最近はもっと周りをみんな見て、周りの音を聴いてる。そういうところで、バンドが深まっている気がしましたね。

マオ 個人的に10周年のときは体調面がよくなかったんで、いっぱいいっぱいだったんですよ。あのときは必死こいてステージやってて。いま決まってるものをどうやってみんなにバレないように頑張って乗り越えていくか。そのことばっかり考えてた年だったんですね。その頃の悔しさも込みで、俺のなかでは今回の15周年でアニバーサリー感を取り戻してるところなんですが。まだまだ全然取り戻せてないので、そこはここから20年、25年、30年もっともっと続けていって「あんな10周年もあったな」と思えるようにこれから頑張っていけたらなと思ってます。

シドはなぜメンバーチェンジもなく、15年バンドを続けてこれたんだと思いますか?

ゆうや はい!(←といって挙手)たぶん、誰もサボってなかったからだと思います。曲作りにしても自分作りにしても。そういうのが目立つと、言いたくなるじゃないですか?

いろんな局面でワンマンバンドにならなかったことが一番よかった(明希)

「なんでアイツだけサボってんだよ」ってね。

ゆうや 「こっちはめっちゃ頑張ってんのに」っていう空気感になるから。そこをみんな頑張ってきたから、お互いを尊重し合えるし。まだ、みんなの“底”も見えてないんですよ。「コイツまだやってくるな」感を出してくるんで、毎回毎回、全員が。それが続いてきた秘訣なんじゃないかな。

明希 いろんな局面でワンマンバンドにならなかったことが一番よかったんじゃないかな。例えば、音楽面の中心人物は常にこの人とか、いろいろアイデアを出すのは常にこの人とか。ウチは曲にせよバンドのいろんなことにせよ、局面でイニシアティブをとる人はちゃんと4人だった。だから、自分の場合は悔しさがあったんですね。音楽面でいうと。例えば次のシングルを引っ張っていくのが自分の曲じゃなかったりすると、闘争心に火がついて「次こそやってやろう」という気になる。その積み重ねだったんですよ。何クソ精神で「常に頑張らなきゃいけないな、このバンドは」っていう状況がずっと続いてた。特に音楽面でなんですけど。だから途中で「辞めよう」という気にはならなかった。それなりに溜まっていくことはあったと思うんですよ。特に若い頃は暴走しがちだから。でも、それが変な方向に行かなかったのがよかったんでしょうね。「みんなが認める曲を作ればいいだけじゃん」って。至って単純なとこに自分をシフトチェンジできたから続けてこれたのかな。

“奇跡”もあると思うんですよ。素敵な奇跡だと思います(Shinji)

Shinji “奇跡”もあると思うんですよね〜。素敵な奇跡だと思います。僕らは出会った時期が絶妙だった気がしますね。もしかしたら、僕らが10代の頃に出会ったとしたら、もっと衝突したかもしれないけど、みんなそれぞれバンド経験があった上で出会ったから、分かり合える部分も多かったし。あとは、リスペクトできてるからかな。モノ作りって、各々の真剣な思いがぶつかるから衝突もするんだけど、そこにリスペクトがあるからこそ、創作活動を続けられてる気がしますね。

マオ なんでもそうだけど、まず“運”的なものが強いんだと思うんですよ。4人とも我が弱いほうではないので、ぶつかり合ったりもするし、言い合ったりもする。その闇が深くなれば解散だったり脱退につながってたかもしれないというのが、事実俺たちにもあった。それをなぜ乗り越えられてきたのかっていうと、4人の力だけでは限界だったと思うんです。そこは、人のつながり。見守ったり支えてくれてる俺らには見えないところでやってるスタッフの人たちの力が、後々効いてくるんです。そういう人たちと一緒に飯食ってしゃべってると「あのとき、こういう風にシドを支えようとしてた」っていうことを15年目のいま聞いたりする。「それがなかったらシド危なかったじゃん」っていうこともあったりするんで。そういう意味では“運”だと思うんですね。周りを見てると、ちょっとしたきっかけでメンバーは脱退するし、バンドもなくなる。でも、そうさせない運、力が俺らの周りにはあったことをいまはすごく感じますね。

アニメのタイアップ曲が溜まったんで、アルバムにしようぜと(マオ)

なるほど。では、次に先日発売したシドのアニメタイアップ曲を網羅したベスト盤『SID Anime Best 2008-2017』について聞かせて下さい。そもそも、なんでアニメ縛りのベストをリリースしようと思ったんですか?

マオ 単純にアニメのタイアップ曲が溜まったんで、アルバムにしようぜと。そういう軽いノリで決めて発売しました(微笑)。

ゆうや ホントそうなんですよ。気づいたらこんなにあるじゃんって。俺らは全部シドの曲だからアニメという括りでは考えたことなかったけど、集めたらアルバム分ぐらいあるぞと。

アルバムにまとめたものを聴いてみてどうでしたか?

ゆうや めっちゃいい!! 俺、スナックによく行く“スナッカー”なんで。

そんな呼び名があるんですか?

ゆうや ええ、僕のなかで(笑)。スナックのいいところは、カラオケBOXと違ってこっちが予期せぬタイミングで全然知らないお客さんが「これを入れてきたか」という曲を歌うところ。で、わりとアニメソングを歌う人が多いんです。そうなってくると、シドのアニメソングもたま〜に食い込んでくるんですよ。「Bメロ、ちょっと入り間違えたな」とかこっちはすごい思うんですけど、もちろん言わずに楽しむ。そういう風に、普段人が歌うシドのアニソンというのは耳にしたりしていたので、改めて自分たちのを聴くと「これだよ、これ」と思いますよ。本物はね、カッコいいですよ、今回マスタリングし直して、音もちょっと違うから、さらにいい感じ。

お客さんがシドを歌ったら、次にゆうやさんは「嘘」を入れて?

ゆうや 入れないよ〜(笑)。そこはこっそり客の一人として聴いてるだけ。

この10年間で作曲スタイルをすごく勉強させてもらった(明希)

そうでしたか。失礼しました(微笑)。今作で知ったんですけど、シドとアニメタイアップとの出会いも1曲目の「モノクロのキス」(『黒執事』OP曲)から始まって、もう10年になるんですね。

明希 デビュー曲から運よくご縁があってアニメソングをやらせてもらったんですよね。だから、個人的には曲作りも手探りなところから始まって。いまでは制作サイドさんからオーダーを頂いて、そういう人たちも込みでハッピーな曲を作ろうという気持ちになれて。この10年間で作曲スタイルをすごく勉強させてもらったというのは、改めて聴いて思いましたね。思ったことを思った通りに作るのはもちろんなんですけど、それプラス映像、キャラクター、ストーリーから作るというのがとっても勉強になった。自分の作曲の幅を広げてくれて、作曲者として成長させてもらったなというのを思い出しますね。これを聴くと。
とくにバンド以外の音が入る曲は、そのアレンジを考えるために、楽器を知るところから始めたりするんですけど。それがアニメという作品にぴったりうまくはまって転がっていくと、達成感も喜びもありますからね。

そういう意味では、アニメの第1話のオンエアとかはドキドキしながら見たりするんですか?

明希 見ますよ。みんなそうじゃない?

ゆうや 見ますよ、そりゃあ。リアルタイムでも見ますし。オンエア前のものを見せてもらったりすると、その段階でジーンとしますよ。客観的に見ちゃって。自分たちの曲なのに、絵が自分たちじゃないからね。自分たちの曲を演じてくれてるみたいな気になるの。

自分たちが生み出したものがアニメの映像と重なるとすごいくるものがある(Shinji)

アニメのキャラクターたちが演じてくれてるシドのMVみたいな。

ゆうや そうそうそう、だから、見るとジーンとするよ。

Shinji ジーンとしますね(微笑)。作った人にしか分からない喜びがありますからね。他の人が作ったアニメのオープニングは普通に見られるけど、自分たちが生み出したものがアニメの映像と重なるとすごいくるものがある。でも、こうして改めて並べて聴いてみると、すごくいい意味でそんなにアニメアニメしてなくて。そこがいいなと思いましたね。

そうそう! ちゃんとシドの『BEST』なんですよね。

Shinji ちゃんと自分たちを出せてる気がする。自分たちを出しながらも、制作サイドのテーマを考えながら曲を作ったりというのは、すごい勉強になりました。

マオ 普通のアルバムだと、聴き返したときにレコーディングしてたときの風景とか歌詞を書いてたときのことがすぐに思い浮かぶんですけど。このアルバムはそれぞれ1曲ずつにストーリーがあって。「これはアニメサイドのスタッフからこういうオーダーを受けて書いたな」とか、「これはなにもオーダーがなく“マオさんにお任せします”で書いたな」とか1曲1曲の制作のストーリーがパッと浮かんでくるんで。だから、そこは特殊ですね。一番最初の「モノクロのキス」から、最後はLiSAさんに提供した「ASH」という曲なんですけど。最初は「アニメのタイアップ、すげー!」ってやってたのが、そこから10年経ったら違うアーティストさんにアニメの曲を提供するところまでいって。それをさらに自分らでカバーすることになるなんて、10年前は思ってもみなかったですからね。だから、アニメベストといいつつも、一つのシドの頑張ってきた足跡が1曲ずつに見える1枚になったかなと思います。

10年の足跡の最後の一歩として「ASH」をセルフカバーしたんですね。

マオ いや。これはどちらかというとボーナストラック的な感じ。お客さんへのサプライズとしてこういうことやったら新鮮かなって。あと、LiSAさん本人が「シドさんのものを聴いてみたい」と言ってくれたんでやってみたら、すごいいい感じに仕上がったのでアルバムに入れました。

ライブという軸を通して、いろんな顔を観せていくのがシドなんじゃないか(ゆうや)

そして、5月からはいよいよ<SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018>が開幕しますが。もうセットリストは決まっているんですか?

マオ 決まってる日もありますけど、今日(4月下旬)これからまた打ち合わせをして決めます。今回はいっぱいコンセプトがあって、その1つずつを決めていかなきゃいけないので。

ゆうや 大変です。コンセプトが違うから全部一緒ではできないんでね。

日替わりで“ファン投票”とか“暴れ曲限定”とかコンセプトが違うんですもんね。なんでこんな大変なことをやろうと思ったんですか?

ゆうや それは15周年だからですよ〜(微笑)。僕らいろんな面を出してきたバンドですから。その軸にライブというものがあるんで。ライブという軸を通して、いろんな顔を観せて行くのがシドなんじゃないかなと。

明希 こういうコンセプト立てたライブって10周年以降そんなにやってない気がするんです。Zeppクラスのライブハウスでそれをやれるのが演るほうも観るほうも新鮮だと思います。

Shinji 元旦にやったZepp Tokyoもすっごい楽しかったんですよ。ライブハウスならではの自由な感じが。お客さんも“周年”ってなると全然違うし。すっごい元気なんですよ、元旦から(微笑)。今回もパワーを与えられるように、もらえるようにしっかり準備したいと思います。

なかでも、みなさんが楽しみにしているコンセプトデーは?

ゆうや “ファン投票LIVE”はみなさんが聴きたいとリクエストした曲を演るんで、僕らはジュークボックスみたいで面白そう。

Shinji “暴れ曲限定LIVE”ですかね。どこまでいけるのか。そこで一歩も逃げずにやれたらいいなと。しかも、ただ暴れるんじゃなくて、ちゃんとカッコいい演奏をした上でできたらいいなと。

マオ コンセプトが違うんで、今回は仕込んでるときから楽しいですね。昔の曲を歌うときは、当時書いたときとはまた違う印象で歌詞を受け取って歌ったりするので。歌詞を表現する側としては、そこも面白いです。

このツアーに全力で向かっているんで、それ以降のことは考えていない(マオ)

このツアーが終わったあとも、アニバーサリーイヤーらしい様々なシドが観られるんですか?

マオ いまのところこのツアーに全力で向かってるんで、それ以降のことは考えてないですね。追加公演として発表した豊洲PIT2DAYSで俺たちは死ぬつもりなんで。

ゆうや そこで燃え尽きて灰になりますから。

マオ 灰になった挙句、なんか考えるかもしれないけど(笑)。

そのほかのシドの作品はこちらへ

ライブ情報

SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018
2018年5月5日(土・祝) Zepp DiverCity TOKYOよりスタート!

詳細、そのほかのイベントスケジュールなどはオフィシャルサイトへ

SID(シド)

2003年結成。マオ(vo)、Shinji(g)、明希(b)、ゆうや(ds)からなる4人組ロックバンド。
2008年、TVアニメ『黒執事』オープニングテーマ「モノクロのキス」でメジャーデビュー。
2010年の東京ドーム公演では4万人を動員。結成10周年となった2013年には、初のベストアルバムをリリースし、オリコンウィークリー1位を獲得。同年、横浜スタジアムで10周年記念ライブを開催、夏には初の野外ツアーで4都市5公演で5万人を動員し大成功を収める。2014年には香港・台湾を含む全国ツアーも開催。2016年1月にはベストアルバム『SID ALL SINGLES BEST』をリリース。2017年1月には約1年ぶりのシングルとなる映画『黒執事』主題歌「硝子の瞳」をリリース。5月にはシングル「バタフライエフェクト」をリリースし、両日ソールドアウトの中、日本武道館2days公演を実施。成功を収める。2017年9月に、アルバム『NOMAD』をリリース。2018年1月1日には、シド 結成十五周年記念公演 「シド初め」を Zepp Tokyoで開催した。2018年5月5日より、SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018がスタートする!

オフィシャルサイトhttp://sid-web.info/