2018年春アニメ主題歌特集  vol. 9

Interview

暗黒ライトノベルの始祖にして最終作─『されど罪人は竜と踊る』ED楽曲で叶えた“ずっとやりたかったこと” 黒崎真音インタビュー

暗黒ライトノベルの始祖にして最終作─『されど罪人は竜と踊る』ED楽曲で叶えた“ずっとやりたかったこと” 黒崎真音インタビュー

5月9日に12枚目のシングル「décadence -デカダンス-」をリリースする黒崎真音。アニメの世界観と自分が今やりたい音楽が合致していたと語る今回のシングルについて、ユニークなMVの話とともにお届けする。

取材・文 / 塚越淳一 撮影 / 山本哲也


今回の曲は、喜怒哀楽の中では怒りの部分
あがいて進んでいくような印象でした

ベストアルバム『MAON KUROSAKI BEST ALBUM –M.A.O.N.-』後、初のシングルになります。やはりベストアルバムは、ひと区切りという意味合いもありましたか?

黒崎真音 ベストアルバムを出して、一度自分の中で落ち着いたというか、集大成的なものが作れたので、新たな第一歩という気持ちで曲に向き合うことができました。

ラストの曲「僕はこの世界に恋をしたから」ではアニソンへの感謝を歌っていましたが、もちろんその気持ちは変わらず?

黒崎 そうですね。やっぱり7年活動していく中でもそこはブレなかったというか。ずっと核になっているところなので、そこは変わりたくないポリシーとしてありますね。

ベースにアニソンへの想いや感謝がありつつも、新たな気持ちで制作されたのが「décadence -デカダンス-」ですが、TVアニメ『されど罪人は竜と踊る』(以下:『され竜』)のEDテーマになっています。

黒崎 自分が新たに挑戦したいポップロックの世界と、『され竜』の世界がマッチするというところから生まれた曲なので、自分としても新たな一歩を踏み出したいときに、こういう挑戦的な曲に出会うことができて良かったです。やっぱりアニメソングシンガーとしてやらせてもらっているので、作品性に合わない曲は歌っていてもしっくりこないので、今回は自分がやりたかった音楽性と作品の色がマッチしたので、本当にラッキーだと思います。

そこはアニソンシンガーの難しいところでもありますね。

黒崎 もちろん、活動していく中では葛藤もありましたけど、いろんな曲に出会うことで、自分でも知らない新たな発見もあって、新しい引き出しを開くこともできたので、それはそれですごく面白いんですけどね。

楽曲はどうやって決めていっているのですか?

黒崎 プロデューサーがアニメサイドとお話をして曲を作り、それをいただいて私が歌詞を書くような流れが多かったんですけど、「décadence -デカダンス-」に限ってはコンペだったんです。20曲くらいの中で、自分がピンときた曲を言わせていただいて、協議の結果、私が選んでいた曲に決まったんです。すごく稀というか、初めての経験でした。

どの辺が魅力でした?

黒崎 イントロが印象的だったんですよね。ドラマチックだし、『され竜』の世界観にも合ってるし、戦っている姿が見えたんです。見えたんですけど、悲壮感が漂っていない感じがして、そこも世界観に合うなと直感で思いました。

初めての作家さんだと思うのですが、すごく黒崎さんにフィットしていたように思います。

黒崎 ありがとうございます。コンペでは誰が書いたかわからない中で聴くんですけど、今回ご縁があって。「décadence -デカダンス-」は、藤井亮太さんと奈須野新平さんのおふたりの楽曲なんですけど、激しい曲なので、レコーディングのときも血管が切れそうになりながら歌っていたんです。Aメロ・Bメロ・サビでアプローチが違うというかテンション感がまるで違っていて面白かったので、おふたりの他の曲も聴いてみたいなって思いました。また機会があったら一緒にやりたいですね。

この曲ではどんなことが挑戦でしたか?

黒崎 これまでって爽快感のある曲とかポジティブな曲が多かったんですけど、今回は喜怒哀楽の中では怒りの部分というか。フラストレーションをパワーに変えて、あがいて進んでいくような印象を感じたんです。そういう「怒り」を歌うということがなかったので、そこに向き合えたのは挑戦だったかなと思います。吹っ切れた感というか。

AメロとBメロの世界観や雰囲気を
これまでより振り切って変えてみました

作詞に関してはいかがですか? 今回はakaneさんとの共作になりますね。

黒崎 私がまず書いたんですけど、『され竜』の原作を読ませていただいたときに、言葉のチョイスが良いというか、表現の緻密さがあって、難しい言葉を理解しながら読んでいく楽しさがあったんです。その文章の魅力で好きになっている人もいるのかなと思ったので、その文学的な感じーー歌詞というより小説のような表現を取り入れたほうがイメージに合うかもしれないと思って。それは自分ではうまく出すのが難しかったので、akaneさんに力を貸していただきました。

先程も少し話が出ましたが、歌い方がガラッと変わるというのは、どういう狙いがあったんですか?

黒崎 原作を読んだときに、感情の起伏がめっちゃ激しかったんです。コメディっぽいシーンもあるけど、戦っているシーンは基本的に血がすごく流れていたり、キャラクターたちがもがき苦しみながら生きている感じがあって。嘆いている瞬間、振り切って進む瞬間……ここは普通の世界じゃないんだぞ、止まっていられないんだぞっていうのを歌でも意識できたらいいなと思いながら歌いました。

AメロとBメロの世界観や雰囲気を変えるというのはこれまでもあったんですけど、今回はそれを振り切ってやったようなところはありますね。ガナるような歌い方もしましたから。平坦に歌うと曲とボーカルが一致しないと思ったんですよね。

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